ちなみに、米カリフォルニア州が事実上、破たん状態にあることはあまり知られていないが、州内では、警察署まで解散して、すべての公共サービスをアウトソーシングするといった過激な措置をとる地方自治体も出るほど問題が深刻化している。
早晩、マスコミが「米国崩壊」といったタイトルで騒ぐ局面に発展していくのが目に見えるようだ。

■借金が巨額だと、借りた金を返せない者が威張っている
次に「外患」の方だが、よく知られているように、米国は世界最大の債務国である。そして米国に一番金を貸しているのは中国、日本と中東の国々だ。
米国が他国から借金するおもな手段は米国債の販売だが、そのうち、最大の買い手は中国である。中国は米国債を約2兆4000万ドルも持っている。
民間企業と銀行の関係のように、国同士の取引も金額の大きさによって、借り手と貸し手の地位は異なってくる。
一般の中小企業が銀行に頭を下げてひたすらお願いして金を借りたとしても、金額が小さいから、銀行の地位が高く、銀行の言いなりにならざるを得ない。
ところが、JALのように銀行から巨額の借金をした場合は、銀行の地位は必ずしも高いとは言えず、場合によってはひたすら心配し続け、お祈りばかりするはめになるかもしれない。
なぜなら、借金が巨額で、どうせ返せないのだから、企業としてはいっそ破たんしたほうが楽なのである。一方で貸した側は、その分リスクとストレスが大きい。実際JALは一旦破たんし、銀行の巨額債権をチャラにした。
■国同士の借金の帳消しはいくらでもあった
中国、日本などの国家を銀行にたとえるなら、今の米国は破たん前のJALである。
「いや、そんなはずはない。米国は大きな信用力がある、かつ世界最大の経済大国であるから、国同士の借金の帳消しなんてありえない」という方も多いが、彼らは総じて歴史を勉強していなかったのだろう。
過去には、国同士の借金の帳消しはいくらでもあった。米国は戦後、英国、ヨーロッパの国々に対して借金をチャラにした経験があった。だからこそ、その後密かに「借りすぎたお金は返さなくてもよい」と考えるようになったのだとすれば、それは何のサプライズでもない。
「騙す人よりも騙される人の方が悪い」という言い方もある。一番酷な言い方をすれば、多額の借金がある対象に度を越して貸す方が悪いのだ。銀行も国も一緒である。
■「米ドルの罠」へ反撃する中国
要するに、中国をはじめ、諸外国がこのような「米ドルの罠」にはめられたことは明白だ。日米同盟の大義名分のもと、見動きを取れない日本と違い、主体的に動ける国家として中国は「米ドルの罠」へ反撃に出ようとしている。
これこそ米ドルのアキレス腱を切ろうとする戦略であり、米ドルの危機はそこにある!
それについて、詳細はまた次回に。
(次回記事「米ドルの罠にはめられた中国は損失覚悟の米ドル資産売却へ動き始めた」へつづく)
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