■2つの大きな要因が、トルコリラを動かす!?
ラマダン明けの連休が終わる来週(6月10日~)以降のトルコリラの動きですが、2つの大きな要因に支配されると考えます。1つ目は、上記でも説明しているように原油価格です。
今月(6月)、大阪で行われるG20(20カ国・地域首脳会合)に向け、米中が歩み寄る可能性があり、また、G20における米中首脳会談実現の可能性も高いと考えます。
これにより、世界的なリスクオフムードが後退し、原油価格も上昇に転じるでしょう。
一方でイラン情勢については、不透明感が強いです。トランプ大統領の日本訪問で、米国は日本に仲介を頼んでいますが、もし、安倍総理の仲介が成功して米国とイランのテンションが下がれば、原油価格もあまり上昇せず、50ドル近辺で推移するでしょう。
ただし、イラン情勢が落ち着くには、いろいろとハードルが高く、また、トランプ大統領が呼び掛けてもOPEC(石油輸出国機構)は、簡単に生産調整に踏み切るとは考えにくいので、私のメインシナリオは原油価格が60ドルに戻ることです。

(出所:Bloomberg)
■S-400問題も、トルコリラの動きを決める要因に
もう1つ、トルコリラの動きを決めるのはS-400問題です。
【参考記事】
●トルコリラはスワップ金利狙うには好環境!? トルコが抱えるリスク、S-400問題とは…?(2月27日、エミン・ユルマズ)
エルドアン大統領は、6月4日(火)に、S-400の購入計画を後退させることは不可能だと発言しましたが、おそらく本音は違うと考えます。
エルドアン大統領は先週(5月27日~)、トランプ大統領と電話会談をし、直後にトルコで3年近く拘束されていた米国籍のセルカン・ギョルゲ氏が釈放されました。
ギョルゲ氏は、NASAで働くトルコ出身の科学者で、2016年のクーデター未遂直後に里帰りしていた際に、逮捕された人物です。
【参考記事】
●クーデター騒ぎ勃発でトルコリラが急落! 急落でも問題なくスワップで儲ける手法(2016年7月16日)
昨年(2018年)、釈放されたブランソン牧師と違い、彼はトルコ国籍も保有していたので釈放まで時間がかかったと言われています。
【参考記事】
●ブランソン牧師釈放。経済制裁解除も近い!? トルコリラ/円は20円超えに向けて上昇中!(2018年10月17日、エミン・ユルマズ)
彼の釈放は、エルドアン政権が米国と関係改善しようとしている証であり、エルドアン大統領はG20でもトランプ大統領と会談する予定です。個人的には、S-400の購入はかなり遠のいたと考えます。
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