■不良債権が増えるのはこれから…と米銀決算が示唆
しかし、米大手銀行の決算から、不良債権が増えるのはこれからだとする見方も台頭。
「V字回復ない」と米銀決算が示唆、貸倒引当金は2008年以来の高水準
米国政府と米金融当局の速やかな対応で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を理由とした不良債権の急増は回避できた。だが、米大手銀行の決算は、不良債権が増えるのはこれからだというメッセージを送っている。
出所:Bloomberg
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO(最高経営責任者)は、「今回は通常のリセッション(景気後退)ではない。その影響は、今後、目にすることになる」と予想。加えて、「当局が打ち出した政策措置の影響で、すぐにはその影響が表れてこないだけだ」とコメントしたようです。
JPモルガン・チェースのダイモンCEOは、リセッションの影響は今後、目にすることになると予想しているという (C)Bloomberg/Getty Images
彼の予想するように、リセッションの影響を今後、目にすることになるのであれば、米国株は早晩反落することになります。
(出所:Bloomberg)
筆者が、米国株の調整の可能性が高くなっていると考えるのは、ナスダック総合指数が史上最高値を更新しているにも関わらず、S&P500指数とNYダウは史上最高値までほど遠い状態にあるからです。
(出所:Bloomberg)
つまり、市場間でダイバージェンスが起きています。
これまでは、ナスダック総合指数が下落して調整される傾向が強く、今回も同様になると想定しているため(つまり、ベアリッシュ・ダイバージェンス)、このダイバージェンスを解消するためには、NYダウが前回の高値2万9568ドルを抜いていかなければいけません。
しかし、7月15日(水)のNYダウは2万6870ドルで引けており、これを抜いていくのは、かなり難しいのではないかと想定しています。
(出所:Bloomberg)
■米国株が反落すれば、米ドル/円の下落も鮮明に
さらに、前述のJPモルガン・チェースのダイモンCEOがコメントしているように、今回は通常のリセッションではなく、リセッションの影響を今後、目にすることになるのであれば、タイムラグをおいて、米国株も反落することになります。
今週(7月13日~)に入って、ユーロ/米ドル中心に米ドルの下落が鮮明となっていますが、米国株が反落することになれば、米ドル/円の下落も鮮明になると考えています。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
JPモルガン・チェースのCEOのコメントのとおり、リセッションの影響を今後、目にすることになるのか?
米国株におけるダイバージェンスの行方、そして、じわじわと下落を鮮明にし、依然として100円への過程にある米ドル/円の動向に注目です。
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