■新型コロナウイルス治療薬への期待が高まる
みなさん、こんにちは。
4月29日(水)の米国株は、7週ぶりの高値に反発。

(出所:Bloomberg)
背景は、新型コロナウイルス治療薬への期待。
米国の大手製薬会社、ギリアド・サイエンシズが、抗ウイルス治験薬レムデシビルにおいて、新型コロナウイルス治療での有効性を調べる米国の臨床試験で、主要評価項目を満たしたと発表したことが、米国株を押し上げた要因。
リーマンショック時と違い、今回のショックは、新型コロナウイルスの感染で始まったわけですので、ウイルス治験薬の開発が進めば、マーケットは一気に戻るというのがコンセンサス。
よって、新型コロナウイルス治療薬開発の報道は、マーケットを一気に押し上げる材料となります。
【参考記事】
●新型コロナ対策でFRBが0.5%の緊急利下げ! ドル/円は短期で105円台、中期では100円も(3月5日、西原宏一)
■トランプ大統領が発表した「ワープスピード作戦」とは?
一方、トランプ米政権は、新型コロナウイルスワクチンの迅速な開発に向け、「ワープスピード作戦」を発表。
トランプ米政権は新型コロナウイルスワクチンの迅速な開発に向け、第2次世界大戦時の原子爆弾開発プロジェクト「マンハッタン計画」のように官民を総動員する「オペレーション・ワープ・スピード(超高速作戦)」を計画している。
出所:Bloomberg
さらに、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長も「あらゆることをする」と宣言!
米FRB、ゼロ金利と量的緩和を維持 パウエル議長「経済支援にあらゆる手段」
FRBのパウエル議長は会合後の記者会見で「4~6月期の米経済活動は過去に例を見ない勢いで落ち込むだろう」との見方を示し、米経済をサポートするために「あらゆる手段を講じることを約束する」と追加緩和を辞さない姿勢を強調した。
出所:毎日新聞
こうしたことを受けて、ナスダック総合指数は、年初の水準に接近しました。

(出所:Bloomberg)
原油相場は、急反発。

(出所:Bloomberg)
そして、米国株の急騰に呼応して、日経平均は節目の2万円台を回復。本稿執筆時点の日経平均は、2万350円に急騰しています。
マーケットは、リスクオンへ――。

(出所:Bloomberg)
このコラムで何度かご紹介させていただいたように、コロナショックに対し、米国は躊躇なき「金融緩和と財政出動」により、資金が溢れ出しています。
【参考記事】
●マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ?(4月9日、西原宏一)
結果、事態が沈静化した後、つまりポストコロナは、そうした資金が、株やコモディティ(商品)へ流れると考えています。
■ドクターコッパー上昇で、将来的にはリスクオン
そして、コモディティ(商品)の中での注目は、ドクターコッパー!
景気の行方を占うもの、つまり「炭鉱のカナリア」としてはバルチック海運指数(BDI)や、本コラムでもよく取り上げる逆イールドが有名です。
【参考記事】
●米国債に逆イールド発生で米景気後退か? NYダウは800ドル安! 米ドル/円は…!?(2019年8月15日、西原宏一)
●米国債の逆イールドはリセッションを警告! 米ドル/円は中期的に100円目指す展開も(2019年5月30日、西原宏一)
コモディティで有名なのが、銅価格! 銅価格は、経済の先行きを示してくれるバロメーターとされています。
その別名が、「ドクターコッパー」!
以下の日足チャートは、LME(ロンドン金属取引所)の銅価格と豪ドル/米ドルの相関を示したものになります。

(出所:Bloomberg)
LME銅先物は、3月19日(木)にボトムアウトしていますが、豪ドル/米ドルが安値である0.5510ドルに到達したのも3月19日(木)です。
そして、LME銅先物も豪ドル/米ドルも、そこから大きな押し目もなく、続伸しています。
LME銅先物が炭鉱のカナリアであるとすれば、この上昇は将来的なリスクオンを意味します。
■豪ドル/米ドルは0.7000ドルへ続伸する可能性高い
そして、通貨の「炭鉱のカナリア」として筆者が使っているのが、過去1カ月半にわたり、本コラムのテーマである「豪ドル/米ドル」。
【参考記事】
●極端な米ドル不足は徐々に改善傾向!豪ドル/米ドルは底入れ後、上値余地拡大(4月2日、西原宏一)
●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(3月26日、西原宏一)
こちらも、3月19日(木)(=RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が利下げをした日)から急騰しており、本稿執筆時点では一時0.6560まで反発。
およそ1カ月強で1000pips以上、米ドル/円でいえば10円急騰したことになります。

(出所:IG証券)
豪ドル/円も、70円回復目前の69.95円まで反発。

(出所:IG証券)
ユーロ/豪ドルに至っては、3月19日(木)高値の1.9802豪ドルから1.6552豪ドルまで3250pipsも暴落しています。

(出所:IG証券)
このように、豪ドル/米ドルは反発が急激であるため、調整局面はあるのでしょうが、株やLME銅先物がポストコロナに向けて前進している環境において、下落は限定的。
豪ドル/米ドルは、0.7000ドルへと続伸する可能性が高いと考えています。

(出所:IG証券)
株やLME銅先物がポストコロナへ向けてさらに前進する中、0.7000ドルへと反撃が続く豪ドル/米ドルの行方に、引き続き注目です。
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