こんにちは、みなさん。
■米国の景気が良ければ、格下げは見送られたかもしれない
格付け会社のS&P(スタンダード&プアーズ)がアメリカの国債を格下げし、金融市場に激震が走っています。特に激しいのがアメリカの株式市場の下落です。
もちろん、アメリカの債務上限引き上げ問題が最後まで紛糾したことが直接の原因であることは間違いありません。
ただ、その背景にあるのは、アメリカの景気低迷です。このコラムでもアメリカの景気がおかしくなっているというお話を、何度かしてきました(「世界経済停滞で円が買われるワケは?米国も欧州も経済が弱く、当面は円高か」など参照)。
もし、アメリカの景気状況が良ければ、S&Pは格下げを見送ったかもしれません。
景気が悪くなれば税収が落ち込むので、より財政事情が厳しくなります。ですから、景気の状況は格付けの判定に影響してくるのです。
■今は純債権国通貨が買われ、資源国通貨は売られやすい
そこで、もう一度原点に返ってみます。
何度も、何度も繰り返しになりますが、円という通貨は世界経済が低迷すると強くなるという傾向があるということを頭に入れておいてください。
それは、景気が悪くなると純債権国の通貨は買われやすいということであり、このことを前提に考えるとすれば、今の環境はまさに円高局面となります。
他の国に比べて、日本も決して景気の状況が良くないのに、純債権国であるという理由で円は強くなってしまうのです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 vs 円 日足)
それでは、少し違った観点から考えてみましょう。アメリカの景気が悪くて、どうして豪ドル/円が下落するのか、不思議に思う人がいるかもしれません。
それは世界中の景気が落ち込んでくれば、当然資源の需要が落ち込み、資源価格が下がります。資源価格が下がると資源国の景気にはマイナスとなるため、資源国通貨は売られます。
特に、それまでおカネが流れ込んでいた国の通貨の下落はより激しくなります。まさに、それが現在の豪ドルです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
原油価格を見ても、WTI原油は80ドル前後まで下落してきています。
世界経済に対する不安感が資源価格を下落させていることがよくわかります。
■10兆円の金融緩和、1日の介入だけでは円高傾向は続く
ここまで、円高の背景についてお話をしてきました。当面、世界経済の低迷が継続するとすれば、円高圧力は今後も続くということになります。
そうすると、今後は円高に対して、日本政府・日銀がどの程度本気になれるのかが相場のポイントになります(「1995年超円高時の介入はどうだったか?政府・日銀の本気度で相場展開は変わる!」を参照)。
10兆円の追加金融緩和、1日の為替介入だけでは、まったく心もとない。
この程度のことしかできないのであれば、円高傾向はまだ続くでしょう。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
最後に、このコラムを読んでいる方に、ぜひ申し上げたいと思います。
もし、あなたが「(外貨買い)円売り」しかできないのであれば、FXは止めたほうがよいと思います。
買いと売りの両方がバランスよくできてこそ、勝利のチャンスが生まれると思います。
この円高は、日本にとっては非常に由々しき問題ですが、トレーダーにとっては、儲けやすい環境にあると思います。その点を頭に入れておいてください。
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