みなさん、こんにちは。
■トレード方針は「円安になったところで円買い」で変更なし
まずは、みなさんがいちばん興味のある相場の見通しです。
米国の格下げショックによる急激な円高は、いったん収束しました。相場はしばらく落ち着くと思います。
しかし、ショックが和らいだだけで、問題は何も解決していません。円安方向にどんどん向かっていくとは思えません。
ただ、ある程度のポジション調整は終わりましたので、ここからの円高リスクは和らいだということです。少しレンジを形成する時期に入ったのだと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
しばらくするとまた新しい材料が出てくると思うので、そのときに再び相場は動き出すでしょう。
トレード方針は従来から変わっていません。「円安になったところで円買い」です。
■金におカネが流れていく状況はまだ続く
続いては金(ゴールド)です。
為替相場は乱高下したりするかもしれないため、長期的な予想は難しいものの、金の上昇基調が続くことだけはかなり確実であるということを、3年ほど前からセミナーのたびにお話ししてきました。
それは今も変わっていません。世の中が不安定なとき、金に投資資金が流れるのは世の常だからです。
世界経済の先行きはまだまだ不透明です。金にまだおカネは流れていくでしょう。
■日銀が徹底的な金融緩和に踏み切ることが重要
さて、今回は円高対策についてお話しをしたいと思います。
さまざまな方が「協調介入をやらなければ効果はない」とか、「単独介入では円高が続く」と言っています。
しかし、これは少し正確ではないと思っています。たとえ協調介入をやったとしても、円高傾向は止められないと思われるためで、つまり、五十歩百歩だということです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
3月18日に円売りの強調介入が実施されましたが、このときは、80円台より下にあったストップをつけに一気に円買いが強まった直後であったので、カウンターパンチとなり、一時的でしたが効果はありました。
しかし、今回はそういうわけにはいきません。円高を止めるためには、やはり、日銀が徹底的な金融緩和に踏み切ることが最低条件です。
ただ、それは期待薄かもしれません。日銀には「教訓」があるからです。
■デフレ局面での金融緩和は、より効果が大きい
8月17日(水)のNHKのテレビで、第2次世界大戦中の通貨政策についての番組が放送されていました。非常に興味深い内容でした。
結構複雑な内容もあったので、ここでは詳細を割愛しますが、簡単に言えば、日本軍の戦費を賄うために、通貨発行権のある銀行に紙幣を刷らせて、それでおカネを調達していたという内容です。
こうしたやり方は「悪性インフレ」を起こす非常に危険なものです。当時の高橋是清財務大臣がこれを懸念して、通貨発行を抑えるような方針を出しました。
ところが、これに反発した軍部は、有名な「2・26事件」を起こして高橋大臣らを暗殺し、そこから軍の暴走が始まりました。
日本軍は中国、朝鮮などで傀儡(かいらい)銀行に通貨を大量に発行させ、それで戦費を賄っていきました。
その結果、物価は暴騰し、中国の一部では年率3万パーセントという信じられないようなインフレとなりました。1日で物価が3倍になり、自分たちの持っているおカネは紙くずと化し、飢餓で亡くなる人があふれ出たのです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 vs 円 日足)
こうした悪夢を教訓としているため、中央銀行は規律を重んじなければならないと堅く誓っているのです。
しかし、今回の局面は当時とは状況が違うと私は思います。デフレ局面ですから、ある程度の金融緩和は副作用より、良い効果のほうが大きいと思います。
しかし、日銀には、そこまでの強い思いはないのではないでしょうか。
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