■ムーディーズの日本国債格下げで相場に衝撃走る
今週(12月1日~)は、12月相場入りとなりましたが、月初の12月1日(月)に、突然のムーディーズによる日本格下げがアナウンスされました。
見通しこそ「安定的」でしたが、「AA3」から「A1」、つまり隣国の韓国や中国よりも下へ、一段階引き下げられることになりました。
米ドル/円は、欧州勢が参入してすぐに、118.70円に観測されていた超短期筋のストップロスをつけ終わって一息ついている頃の発表。総選挙公示前日という、いかにもなタイミングでの発表に、市場に衝撃が走ったのは言うまでもありません。
■1円以上の急落を見せるなど、米ドル/円は乱高下
格下げの一報を受けて、まずアルゴ(※)が発動しました。格下げ=円売りとの反応から、米ドル/円は一気に119.15円まで買い上げられることになったのですが、逆に夜間取引の日経平均先物が急落すると、一転して売りが加速。
こういった場合、市場に出されている直近の買いオーダーも売りオーダーも一瞬にして引いてしまうことが手伝ってか、ビッド(買い)がまったくない状況になってしまうと、一時118.07円まで1円以上の急落となりました。
(※編集部注:「アルゴ」とは、当初、米機関投資家の間で広まった「アルゴリズム取引」の略。あらかじめ決められたルールにしたがって、システムが高速で自動的に売買を繰り返す取引のこと)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
ショートカバーから急速に118.54円まで値を戻す場面も見られましたが、アジア時間からさらに急落していたWTI原油先物(※)が逆に急騰すると、117.86円まで再び売り込まれることになりました。
(※編集部注:「WTI」とは、米国テキサス州西部とニューメキシコ州南東部で算出される原油の総称。「WTI原油先物」は、ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されており、NY原油先物などとも呼ばれる。「WTI原油先物」は、北米の原油価格の指標となっている)
(出所:米国FXCM)
ただ、11月28日(金)の安値117.74円がメドとして意識されたほか、本邦実需勢のカウンターでの買いがまとまって観測されると、そのまま118円台半ばまで値を戻すといった乱高下を演じています。
■国債がG7諸国中、下から2番目になったのになぜ円高?
日本国債がG7(先進7カ国)諸国中、イタリアに次ぐ下から2番目、オマーンやエストニアといった国々と同様の格付けに格下げされたことを受けて、円高の反応になりました。
整合性がつかないのは、当然の疑問ではあります。
しかし、原油先物や金先物などコモディティ市場が急騰したほか、米10年債利回りが急激な上昇となったことを鑑みれば、直近のポジション調整がこの格下げをきっかけとして一斉に行われたと考えると、納得がいきます。
そういった意味では、米ドル/円のポジション調整は、いったん終了した形となりました。翌日2日(火)からは、118円割れに本邦輸入勢の買いがかなり出てきていることは言うまでもありません。
■日本国債先物は最高値を更新する動きに!
当の東京市場では、日本国債は何事もなかったかのような動きです。逆に日本国債先物は、最高値を更新する動きとなっています。
(出所:CQG)
日経平均も、しかりです。
(出所:株マップ.com)
それにしても、国債の格下げというかなりのビッグイベントでさえも、こうやって一時的なポジション調整のネタにされただけに終わってしまうほど、需給関係に偏りが存在していることを再確認させられることになりました。
また、WTI原油先物の下落傾向は…
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