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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

スペイン国債格下げがユーロに好材料!?
「悪材料のユーロ買い」になる理由とは?

2012年10月12日(金)16:23公開 (2012年10月12日(金)16:23更新)
陳満咲杜

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■スペインの救援要請を見込んでユーロ買いが続く可能性も

 ちなみに、スペイン国債の格下げだが、先行するムーディーズ社の一段厳しい評価が下れば、この先はジャンク債扱いにされる恐れがある。

 ただし、スペインが救援要請に踏み切れば、言わば「ECB保証付」のジャンク債となってしまう。そんなものが存在するかどうか、かなり疑問であるため、スペイン国債の格付けは、落ちるところまで落ちるわけではないと思われる。

 これも、マーケットが同材料をあまりネガティブに扱っていない理由の1つではないかと思う。

 となると、前述のように、ユーロ/米ドルは再度200日線にサポートされているため、9月17日(月)からの調整ムードにそろそろ終止符を打ち、近々高値を更新していく、といったシナリオも構築できる。

ユーロ/米ドル 日足

(出所:米国FXCM

 個人的には、ユーロの高値更新は、スペインの救援要請と相まって実現されるのではないかとみている。言い換えれば、同国の救援要請が近いとみている。

 では、なぜスペインは救援要請に躊躇しているのだろうか。

 わかりやすくたとえると、「借金をした者は、金を貸してくれた者にああしろ、こうしろとうるさく言われてしまうため、それが嫌だ」ということだ。

 救援要請をすれば、EUによる厳しい財政削減要請などの規律にしばられる。よって国民の反発を買い、政治家は政治生命を絶たれるという代償を払わなければならない恐れがある。そのため、かなり追い込まれない限り、なかなか「政治判断」をできないわけだ。

 この意味では、政治、経済に限らず、危機というものは文字どおり、本質的には「危」と「機」、つまり危険と機会の共存である。

 EUソブリン危機もしかり。クラッシュするだけではなく、そこにEU再生のチャンスもあるかもしれない。場合によっては激しいクラッシュほど良い結果を生む可能性もある。

 皮肉にも、スペイン政府の「余裕」は、ほかならぬECBの支援計画から生まれていると言える。

 スペイン国債利回りは、ECBのOMT計画発表後、下落傾向にあるため、支援要請の緊急性が薄れてきたわけだ。

 したがって、極端な言い方をすれば、当面スペイン危機の進行が深刻化すればするほど、結果的にユーロの支援材料になるため、ユーロのロング筋はむしろスペインの混乱を待ち受けていると思う。

悪材料のユーロ買いがこれからも続く可能性があるので、意識しておきたい。

■ユーロ/豪ドル買いは「世紀の取引」か?

 最後に、前回指摘していたユーロ/豪ドルに関してだが、目先は筆者の指摘どおり反落してきた。

【参考記事】
量的緩和合戦に豪州は利下げで対抗。豪州の本音は「豪ドル高是正」にあるが…(10月5日、陳満咲杜)

ユーロ/豪ドル 日足

(出所:米国FXCM

 しかし、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の報道によると、あのゴールドマン・サックスのチーフストラテジスト、トーマス・ストルパー氏が、ユーロ買い・豪ドル売りを「世紀の取引」と推している模様である。

 これついては、また次回コラムにて検証したいと思うが、結論を先に申し上げると、豪ドル売りの前提条件となるハードルも高いので、少なくとも中短期スパンではうまくいかないと思う。

 それどころか、短期スパンでは豪ドルの売られすぎも鮮明になりつつあるので、豪ドルの下値追いには慎重になるべきではないかと思う。

 では、また来週。

(PM1:00執筆)

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