米ドル/円は155円台前半へ急落! 米財務長官の円安けん制と日銀の利上げ加速観測が円高要因に
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 それでは叶内さん、さっそく先週(8月31日~)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 先週はS&P500が前週末比0.09%高とほぼ横ばいで終わり、方向感のはっきりしない1週間でした。
NYダウは前週末比0.27%安(145ドル安)と小幅反落、ナスダック総合指数は0.4%高となるなど、主要3指数はまちまちでした。
先々週(8月24日~)、ジャクソンホール会議で行われたFRB(米連邦準備制度理事会)のウォーシュ議長による講演内容が「タカ派」的だったことを消化しつつ、世界的な金利上昇への警戒感が続きました。
ウィリアムNY連銀総裁やウォラーFRB理事のハト派発言を受けて、利上げ観測はやや後退したものの、中東情勢の再緊迫化で原油価格は高止まりしています。
日経平均は前週末比1384円(2.1%)安の6万5020円と2週ぶりに下落。TOPIXも反落、1.1%安で終えました。
そのほか、日本10年債利回りが3%の大台に乗せたことは話題になりました。
注目だった9月4日(金)発表の8月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が16万2000人増と市場予想を大きく上回り、失業率は4.1%と前月から横ばいで低水準でした。強い内容と受け止められ、金利が上昇、株価の抑制要因になりました。
一方、平均時給の前年比は2021年5月以来の低い伸びとなりました。賃金面からのインフレ圧力が和らいでいることも示され、米国株式市場への影響は総じて限定的でした。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 先週の為替市場は、米ドル/円が主役でした。週の後半にかけて一気にボラティリティが高まり、一時155円前半まで下落しました。
きっかけは大きく2つあります。
1つ目が、ベッセント米財務長官を巡る報道です。高市政権のリフレ政策に対して、かなり強い苛立ちを示していたと伝わりました。
米国の財務長官が日本の経済政策、とくに金融緩和と円安の組み合わせに不満を持っているとなれば、これは事実上の円安けん制です。
マーケットは素直に「米国は今の円安を容認しない」というメッセージとして受け取りました。
2つ目が、高田日銀審議委員の連続利上げに関する報道です。これで日銀が連続利上げに踏み込むという観測が一気に強まりました。また、0.5%の利上げの可能性があるとの受け止めも一部にありました。
OIS(翌日物金利スワップ)市場で日銀の利上げ織り込み度を見てみると、来年(2027年)7月までに0.25%の利上げを3.7回程度織り込んでいます。市場が織り込む金利水準は1.89%と2%に迫っており、追加利上げ観測が急速に強まっています。
叶内さんが触れた日本10年債利回りが3%の大台に乗せたのも、同じ流れのなかの動きですね。
「米財務長官からのプレッシャー」と「日銀の利上げ加速観測」がそろって円高要因となり、米ドル/円は155円台前半まで一気に下げました。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
それでは叶内さん、今週(9月7日~)のイベントと株の注目点をお願いします。
★ザイFX!で人気の西原宏一さんの有料メルマガ「トレード戦略指令!」では、タイムリーな為替予想や実践的な売買アドバイスなどをメルマガや会員限定ウェブサイトで配信! メルマガ登録後10日間無料です。
米ドル/円は155円割れなら152.10円の年初来安値、その先の150円まで視野に入れたい
MC叶内 米国は9月7日(月)がレイバーデーで休場。これで夏休みシーズンが終わります。市場に帰ってきた人々が何から始めるのかでムードが決まるでしょう。
最大の注目は9月利上げの可能性を占うCPI(消費者物価指数)ですが、発表が11日(金)なので、今週はやや様子見ムードが強いかもしれません。CPIの市場予想は前年比+3.4%と、前月から横ばいの見込みです。
物価統計では10日(木)にPPI(卸売物価指数)の発表もあります。個人的にはCPIの先行指標だと思っています。
11日(金)のミシガン大学消費者信頼感指数では、長期の期待インフレも重要です。パウエル前FRB議長は気にしていた指標でした。
FOMCを前に、トランプ大統領が再び利下げを要求する発言をしています。利下げを実施しない場合、貿易赤字を抱える国との貿易を停止するとのこと。
指標次第ではありますが、こうしたトランプ大統領の利下げ要求が続くなかで利上げが見送られた場合、FRBの独立性に対する懸念が強まることも考えられます。
そのほかでは、8日(火)に8月NY連銀消費者インフレ期待が発表されます。
国内の経済指標では7日(月)に7月景気動向指数、8日(火)に毎月勤労統計、GDP二次速報値、景気ウォッチャー調査、9日(水)に工作機械受注、11日(金)に7~9月期法人企業景気予測調査が発表されます。
中国では8日(火)に8月貿易収支、9日(水)に8月のCPIとPPIが発表になります。同日には台湾輸出入貿易統計も発表され、AI半導体関連の活況度をチェックできるでしょう。10日(木)はTSMCの月次売上も出てきます。
米決算では10日(木)のオラクルが注目。アドビも同日です。
また、9日(水)にはアップルのイベントが予定されており、折りたたみiPhoneの発表も見込まれています。お値段はいくらになるのでしょうか。
9日(水)には米10年債入札も実施され、同日から財務省が長期債買い戻しを倍増する予定となっています。10日(木)には米30年債入札も実施されます。
国内では、増日銀審議委員が10日(木)に金融経済懇談会であいさつします。中立の増氏がタカ派的な発言をすると影響があるかもしれません。
なお、レイバーデー明けに米中間選挙戦が本格化し、9日(水)~10日(木)に異例の米共和党大会が開催されます。
そのほか、7日(月)から日米韓合同演習が行われ、8日(火)はカナダが対米報復関税(50%)を発動予定です。
欧州では6日(日)に独ザクセン・アンハルト議会選があり、極右AfDが圧勝しました。9日(水)~10日(木)はECB(欧州中央銀行)理事会が開かれ、市場では利上げが見込まれています。
株式市場関連では、アンソロピックのIPOが10月中旬に後ずれするとの報道がありました。需給の悪さが心配されている9月ですが、いいのか悪いのか。そして週末はメジャーSQです。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 まず個人的には、アップルのイベントで発表されるとみられる折りたたみiPhone。一体どれぐらい高額になるのかが恐怖です!
そのiPhoneの日本での販売価格にも為替相場が影響するとみられる点で、米ドル/円に注目しています。
今のところ155.00円のオプションに支えられて、なんとか下げ止まっている状態。ただ、僕が気にしているのは戻りの弱さのほうです。
サポートされているのに反発が弱い。つまり、155.00円付近ではオプション絡みの米ドル買いに支えられている一方、反発局面では同じくオプション絡みの米ドル売りが出るため、戻りは限定的だとみています。
先週まで断続的に出ていた事業法人の米ドル買いは、155~160円のエリアでいったん買い終わったという噂もあります。想定したほど米ドル買いが出てこないということだと見ています。
こういう形になると、155.00円のオプションによるサポートは、たいてい最終的に破られます。
155.00円が決壊した場合、次のターゲットは年初来安値の152.10円レベル。ただ、ここも通過点になる公算が高いとみています。その先の150円まで、視野に入れておきたいところです。
結果的に、米ドル/円の160円台は、いわば「ベッセントシーリング」のような上値抵抗になり、重くのしかかってくるとみています。
戦略としては、米ドル/円の戻り売りを継続。米CPIなどの発表で戻りがあれば、売り増しを考えています。

(出所:TradingView)
一方、木曜(9月10日)のECB理事会にも注目しています。市場は0.25%の利上げをほぼ織り込んでいます。
ECBはG7(先進7カ国)でもタカ派的な中銀という立ち位置ですから、ユーロ/米ドル自体も底堅くなってきています。
ただ、急速に円高になった場合は、ユーロ/円の売りで上値を抑えられることにも留意したほうがいいでしょう。
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
















![ヒロセ通商[LION FX]](/mwimgs/9/7/-/img_975127cf2c6be2ac1a68a003ef3669c022946.gif)








株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)