■ブレグジット期限迫る中、英ポンドは混乱の中に…
一方、ボラティリティを伴って動いているのが、英ポンド/円
今週(9月24日~)の英ポンドの注目は、英最高裁の判決。
9月24日(火)、英最高裁は、ジョンソン首相が異例の長期間にわたって議会を閉鎖した措置の是非をめぐる訴訟で、訴えを起こした野党議員らの主張を大筋で認め、首相の措置を無効で違法とする判決を言い渡した模様。
この判決を控え、マーケットのコンセンサスは下記のとおりでした。
違法となれば、議会再開の可能性が出てきて、10月31日(木)のブレグジット(英国のEU離脱)延期申請の可能性が高まるので、英ポンド買い。合法なら、逆。
ただし、違法判決が出ても、もしボリス・ジョンソン首相が辞任すれば、政府不在で審議ができないので英ポンド売り。
NYに滞在していたジョンソン首相からは、辞任はしないというコメント。
結果、英ポンド/米ドルはいったん1.2503ドルまで反発。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)
しかし、再開された英国議会は引き継ぎ、混迷…。
ジョンソン首相は、9月25日(水)の議会で、内閣不信任案を可決して解散総選挙に持ち込むように野党を挑発。
ジョンソン首相は内閣不信任案を可決して解散総選挙に持ち込むように野党を挑発。10月末のブレグジット期限に向けて、引き続き混乱している (C)Justin Sullivan/Getty Images
しかし、最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、10月31日(木)に「合意なき」EU(欧州連合)離脱に陥り、多大な経済的損失が生じる可能性が排除されなければ、総選挙の引き金となる採決は行わないと応じた形。
コービン氏はむしろ、ジョンソン首相の辞任を求めました。
ジョンソン首相の演説について、「自分が法を超越した存在だと考ている危険な首相による、10分間のどう喝行為」だったと強烈なコメントを残しています。
結果、事態は混迷したままで、英ポンドはじり安の展開。本稿執筆時点での英ポンド/米ドルは1.2370ドル、英ポンド/円は133.20円で推移しています。
■英ポンド/円は136円抜けなければ、戻り売り継続
英ポンド/米ドルは、テクニカル分析の側面では、日足ベースで戻り売りだと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
ただ、英最高裁がジョンソン首相の措置を無効で違法とする判決を言い渡した時点でのマーケットのコンセンサスは、英ポンド買い。
このせめぎ合いに注目していたのですが、英議会が再開しても混乱は続き、結局、英ポンドはテクニカル分析が示すように反落。
来週から10月が始まりますが、EU離脱期限である10月31日(木)まで、いよいよ1カ月しかなくなりました。
米中貿易戦争や大統領弾劾尋問といったように、マーケットを大きく動かす材料は数多くあるのですが、ブレグジットという、グローバルマーケットにとって最大の懸念材料が解決しない限り、米ドル/円も依然、英ポンド/円の行方に左右されるため、来月(10月)も英ポンド/円の行方が重要な鍵を握りそうです。
【参考記事】
●中東リスクと米中貿易戦争への懸念継続。米ドル/円、豪ドル/円の戻り売りが良さそう(9月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
基本的には、英ポンド/円はジョンソン首相が戦時内閣を発表した136円レベルを抜いてこなければ戻り売りでいいのではないかと想定しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
10月も英ポンド/円の行方に注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)