■FRB議長の認識は市場の実態とギャップが大きい!?
日本時間で本日、4月28日(木)の早朝に、今週最大のイベントであるFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。
今回のFOMCでは、まず、「QE2(追加的量的緩和政策)」が予定どおりに6月に終了することが明示されました。
次に、景気見通しが下方修正されたことで、当面引き締めがないことが示唆されました。
そして、注目は「インフレ加速は一時的なものになる可能性が高い」とのバーナンキ議長のコメントです。
市場では、金(ゴールド)価格が史上最高値を更新し、銀価格も高騰しており、「コモディティの上昇と米ドル安」が話題になっている中で、FRB議長のこのような発言が飛び出しました。
ちょっと、市場の認識とのギャップが大きいというイメージでしょうか?
■バーナンキ議長の会見の終了とともに米ドル安が加速
バーナンキ議長の会見の終了とともに、金価格は続伸し、過去最高値を更新しています。
当然ながら、為替市場は米ドル売りとなっており、ユーロ/米ドルは1.4800ドルのバリアを難なく突破し、1.4882ドルまで急騰しています。

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豪ドル/米ドルも1.0900ドルのバリアを突破し、1.0948ドルまで上昇しました。

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米ドル/円でも米ドル安が進み、一時は81.62円まで下落しています。

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この米ドル安をけん引しているのが資源国通貨です。
南アフリカランドは米ドルに対して、一時1.3%高となっています。
■ユーロ/円はターゲットの125円へ向けて上昇中
金価格の上昇に連れて、大きな調整もないまま1.09ドル台まで高騰している豪ドル/米ドルです。
次に、ECB(欧州中央銀行)の利上げ観測を背景に、1.5000ドルに向けて上昇を続けるユーロ/米ドル。
さらに、景気回復とともに、「単独介入」を停止したスイスフランに対しても米ドルは売られています。

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日本の東日本大震災以来、米ドル/円の下落幅は限定的となっており、結果的にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上昇しています。
一時、ユーロ/円は121.84円、豪ドル/円は89.60円まで高騰しています。

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先週のコラムでご紹介したように、ユーロ/円は125円へ向けて上昇を続けているといったところです(「ユーロ周辺国の混乱にも関わらず、なぜ、ユーロは上昇しているのか?」を参照)。
■対円だけ、米ドル高傾向となっているワケは?
前述のように、FOMC後は米ドル安がさらに進行していますが、注意したいのが、米ドル売りの対象通貨です。
まず、G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)による協調介入を行使して、「米ドル安・自国通貨高」を抑制しようとした円です。
4月27日(水)のNY市場では、対主要通貨で「米ドル安」が進む中、米ドル/円だけは突然「米ドル高」が進行しています。
これは、米格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)が、日本の外貨・自国通貨建ての長短期国債格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したことで、反発しているのです。

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米ドル/円は一時82.79円まで急騰し、短期筋のドルショート(米ドルの売り持ち)が踏み上げられています。
■「「経済先行き不確実」のNZドルは、上値が重い
次に、資源国通貨が上昇する中で、上昇に陰りが見えてきたのがNZドル/米ドルです。
4月27日(水)はFOMCにマーケットの関心が集中していましたが、本日、4月28日(木)の早朝に、ニュージーランドの中央銀行であるRBNZ(NZ準備銀行)の金融政策決定会合が開催されています。
政策金利は据え置きですが、その後に行われた会見で、ボラードRBNZ総裁は「経済先行きは非常に不確実、NZドルの水準上昇は歓迎できない」と表明し、これに呼応して、NZドル/米ドルは一時、0.8075ドルから0.8000ドルまで急落しています。

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結果として、豪ドル/円が上昇を続ける中でも、キウイ円(NZドル/円)は66.00円近辺で推移し、上値を更新できない状況です。
■豪ドル/米ドル、豪ドル/円を取引してみたいところ
ヘッジファンドの友人は、ファンダメンタルズの相違を材料に、豪ドル/NZドルのロング(買い持ち)を構築しているようです。
FOMCを無事通過し、引き続き「米ドル安」&「円安」の流れとなる可能性が濃厚になってきました。
ただ、前述のように、「止まらない米ドル安・自国通貨高」に懸念を表明する通貨が目立ち始めたのも事実です。
取引通貨ペアには気をつけましょう。
ここまでお話してきたように、オセアニア通貨では、NZドル/米ドルではなく、豪ドルの取引を対米ドル、対円として選択したいところです。

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次のターゲットは、豪ドル/米ドルは1.12ドル,豪ドル/円は95円でしょうか?
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