急激な円安修正にイエレン米財務長官も理解を示す?
みなさん、こんにちは。
今月に入り、本邦当局から介入に関するコメントが相次いでいます。
例えば、鈴木俊一財務相。9月8日時点で「あらゆる選択肢を排除せず、適切な対応を取りたい」と述べました。
「あらゆる選択肢排除せず」というコメントは、警告の最終段階になります(残るは「いつでもやる用意がある」というコメント後の実弾介入)。
ただ当局が為替介入をするということは、当該相手国の了承を得る必要があります。例えば、米ドル/円であれば、当該相手国は米国になります。
本邦当局は19日、米国のイエレン米財務長官から介入の理解を得た、という意図ともとれるコメントを引き出しています。
日本の円買い介入、米の姿勢は「状況次第」=イエレン財務長官
(出所:ロイター通信)
これで米国の了解を得たことになります。
次は国内。
岸田総理も急激な円安修正に理解?介入の外堀は埋まる!
25日、岸田首相は、円安が進む為替市場について「引き続き高い緊張感を持って注視していきたい」とコメント。さらに、「為替相場はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映して安定的に推移することが重要だ。過度な変動は望ましくない」とも指摘しました。
岸田首相、為替相場「緊張感持って注視」 円安対応問われ
(出所:日経新聞)
こうしたコメントは、岸田首相が自分の意見として為替のコメントをしたというより、当局が要請し、日本政府として急激な円安には断固として対応するというスタンスをマーケットに示したことになります。
これで介入に関して外堀が埋まったことになります。
では、いつ介入に入るのか? そしてそれは効果があるのか?
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介入が入れば5円程度の円安修正も!
まず、どういうタイミングで介入に入るのか?
前述のロイターの記事にもあるように、「過度の変動に対してはあらゆる選択肢を排除せず」としているので、為替介入はあくまで過度の変動を抑えるのが目的で水準訂正をするわけではないとしています。
つまり、米ドル/円が何らかのニュースをきっかけに短期的に一気に円安が進んだ局面では介入が入ると想定されます。
では、それは効果があるのか?
仮に今回、日銀の米ドル売り介入が入れば、いったん5円程度円安が修正されるというのがマーケットのコンセンサスになりつつあります。
なぜ介入が入れば、5円程度も円安修正が進むのかは、現在の米ドル/円の水準が影響しています。
本稿執筆時点での、米ドル/円はほぼ150円、ユーロ/米ドルは1.0500ドルまで米ドル買いが進んだことになります。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
これは過去のコラムでご紹介させていただいたように JPモルガン銀行を筆頭としたマーケットの年内のターゲットにほぼ到達しています。
【※関連記事はこちら!】
⇒「円安は終わらない!? 介入警戒感は高まるも、米ドル/円は、1米ドル=152円に向けた押し目買い! 中国経済の急減速がユーロ下落を誘引、ユーロ/米ドルは1.05ドルへ」(2023年9月7日、西原宏一)
つまり、マーケットは米ドル/円の150円レベル、ユーロ/米ドルの1.0500ドルレベルという当初のターゲットで利益を確定し始めているため、150円レベルからの介入は、彼らの利益確定も相まって効果的。そのため、5円程度円高が進むと考えられています。
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介入を歓迎する海外勢も多く、円安修正は一時的か?
しかし、大規模な介入が入っても昨年のように米ドル高の流れを大きく変えるのは難しいかもしれません。
なぜなら、介入に関してこれだけ当局が外堀を埋めると、介入が近いということをマーケットに知らせることになります。自分も含め欧米勢は介入による米ドルの押し目をずっと待ってる展開になっているからです。
(出所:TradingView)
イエレン米財務長官に、岸田総理も急激な円安修正に理解を示し、介入に対し外堀は埋まってきました。
実弾介入の時期が近づいた米ドル/円相場と、介入を歓迎する海外勢の動向に注目。
急速な円高局面があれば、押し目買いの好機としたいところです。
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