米ドル/円は日米首脳の円安けん制で159円台から反落! AI・半導体株は上昇
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 それでは叶内さん、さっそく先週(9月21日~)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 Metaのエージェント型AI「Muse」の発表を受けてAI利用のさらなる拡大が想起され、AI・半導体関連が大きく買われました。
ナスダック総合指数が週間で2.06%上昇し、最高値を更新。フィラデルフィア半導体指数(SOX)も、週間で6%超の上昇、戻り高値をとってきました。
Metaが週間で12.9%高と急騰、ビッグテックの力強い上昇が指数全体を牽引し、S&P500も1.21%高と反発しています。
一方、AIエージェントに仕事を奪われる懸念で金融などが売られました。また、金利上昇のあおりを受けた中小株や高配当セクターが下落しています。
NYダウは0.28%高と小幅な上昇、小型株のラッセル2000は0.80%安と3週連続安です。
米10年債利回りが一時5.23%台(約19年ぶりの高水準)まで急上昇したものの、ハイテクが買われ、株価は崩れていません。
金利上昇は、PMIや耐久財受注などの指標で確認されたように米経済の強さによるものとの見方があります。
ただし、米国の住宅ローン金利も7%程度となっており、個人消費への影響は懸念されます。
金利、インフレ動向にも直結する中東情勢は、米国とイランの交渉担当者が停戦やホルムズ海峡の再開を巡り協議を行ったと伝わり、WTI原油先物は1バレル=92ドル台前半(週初は100ドル超)に反落しました。これも株価を支えた材料です。
AI関連では週末、9月25日(金)にMicrosoftが次世代Copilot「Autopilot」を発表し、株価が3.66%(週間4.53%)高と大きく上昇しています。
米中首脳会談では、大きな成果はなかったものの、貿易については先送り、AIの開発制限については原則的な議論にとどまったようで、AI関連にはプラス、株式市場全体への影響は限定的です。
これを受けて5連休明けの東京市場でもAI・半導体関連に買いが入り、日経平均は前週末比1345円(2.1%)高の6万6364円と、2週連続で上昇しました。
9月末の配当権利取りの動きもあったようで、東京市場では銀行株が非常に強く、TOPIXも0.92%高と続伸しました。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 先週の為替市場は、前半と後半で景色がガラリと変わった1週間でした。
前半は、前週(9月14日~)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)の余韻が続きました。
日銀は18日(金)、政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げることを決定しました。
ところが、日銀審議委員の浅田氏と佐藤氏の2名が反対票を投じたことで、市場は「日銀はハト派」と受け止めました。せっかくの利上げが、かえって円売りの材料になってしまったわけです。
日本がシルバーウイークで薄商いのなか、23日(水)には予想を上回る米PMIを受けて米金利が上昇。米10年債利回りは一時5.22%と急騰し、米ドル/円も一時159.04円まで上昇しました。
しかし、後半の主役は日米の首脳でした。日米首脳会談でトランプ米大統領が円安への懸念を示し、高市首相も「円の過小評価は問題」と発言しました。会談を受けて片山財務相も、米ドル/円が159円に向けて反発する場面で円安けん制を繰り返しています。
さらに、25日(金)には城内経財相が「リフレの局面は終わった」と述べました。これまでリフレを推進してきた立場からの発言だけに、片山財務相のコメント以上に円買いを誘いました。
市場では「けん制で下がったら押し目買い」という声も聞かれました。ですが、ヘッジファンドは米ドル/円のショートを積み増しているようです。週末の米ドル/円は157.28円で取引を終えました。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
スイスフランは、24日(木)のSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の金融政策発表が材料になりました。
市場の一部には、スイスフラン安を警戒してタカ派に傾くとの見方もありましたが、結果は政策金利を0%に据え置き、為替介入に関する文言を中立的な表現に戻すにとどまりました。
タカ派の芽が消えたことで、スイスフランは対ユーロで売られています。スイスフラン/円は189.85円で越週です。
このほか、23日(水)には米国がディーゼルの輸出禁止を検討していると報じられました。メキシコは米国産ディーゼルへの依存度が高いこともあり、米金利上昇と米ドル高も重なってメキシコペソが売られました。
それでは叶内さん、今週(9月28日~)のイベントと株の注目点をお願いします。
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米雇用統計など重要指標が相次ぐ! 米ドル/円とスイスフラン/円は戻り売り継続
MC叶内 金利上昇圧力が継続するなか、インフレと雇用の重要データが出るため、神経質な展開になりそうです。
もっとも注目されそうなのが9月30日(水)発表の8月個人消費支出(PCE)価格指数です。 FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ判断でもっとも重視する指標といわれます。
コアPCEの上昇ペースが再加速していないかが最大の焦点。前月比・前年比ともに伸びが拡大すれば金利上昇・株安の要因となりそうです。
10月1日(木)には9月ISM製造業景況感指数が発表されます。 製造業の景況感とともに、「支払価格(価格指数)」の上昇圧力が持続しているかもチェックしたいところ。
そして、10月2日(金)は9月米雇用統計の発表があります。市場予想では非農業部門雇用者数の伸びは9.0万人前後の見込みです。
8月の大幅増(16.2万人増)に比べると伸びは落ち着くものの、コスト増加や高金利環境が続く中でも「米国の雇用意欲は底堅い」という見方を裏付ける水準とみられています。
失業率は4.1%で前月から横ばい予想、平均時給も前月比0.3%増と前月からの横ばいが見込まれています。
雇用統計を控えて、9月29日(火)に8月JOLTS(雇用動態調査)、9月30日(水)に9月ADP全米雇用報告が出てきます。
企業関連では30日(水)の引け後にマイクロンが決算発表を行う予定です。HBMの供給能力、設備投資計画が気になります。
国内では、30日(水)に8月鉱工業生産、10月1日(木)に日銀短観、2日(金)に8月完全失業率と8月有効求人倍率が発表予定です。
日銀短観はAI・半導体需要の回復が追い風になり、大企業製造業DIで4ポイント程度の改善予想です。そのほか、2026年度の設備投資計画、企業の想定為替レート、日銀の利上げ判断につながると思われる物価見通し・価格転嫁スタンスが注目です。
9月28日(月)に配当権利付き最終売買日を迎え、29日は350円程度配当落ちになる計算です。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 今週はまず、先週から始まった「円安阻止」の流れが続くかどうかに注目です。
先週の最大のポイントは、円安阻止が「首脳レベル」に格上げされたことでした。
先ほどお話ししたように、財務相だけでなく、日米首脳や経済閣僚まで円安への警戒を示し始めています。これまで円安を支えてきた前提が崩れつつあるわけです。
ここで興味深いのが、ゴールドマン・サックスの見方の変化です。9月14日(月)のレポートで同社は、戦術的には円ロングに妙味があるとしていました。
ただし、1年後の米ドル/円予想は165円で、足元の円高は調整にすぎないという位置づけでした。
そのゴールドマン・サックスが25日(金)付のレポートで、米ドル/円予想を大幅に引き下げました。具体的には、3カ月を162円から158円、6カ月を163円から155円、12カ月を165円から150円へ引き下げています。その理由は大きく3つです。
(1)7月の大規模介入以降、日銀の利上げペースが速まり、財政拡張によるインフレ圧力が和らいだこと
(2)日本の投資家が国内資産に資金を戻す可能性が高まったこと
(3)日米が円の過小評価への懸念を共有しており、追加介入のリスクが米ドル/円の上値を抑えること
要するに、「割安でも買えない円」から「割安が効いてくる円」への転換です。
景気後退懸念が出たときのヘッジとしても、円ロングの魅力が増したとしています。
僕はこれまで、160円をめどにしつこく戻り売りの方向としていました。米大手の中期見通しまで円高方向に傾きつつあるのは少し気がかりですが、ここは素直に援軍ととらえたいと思います。
具体的な戦略は、引き続き米ドル/円の戻り売りです。160.00円は日米の防衛ラインで、レンジの上限と見ています。
まず目指すのはレンジ中心の155.00円で、これを明確に割り込めば年初来安値の152.00円が視野に入ります。円安けん制で下がった場面は押し目ではなく、戻りが売り場とみています。

(出所:TradingView)
スイスフラン/円も戻り売り継続です。
先ほどお話ししたSNBの為替介入に関する文言の変更は、中東情勢が緊迫した際に導入された前のめりな表現から、平時の中立的な表現に戻したものです。
スイスフラン安への警戒も利上げの匂わせもなく、市場はこれをスイスフラン安の容認と受け止めました。
ゴールドマン・サックスも、スイスフラン安が続くとの見方から、ユーロ/スイスフランの予想を引き上げています。従来は0.92スイスフランで横ばいだったところを、3カ月0.95スイスフラン、6カ月0.96スイスフラン、12カ月0.97スイスフランへ引き上げています。
「SNBのスイスフラン安容認」と「日米首脳による円安の問題視」という2つの材料が、同じ方向を向いています。スイスフラン/円の売りは、引き続きメインのポジションです。

(出所:TradingView)
一方で、米ドル高方向のリスクには注意が必要です。
原油が再び100ドルを超えて定着するようだと、米ドル/円の戻りも大きくなりやすい点には気をつけておきたいところです。
今週は9月30日(水)に月末・四半期末を迎え、10月1日(木)に日銀短観、2日(金)には米9月雇用統計が控えています。
週末の10月4日(日)にはブラジル大統領選の第1回投票もあります。ブラジルレアルをはじめとする高金利通貨への影響にも注目です。
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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