■カナダ中銀のテーパリング開始に驚き! カナダドル急騰!
BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])が、毎週の国債買い入れ目標額をこれまでの40億カナダドルから30億カナダドルへと減額決定しました。量的緩和政策の縮小、すなわち「テーパリング」(※)の開始になります。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
同時に、「経済のスラックが吸収されるまで」金利を下限に維持するとしてきましたが、その時期はこれまで2023年でした。それを2022年下半期へと前倒ししてきました。つまり、利上げ開始は2022年下半期ということになります。
一部では、このようなBOCの動きは予想されてはいましたが、本当に動いてきたのは驚きです。
アフターコロナの世界で金融引き締めに動いた第1号なので、カナダドルは急騰しました。米ドル/カナダドルは1.26カナダドル台半ばから1.2460カナダドル前後へ、カナダドル/円は、85.50円前後から86.78円前後へと吹っ飛びました。
(出所:IG証券)
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■カナダ中銀に続き、テーパリングを開始するのは…?
こうなると、「次はどこの中銀か?」と市場は考えます。ニュージーランドや豪州といったところが候補でしょうか。
豪ドル/米ドルは、0.7705ドル前後から0.7760ドル前後へと上昇しました。ニュージーランドドル/米ドルも、0.7170ドル前後から0.7215ドル前後へと急騰しました。
(出所:IG証券)
(出所:IG証券)
RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])がテーパリングに動くにしても、まだ時間がかかりそうですが、そのうち動いてくるでしょう。ニュージーランドも同様なので、今後、中銀の政策発表には注意が必要です。
■FRBが6月FOMCでテーパリング示唆との見方もあるが…
そして、もっとも注目されるのは、やはり米国でしょう。
このところ、FRB(米連邦準備制度理事会)が、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)においてテーパリングの示唆に動くのではないかというレポートが出ています。
ところが、パウエル議長を始め、FRBの委員たちは、2023年までは金利を上げるつもりがないことをドットチャートで示しています。
【参考記事】
●「コロナバブル」の終焉は近い…? 豪ドルの調整入りが引き金になるか(3月24日、志摩力男)
つまり、利上げに動くのは2024年からということになります。まだまだ先の話です。
現在、FRBは量的緩和政策も同時に行っています。毎月、米国債を800億ドル、モーゲージ債を400億ドル購入しているものを少しずつ減らしていかなければなりません。これをテーパリングと言います。
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■FRBが政策変更するには、「匂わせ」が必要
今回、BOCはいきなり減額措置に踏み切りました。よって、相場も大きく動きましたが、FRBの場合、もっとていねいな仕事が要求されます。つまり、「テーパリングを将来のあるタイミングでは行いますよ」という示唆をしなければならないということです。
テーパリング開始の3カ月から半年前ぐらいからでしょうか。利上げ開始が2024年初め、テーパリング開始が2023年初めとすれば、2022年夏ごろに、そうした示唆が出てくるということでしょう。利上げのタイミングを1年ぐらい早めたい場合は、それぞれ1年早まることになります。
2022年にテーパリング、2023年に利上げというスケジュールであるならば、政策変更の匂わせが今年(2021年)の夏にもあるかもしれないということです。
2022年にテーパリング、2023年に利上げというスケジュールであるならば、政策変更の匂わせが今年(2021年)の夏にもあるかもしれないというのが、志摩さんの見方 (C)Bloomberg/Getty Images News
■FRBのテーパリング示唆は、8月ジャクソンホールが有力か
来週(4月26日~)、28日(水)にFOMCが開催されますが、そこではちょっと早いでしょう。ただ、気の早いエコノミストは、6月開催(6月16日)のFOMCで何らかのテーパリング示唆があるのではないかと言い始めています。6月FOMCでも、まだ早い。
個人的には、早くても今年(2021年)8月、ジャクソンホールの経済シンポジウムではないかと思っています。昨年(2020年)も、ジャクソンホールではAIT(平均インフレ率)という概念が発表されました。
パウエル議長の任期は、2022年2月までです。ギリギリのタイミングに政策変更を示唆することはできないので、やはりジャクソンホールがそのタイミングかなと思っています。
それまでは、テーパリング示唆期待が高まっては消え、という状況になるのでしょう。
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