米ドル/円は片山財務相の円安けん制で上値が重いが、下値も堅い
みなさん、こんにちは。
今回は、片山さつき財務相の円安けん制で米ドル/円の上値が重くなる一方、下値も堅いという状況を整理します。
そのうえで、AI関連株をめぐる市場のテーマの変化と、僕がいま注目している通貨ペアについて考えてみます。
今年(2026年)の初めごろまでは「円安・日本株高」といわれ、円安は少なくとも日本株高を支える効果があると見られていました。
しかし、米ドル/円が160円を超えたあたりから、円安は株価を押し上げなくなりました。むしろ、円安が日本国債の売りにつながるようになっています。
そのため日米当局は、米ドル/円が160円を超える局面などで、円安けん制や円買い介入を繰り返してきました。
よって、僕も米ドル/円の上値が抑えられるのであれば、チャンスを見て売るようにしてきました。
確かに米ドル/円の上値は158〜160円レベルで抑えられると思います。ただ、そこから大きく下落する場面もなかなか見られません。
日本株は来年(2027年)、7万円を超えて10万円を目指すのではないかと想定しています。一方で米ドル/円は、来年も150〜160円のレンジ相場が続くのかもしれません。
そこで、米ドル/円の値幅が広がるのを待つのはあきらめ、ユーロ/円のショートに戻しました。
片山さつき財務相は10月27日(火)午後の参議院財政金融委員会での答弁と、その後の発言で、次の3点を明確に述べています。
(1)「円の過小評価」への言及:円の過小評価について、日米首脳会談でも認識が共有されていると明言しました。そのうえで、為替相場は「本来、ファンダメンタルズを反映した方向に向かうべきだ」と指摘しています。
(2)「高い緊張感を持って注視」:金利や為替相場は市場で決まるとしたうえで、「政府は市場の動向を高い緊張感を持って注視している」と発言しました。
(3)「必要なら断固とした措置」:急激な為替変動には「必要なら断固とした措置をとる」と述べ、口先介入のトーンをもっとも強いレベルにまで引き上げました。
28日(水)の東京市場でも、米ドル/円が一時158円台まで上昇したことを受け、当局の強い円安けん制への警戒感が改めて広がりました。
今週(10月26日~)は、日本時間29日(木)未明のFOMC(米連邦公開市場委員会)と、30日(金)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)という大きなイベントが重なっています。
市場では、160円が最終防衛ラインとして意識されています。ただ、片山さんのコメントから考えれば、今回はその手前の158円台半ば〜159円台で、すでに「実弾介入のスタンバイ」に入っているかもしれません。
特に、日銀会合の直後に158.50円をはっきり上抜けて走り出した瞬間は、警戒が必要なタイミングといえます。
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AI関連企業の返済能力に市場の関心が集中! 金利上昇が最大のリスクに
次に、市場の大きなテーマであるAIについてです。
FT(フィナンシャルタイムズ)でも報道されていましたが、マーケットではいま、AIがバブルかどうかではなく、AI関連企業に返済能力があるかどうかが注目されています。
AI投資は、借金で資金を調達する段階に入っています。株式であれば将来の夢に投資できますが、借金で見るべきなのはキャッシュフローや取引相手の信用力、つまり返済能力です。
コアウィーブのようなネオクラウド企業の問題は、AIの夢の話ではなく、金利と借金の問題だという見方が広がっています。
今月初めには、一部のAI関連企業について、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ、倒産保険)市場が織り込む今後5年間のデフォルト確率が五分五分に達していたとの分析もあります。
ただ、米大手運用会社の運用責任者のなかには、実態はそこまで悪くないとの見方もあります。
最大のリスクとして意識されているのは金利です。金利がさらに0.5〜1%上がれば、本格的な圧力がかかると警戒感が高まっています。
一方で、市場はFRB(米連邦準備制度理事会)の積極的な利上げを織り込みすぎているという声も聞かれます。
また、S&P500の2026年7~9月期の増益率は約31%と予想されていますが、その増益額の半分以上を上位10社が占めるとの分析もあります。
一部の企業に頼った利益成長であることが、最近の市場の神経質さの一因と言えそうです。
円ロングは一部キープ! AI関連株が調整すれば米ドル安・円高も
世界の投資資金の多くはAI関連株に向かっています。
そのため、仮にAI関連株が調整すれば、積み上がった米ドルロングも調整され、米ドルが下がる可能性があります。
実際、10月中旬のAI株急落の局面では、米ドルは安全資産として買われず、逆に売られました。
ただ、CDS市場が破綻確率を五分五分とみていたのは、やや悲観に偏りすぎていたと思います。実際、今週の株価は戻しています。
それでも、AI関連株が再び調整する可能性は残ります。先日のAI株の動揺時には、国債が守りの役割を果たし、円も買われたとの指摘もあります。
そこで僕は、ヘッジとして一部の円ロングはキープしておきたいと考えています。
ただし、米ドル/円は160円に近づくにつれて上値が重くなる一方、本邦勢の根強い円売り需要もあります。
その結果、米ドル/円は156〜159円のレンジに落ち込んでいます。
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米ドル/円より値動きが期待できるユーロ/円! 戦略は戻り売り
そこで注目しているのがユーロ/円です。月初のフランス国債ショックから始まったユーロの下落は収まっていません。
仏独10年債利回りスプレッドは10月初めに欧州債務危機以来の150bp台まで拡大しました。さらに、暴動後の先週(10月19日~)には一時170bp超まで広がり、足元でも150bp台後半と高止まりしています。
今月(10月)のユーロ/円は、高値の179.31円から4円弱値を下げています。
振り返ってみれば、ユーロ/円は7月30日(木)の米当局介入直前の187.47円レベルを高値に、じわじわと値を下げてきました。
現在は、節目の175.00円がサポートになっています。ここを割り込めれば、170円が視野に入ってきます。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
米ドル/円が156〜159円のレンジにとどまるなかでも、ユーロ/円であれば、円高とユーロ安の両方を背景にボラティリティの高まりを期待できます。
AI関連株の調整で円が買われる場面でも、フランス発の混乱でユーロが売られる場面でも、ワークしやすい構図です。以上から、今週の戦略はユーロ/円の戻り売りとします。
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