■事態は深刻だが、金融市場は極めて冷静
新型コロナウイルスが、猛威を振るっています。
2月6日(木)朝の時点で判明しているところでは、中国国内での感染による肺炎の感染者数は2万8000人を超え、死者は560名を超えています。ここのところ、感染者は1日で3000人以上増えており、その数は、今後も増え続けると考えられます。
これだけ深刻な状況にありますが、金融市場は極めて冷静な反応をしています。
世界の株式市場は、一時、大きく下落する局面が、先週(1月27日~)までありましたが、その後は落ち着きを見せ、下落幅をほぼ取り戻しています。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
さすがに、中国の株式市場は、下落幅を取り戻せていませんが、それでも下落は止まり、徐々に上昇してきています。
(出所:Bloomberg)
■やはり円高局面は絶好のチャンスだった!
私は、前回のコラムで、
「このウイルスの市場への影響は、一時的、かつ限定的なので、すぐに回復するのではないか。円高になった局面、株安の局面は、絶好の円売り、株買いのチャンスではないか」
といった趣旨のことを書きましたが、まさに、そういう展開になっています。
【参考記事】
●新型コロナウイルスでリスクオフの今は、円売りの絶好のチャンスになるかも!?(1月31日、今井雅人)
(出所:TradingView)
■市場が回復した3つの原因は?
こうした反応となっているのは、3つの原因があると考えています。
1つ目は、死者の数です。
560名というのは、確かに多い人数ではありますが、市場関係者が震え上がるような数ではありません。そして、遅ればせながら、中国政府も都市の封鎖をするような措置まで実行し、本気でウイルスを閉じ込めようとしています。
こうしたことも、市場に安心感を与えているのでないかと思います。
2つ目は、中国以外での感染が、まだ、それほど多くないということです。
これまでのところ、中国以外の国で、感染者がもっとも多いのは日本ですが、それでも、その数は40人以下です。
死者も、中国以外では1人だけです。こうしたことで、中国以外の人には、それほど深刻さがないのではないでしょうか。
3つ目は、中国の経済対策です。
中国政府は、今回の事態を受け、今週(2月3日~)から市場が再開するのと同時に、大量の資金供給をしたりするなどの景気対策を打ち出しました。
この対応が、市場に評価されているという面もあります。
【参考記事】
●中国の資金供給は、18兆ではなく2.3兆円!? リスクオフの円高。ドル/円は戻り売り継続(2月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
●新型コロナウイルスは為替にどう影響する? 米ドルは上がるのか? 下がるのか?(2月4日、バカラ村)
今後も、決して油断してはいけないと思いますが…
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