■豪ドル/NZドルの快進撃に懸念が…
前述のように、今週(5月18日~)の豪ドルの動きは筆者に警戒感を芽生えさせたのですが、もうひとつの懸念は豪ドル/NZドルの動き。
過去2カ月の豪ドルの急騰には、豪ドル/NZドルの上昇も大きく寄与しています。
(出所:IG証券)
個人的に、筆者が豪ドル/NZドルに対して強気な理由としては、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])がマイナス金利に対して積極的ではないことが挙げられます。
豪州とニュージーランドの中央銀行が掲げる、金融政策のスタンスの相違から為替を考えてみると、RBAはタカ派であり、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])はハト派なので、豪ドル/NZドルは上昇ということになります。
【参考記事】
●マイナス金利導入も? 注目は主要中銀の金融政策。豪ドルは押し目買いの好機か(5月14日、西原宏一)
このことが過去2カ月、豪ドル/NZドルを押し上げており、同時に豪ドルが他通貨に対しても続伸してきた要因となります。
ただ、その豪ドル/NZドルの快進撃にも少々懸念が生じてきました。
豪ドル/NZドルが0.9996NZドルのボトムをつけ、反発を開始したのが、3月18日(水)。これは、RBA理事会の前日となります。
そして、豪ドル/米ドルが反発を開始したのが、RBAが利下げをした3月19日(木)になります。
(出所:IG証券)
その豪ドル/NZドルですが、5月18日(月)に1.0844NZドルの高値をつけ、反落を開始しています。
(出所:IG証券)
デマーク(※)インディケーターも、ひと相場終了し、反落を示唆。
(※編集部注:「デマーク」とは、TDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)
■豪ドル/円は上値余地限定で調整警戒
前述のように、豪ドル/NZドルの反発が豪ドル/円の59円台からの急騰を牽引してきたのであれば、今週(5月18日~)に入ってからの豪ドル/NZドルのじり安傾向は、豪ドル/円の反落を示唆しているともいえます。
加えて、このところの豪ドル/円の急騰は、WTI原油の上昇も要因のひとつとして挙げられますが、そのWTI原油は、5月20日(水)のNY市場で33ドル台まで急騰し、節目の35ドル手前まで急回復しており、ここからの上値余地は大きくないと考えています。
(出所:Trading View)
豪ドル/NZドルとWTI原油が急回復したことにより、上値余地が徐々に限定的となったことを考えれば、豪ドル/円の上値余地も次第に限定的になるのではないかと想定しています。
(出所:IG証券)
中期の流れは変わりませんが、豪ドル/NZドルとWTI原油の動きから、調整が警戒される豪ドル/円の動向に注目です。
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