■一気に米ドル高へ。米ドル/円は112円台に到達
為替市場はここ数日で、一気に米ドル高の展開となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
今年(2020年)は、米国が大統領選挙の年なので、米ドル高になりやすいと、年初に予想しましたが、早速やってきたという感じです。
【参考記事】
●110円超えの米ドル/円は当面、押し目買い。ユーロ/米ドルは、上がれば売りが良さそう(1月17日、今井雅人)
●市場の新型コロナウイルスへの反応は読みどおり。米ドル/円の108円台は迷わず買い!(2月6日、今井雅人)
ただ、米ドル/円も、110円をなかなか超えることができなかったのですが、ヘッジファンドや日本の機関投資家が、こぞって米ドル/円を買い上げたため、一気に112円台に達しています。
(出所:TradingView)
■米ドル高の原因はFOMC…?
しかし、どうして米ドル高になったかという、直接的な原因が、あまり見つかりません。
敢えて言えば、FOMC(米連邦公開市場委員会)が米ドル高の原因の1つだと市場では言われていますので、一応、内容をチェックしておきます。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●FOMCとは? 米国の政策金利FFレートやイベントのスケジュールを徹底解説!
FRB(米連邦準備制度理事会)は2月19日(水)、1月28日(火)~29日(水)に開催された、FOMCの議事要旨を発表しました。その中身を、端的にご紹介します。
まず、米国の景気に関しては、「労働市場は底堅く成長し、経済活動は緩やかに拡大している」と、比較的、楽観的な見方をしています。
また、金融政策に関しては、「景気が予想どおりに推移すれば、現在のスタンスが当面、適切だろう」との考え方で一致し、しばらくの間は、政策金利を現状のまま据え置く考えを示しています。
※FFレートの誘導目標レンジ上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
一方、中国で発生した新型コロナウイルスに関連して、「世界景気の新たなリスクとして持ち上がってきた」と、警戒感を示しています。
新型コロナウイルスの問題は、中国だけではなく、世界経済全体に影響を及ぼすかもしれないと、心配しているということです。
■きっかけはFRBの金融の引き締め方針かも
FRBが当面、金利を据え置くということは、前々からわかっていたことですし、この内容で米ドル高になるというのは、ちょっとしっくりきません。
ただ、1点、これが原因かもしれないなというものがあります。
FRBは、短期市場の金利の安定を目的に、2019年10月から短期国債の買入れを進めて、市場に資金供給をしてきています。
今回(1月)のFOMCで、参加者の多くは、「資金量が潤沢になれば、短期国債の買入れは、段階的な縮小か廃止が必要だ」と強調しています。
パウエルFRB議長は、FOMC後に開かれた定例記者会見で、「2020年4月~6月期には、資金量が十分な水準に達する」と、言っていました。
そうなると、今年(2020年)の7月以降に、短期国債の買入れを見直す可能性が高くなってくるということになります。
1月FOMC後の定例記者会見で、7月以降に短期国債の買入れを見直す可能性が高いことを示したパウエルFRB議長 (C)Bloomberg/Getty Images News
これは、量的な面での金融の引き締めですので、米ドル高のきっかけになったのかもしれません。
話は変わりますが、新型コロナウイルスの影響も…
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