米ドル/円が「NY連銀のレートチェック」報道で153円台まで大幅下落! この動きは要注意で上値は当面重そう
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
MC叶内 天然ガスが急騰しているなと思ったら、全米で大雪嵐が発生中だそうです。日本も大寒波ですね。
トレーダー西原 日本も大寒波で寒いですが、日本の政治と相場は熱いですね。
先週金曜日(1月23日)の植田日銀総裁の会見が終わると、いつものように会見の内容に関係なく円安に。一時159.23円と160円目前まで米ドル/円が急騰しました。ところが、その後あっという間に153円台まで反落しています。そのあたりの熱い動きを追いかけていこうと思います。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
それでは叶内さん、まず先週(12月15日~)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 米国株は主要3指数とも小幅続落しました。
S&P500は前週末比0.35%安で、7か月ぶりの2週続落です。NYダウは0.52%安、ナスダック総合指数は週後半3日続伸しましたが、前週末には14ポイント足りずでした。
連休明けの1月20日(火)、トランプ米大統領が米国によるデンマーク自治領グリーンランドの領有に反対する欧州8カ国に追加関税を課すと発言し、米欧の対立激化が警戒されてトリプル安となりました。
その後、1月21日(水)に追加関税を見送る考えが表明されると大幅反発。トランプ氏はNATO(北大西洋条約機構)のルッテ事務総長と会談し、北極圏について協議する枠組みの構築で合意し、ひとまず動揺は沈静化しました。
7~9月期実質GDP(改)が前期比年率4.4%など、このところの経済指標は米国経済の強さが確認され、安心材料となる一方、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ見通しが後退しています。
日経平均は前週末比89円(0.17%)安の5万3846円と、小幅ながら3週ぶりに下落しました。ボラティリティは大きかったものの、年初から3500円も上昇したあとと考えると、強い展開が続いたと言えそうです。TOPIXは-0.79%で3週ぶりの下落です。(ただし、金曜引け後に為替が円高に大きく振れ、日経平均先物も急落しました。)
米欧の対立が激化するとの懸念から週半ばまで下げたあと、「TACOトレード」で戻しました。ディスコが決算後に急騰し、他の半導体関連にも買いが波及しました。選挙がらみでは、食品に対する消費減税が持ち上がり食品・小売りセクターが上昇しました。
日銀会合(日銀金融政策決定会合)は「現状維持」。植田総裁は長期金利の上昇について、「かなり速い」との見方を示し、必要に応じて機動的なオペレーション(国債買い入れなど)を実施する可能性を示唆しました。1月20日(火)に40年債利回りが一時4.2%を超えるなど、ベッセント米財務長官に「6σの動き」とも言われる急上昇を見せていました。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 当初はトランプ大統領とグリーンランドの件を大きく取り上げようと思ったのですが、今週はなんといっても米ドル/円でのNY(ニューヨーク)連銀のレートチェックを取り上げます。
1月23日(金)のNY時間午後に、米ドル/円が急落。一時155.63円と昨年8月以来の大幅な下落を記録しました。
円高のきっかけは、まず日銀のレートチェックのうわさですが、NY連銀も「レートチェックを実施した」という報道が拡大したことが、円高加速の要因です。
市場関係者は、このNY連銀のレートチェックを「日本の市場介入を支援する準備を進めている可能性がある」と憶測しています。
つまり今回、日本当局が介入した場合、単独介入ではない可能性(=日米協調介入の思惑)があることを示唆しているといえます。
過度な円安を防ぐとともに、日本国債市場の安定化に間接的に寄与することが共通の目的なのでしょう。
もともと米ドル売りに傾斜していたユーロ/米ドルも、1.18ドル台前半でNY市場を終えています。
加えて、高市総理の下記のコメントにより、米ドル円は一時153.81円まで円高が加速しています。
高市早苗首相は長期金利上昇を含む足元の市場の動きについて、「投機的な動きや異常な動きには日本政府として打つべき手はしっかり打っていく」との見解を示した。
(出所:Bloomberg)
このNY連銀の動きは要注意で、米ドル円の上値は当面重いと想定しています。詳細は展望にて。
それでは叶内さん、今週の注目イベント、そして今週の株式市場の展望をお願いします。
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米ドル/円は150円割れを目指して戻り売り。市場は「米国主導の円買い介入」の可能性を連想
MC叶内 1月27日(火)から1月28日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。市場では据え置きがほぼ確実視されています。
パウエルFRB議長会見、次期議長候補者のひとりウォラー理事の政策スタンスを確認します。まもなく次期議長が発表されるでしょうが、FRBの独立性に疑念が広がるようであれば株価の波乱要因にもなりかねません。ここにきて、ブラックロック幹部のリーダー氏が急浮上しているそうです。
株式市場では日米とも決算発表が重要になります。
ビッグテックでは1月28日(水)にマイクロソフト、テスラ、メタ、1月29日(木)にアップルが予定されています。このところの株価は全般にさえませんでしたので、決算期待はさほど高くなく、ショックもなさそうです。
1月28日(水)には半導体露光装置の蘭ASMLの決算発表もあります。受注高、見通しに注目です。1月29日(木)の韓国サムスン電子も要チェックです。ほか、1月27日(火)にシーゲイト、TI、1月28日(水)にIBM、コーニング、1月29日(木)に欧州ABB、キャタピラーなども予定されています。
国内では1月26日(月)にフィジカルAIで注目されるファナック、1月27日(火)に信越化、カプコン、1月28日(水)にアドバンテスト、1月29日(木)に日立、富士通、NEC、1月30日(金)に三井住友FGなどが決算発表予定です。
債券市場が荒ぶっていますが、1月28日(水)には40年債の入札があります。日本の財政問題を手掛かりにした投機の動きなどに注意でしょうか。米5年債、7年債の入札も今週です。
1月31日(土)に米上院で6つの資金法案のパッケージが投票予定で、これが通過しなければ連邦政府の資金が切れ、再び部分的な政府閉鎖が発生します。
経済指標は、米国では1月27日(火)の1月コンファレンスボード消費者信頼感指数、1月29日(木)の11月貿易収支、1月30日(金)の12月PPI(卸売物価指数)が重要でしょう。ユーロ圏では10~12月期GDP、12月失業率が1月30日(金)に発表予定です。
国内では、1月28日(水)に日銀議事要旨(12月開催分)が発表になります。1月30日(金)の12月の完全失業率と有効求人倍率、鉱工業生産も注目されます。
そして、2月8日(日)投開票が決まった衆議院選挙。情勢をめぐる報道によっては「高市トレード」がブーストされたり、巻き戻しが起きたりするかもしれません。
為替はいかがですか?
トレーダー西原 海外勢が気にしているのが日本国債ショックです。日本国債の利回り急騰が歴史的に際立っているため、米独国債の上昇を誘引します。
ベッセント米財務長官は1月20日(火)、日本国債市場で起きた急激な利回り上昇を「6σ級の変動」と表現しました。そして、それに続くNY連銀による米ドル/円のレートチェックという一連の流れは、現在の国際金融市場における最大の「ブラックスワン・イベント」として注目されています。
この事態の背景には、日本の財政政策への懸念と、米国の異例とも言える介入姿勢の変化が複雑に絡み合っています。
ベッセント米財務長官が発言した「6σ級の変動」の統計的な意味、引き金、真意を読み解くと、以下のようになります。
●統計的な意味:6σとは、統計学的に「100万回に数回(あるいは数億日に一度)」しか起こらないはずの極端な異常事態を指す
●引き金:高市総理による「食料品への消費税2年間停止」という大規模な財政出動方針や、野党の消費税減税報道が、日本の財政悪化懸念を爆発させ、10年債利回りが27年ぶりの高水準まで急騰した
●ベッセント米財務長官の懸念:日本国債の混乱が米国の国債市場に波及し、米国の借り入れコストを押し上げていることを強く警戒している
また、NY連銀による「異例のレートチェック」についてですが、そもそも「レートチェック」とは、通貨当局が銀行に現在の為替レートを問い合わせる、介入の前段階のこと。
米ドル/円のレートチェックは通常、日本の財務省の指示で日銀が行うものです。しかし、今回は「NY連銀が米財務省の意向を受けて動いた」と報じられました。
この報道は、円安による日本国債急落が米国の金利上昇を招くという負のループを断ち切るための、「米国主導の円買い介入」の可能性を市場に連想させました。159.23円まで上昇していた米ドル/円が一気に153円台まで反落しています。
今回の動きは単なる「円安阻止」ではなく、「グローバルな債券市場の崩壊を防ぐための緊急防衛策」と言えます。
この意味において、米ドル/円の上値は当面重く、150円割れを目指して戻り売りの方針です。

(出所:TradingView)
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今年も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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