■トルコ中銀利下げ予想多いが、据え置きもあるか
今週(12月9日~)は、トルコ中銀の政策会合に注目が集まっています。トルコ中銀は、10月に政策金利を2.5%引き下げて14%に設定したばかりですが、今回も利下げが行われるのではないかとの予想が多いです。
【参考記事】
●トルコ中銀、予想外の2.50%利下げ実施!それでもトルコリラが堅調なのは、なぜ?(10月30日、エミン・ユルマズ)
(出所:BloombergのデータよりザイFX!編集部が作成)
政策会合は12月12日(木)に予定されていて、結果発表はトルコ時間の14時なので日本時間の20時になります。
市場では1~1.5%という利下げ予想が多いのですが、個人的には据え置きの可能性も40%くらいあるのではないかと考えています。
今年(2019年)に入ってからの連続利下げにも関わらず、トルコリラが対米ドルで安定していることを受け、トルコ中銀とトルコ政府が強気になっているのは確かです。
利下げしても為替が動かないなら、政策金利を高く維持する必要はないですし、足元でインフレ圧力が弱まっていることも、利下げに根拠を与える要素となります。
(出所:Bloomberg)
一方で、冬に入り、トルコのエネルギー需要が高まっていますし、観光収入も当然ながら減るので、トルコの資金調達ニーズが高まります。
今まで、トルコ中銀と国営銀行の必死の買い支えもあり、為替を安定させることはできましたが、このタイミングでの利下げはリスクが高いと考えます。このことを、トルコ中銀も政府も熟知しているはずです。
また、トルコ中銀の直近の発表によりますと、来年(2020年)は、毎月、政策会合が行われるそうです。つまり、年末に利下げを急ぐ必要はないと考えます。
【参考記事】
●トルコ政府介入もあり、トルコリラは小動き…。今後、トルコリラを動かす材料は?(11月20日、エミン・ユルマズ)
■トルコにS-400ミサイル到着せず……その理由は?
S-400問題について、今週(12月9日~)、現地メディアでいろいろな憶測が飛び交っています。
S-400のレーダーシステムのテスト開始については、このコラムでも何度か書きましたが、実は、肝心のミサイルが、まだトルコに到着していないようです。
【参考記事】
●S-400テスト継続なら米国は制裁発動か。2020年夏までにトルコで総選挙実施へ!?(11月27日、エミン・ユルマズ)
ミサイルの到着が、1カ月以上も遅れていることについては、「ミサイルを傷つけたくないため、海路を使ったデリバリーが行われ、そのため、遅れが発生している」と説明されています。
確かに、ロシアは中国に届けたS-400も船で送りました。一方で、真の理由は米国と交渉するための時間稼ぎではないかと指摘されています。
ミサイルが到着して、バッテリーに搭載されると稼働できるようになります。トルコ政府は、その前に米国と最終交渉を行っている可能性が高いと考えます。
■様子見モードに入っている投資家が多い
今週(12月9日~)のトルコリラは、対円で18円台後半での小動きが続いています。
トルコ中銀の政策会合に加え、英国の総選挙、米中交渉の行方など投資家にとって気になる話題が多く、様子見モードに入っている投資家も多いです。
(出所:Bloomberg)
英国の総選挙は、ジョンソン首相の保守党が直前の世論調査で大きくリードしていますし、米中については、米国が12月15日(日)に予定している対中関税発動を遅らせると報道されていますので、今週(12月9日~)の為替市場には、大きなボラティリティが発生しにくいと考えます。
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