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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米大統領選、トリプルブルーなら増税を
掲げるバイデン氏勝利でも株高・円安に!

2020年10月08日(木)17:12公開 (2020年10月08日(木)17:12更新)
西原宏一

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■トリプルブルーなら、バイデン氏勝利でも株高・円安に?

 話題をマーケットに戻すと、「トランプ大統領の新型コロナウイルス感染報道でリスクオフ、 退院でリスクオン!?」という流れに…。

 つまり、多くの金融市場参加者は、どちらの政党を支持しているのかとは別に「トランプ氏勝利で株高、バイデン氏勝利で株安」と見ていることになります。

 しかし、多くの国民は株安を誘引する大統領より、株高に導く大統領を支持するのは当たり前なので、このコンセンサスは民主党としては困るわけです。

 そこで、先週(9月28日~)あたりから、新しい考え方が出てきました。

 それは、トリプルブルーで、リスクオンの「株高・円安」という考え方。

 「トリプルブルー」とは、バイデン氏が大統領選挙で勝利し、上下両院とも民主党が制することを指します。民主党のシンボルカラーがブルーなので、この呼び名がついています。

 基本的には、減税公約のトランプ氏と増税公約のバイデン氏を比較すると、トランプ氏勝利でリスクオン、バイデン氏勝利でリスクオフになるのは当然です。

 しかし、バイデン氏が勝利し、上下両院とも民主党が勝利すれば、民主党が提案している2.2兆ドル規模の追加経済対策への期待が高まります

 そこで、「いったん増税のマイナス効果は忘れ」、トリプルブルーでも株高という考え方が増えてきている…というか、そういう考え方を浸透させようとする報道が増えてきています

米大統領選挙でバイデン氏が勝利しても、トリプルブルーなら株高という考え方が増えてきているという  (C)Scott Olson/Getty Images News

米大統領選挙でバイデン氏が勝利しても、トリプルブルーなら株高という考え方が増えてきているという  (C)Scott Olson/Getty Images News

 これは、米大統領選挙に向けての新しいコンセンサスといえます。

 なぜなら、この文脈に沿えば、次期大統領にバイデンさんが選ばれたとしても、トリプルブルーであれば株高ということになります。

 一方、トランプさんの再選は通常、株高だとされていましたが、民主党が上下両院を制した場合は、「ねじれ議会」となり、リスクオフになるという考え方となります。

 この考え方では、これまでの「トランプ氏勝利で株高、バイデン氏勝利で株安」ということではなく、上下両院をどちらが取るか、ということの方が重要だということになります。

■次の「オクトーバー・サプライズ」にも警戒!

 米大統領選挙の直前になると、「サプライズな事件」が起こりがちです。

 冒頭でも紹介したとおり、特に10月は「オクトーバー・サプライズ」といわれ、マーケットのコンセンサス自体が変わることがあります。

 今回は、10月に入ってすぐにトランプ大統領自身が新型コロナウイルスに感染するという「オクトーバー・サプライズ」が起こりました。

 そして、トリプルブルーという民主党の圧勝という状況ではリスクオンとなり、「株高・円安」という考え方が徐々に拡大してきました。

 米大統領選挙まで、あと1カ月弱。

この後もヘッドラインでマーケットが方向感なく乱高下する可能性があるため、要注意です。

 4年前のように、トランプ大統領の勝利というサプライズで、米ドル/円が16円も急騰するというように、ボラティリティが高まる時期が近づいてきているため、ヘッドラインに振り回されず、しっかりとマーケットについていきたいところですね。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:IG証券

 そして、次の「オクトーバー・サプライズ」にも警戒です!


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