(「ザイFX!で2014年を振り返ろう!(2) 【相場:後編】黒田バズーカで円安進む!」からつづく)
夏まで続いたレンジ相場。FXに代わって人気が出たのは…
前回の記事に続いて、ここからは、2014年のFX業界の動向を振り返っていきたいと思います!
前回の記事「ザイFX!で2014年を振り返ろう!(2) 【相場:後編】黒田バズーカで円安進む!」でも振り返ったとおり、2014年は、年初から夏までの間、とにかくマーケットが動かず、米ドル/円のボラティリティも過去最低水準にまで低下…。
その間、米ドル/円は101円~103円あたりで張りついたまま、「いつ動く!? まだか!? もうすぐか!? いや、まだ先か!?」なんて言っている間に半年くらい過ぎた印象です。チャートで振り返っても、見事なレンジ相場ですね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
バイナリーオプションに再ブーム到来!
動かないマーケットは、激しい値動きを狙ってガンガントレードしたいトレーダーにとっては、正直つまらないもの…。そんななか、マーケットが動いても動かなくても関係なく、十分に収益チャンスがあるということで人気に火がついたのが、バイナリーオプションでした。
2013年に新規制が施行され、取引回数などに一定の制限が設けられたことを受け、一時に比べると人気が後退していたバイナリーオプションですが、ここへきて再ブーム到来!
バイナリーオプションは、オプション購入後、基本的に満期まで結果を待つだけ。しかもスマホアプリが充実しているケースも多く、場所を選ばずサクっとトレードできるという点も人気の後押しにつながったようです。
【各社バイナリーオプションの最新スペックはこちらでチェック!】
●人気のバイナリーオプションを徹底比較! 最短1分前まで購入できる商品も登場!
もっとも一般的なバイナリーオプションは、「ラダー」と呼ばれる種類で、満期時に一定のレートよりも上か下かを選び、的中した場合は購入オプションの枚数分、一定の支払いを受けられるというしくみ。
ルールもわかりやすく、複雑なチャート分析をせずに取引をはじめられるので、初心者の方にもとっつきやすい商品と言えます。
レンジ相場に登場したバイナリーオプションの「レンジ」
こうした従来のバイナリーオプション、「ラダー」も健在ななか、2013年後半から2014年にかけて、人気バイナリーオプションを提供するGMOクリック証券やFXトレード・フィナンシャルから「レンジ」と呼ばれる種類のバイナリーオプションが登場!
「レンジ」は、満期時にレートが一定のレンジ内に収まるか収まらないかを予想し、予想が的中したら購入オプションの枚数分、支払いを受けられるというものです。
この「レンジ」が、史上最低のボラティリティ水準で推移するマーケットにピッタリはまったのか、一時はザイFX!でもかなり注目を集める商品となりました。確かに、動かないマーケットなら、レンジは予想しやすいと言えますね…。マーケット事情を反映した流行となったようです。
【参考記事】
●自由度高い新バイナリー「バイトレレンジ」が登場! 未来チャートで的中確率もわかる!
●レンジオプションの勝ち方を発見!?払い戻し率104.23%のバイナリーって?
GMOクリック証券が秋には「レンジ」を廃止
このほか、2013年9月にバイナリーオプション、「オプトレ!」の取扱いを開始したYJFX!が、2014年1月に「オプトレ!」のスマホアプリをリリースするなど、マーケットが動かず通常のFX人気が低迷気味だったぶん、提供各社でバイナリーオプションのサービス強化に力が入った印象でした。
【参考記事】
●新会社(?)YJFX!の正体とは?新サービス【オプトレ!】がおもしろい!
●【オプトレ!】のiPhoneアプリがリリース。外貨exで最大2万3000円キャッシュバック
2014年7~8月にかけては、FXトレード・フィナンシャルから、従来の「バイトレ」よりも小額で取引できるバイナリーオプション、「バイトレ1000」や満期までに目標レートにタッチ(到達)するかどうかを予想するバイナリーオプション、「バイトレタッチ」も新たに登場しています。
【参考記事】
●少額取引可能な「バイトレ1000」リリース!業界初のBO向け自動チャート予測ツールも
●目標レートにタッチしたら即終了! 第3のバイナリー「バイトレタッチ」の攻略法とは?
マーケットが動きはじめるとバイナリーブーム終焉へ
ところが、2014年8月下旬から、10月に予定されていた米QE終了やその後の早期利上げ期待から徐々に米ドル高が進みはじめると、FX業界の雰囲気も変わってきました。
トレーダーの注目がバイナリーオプションから通常のFXに移り始めた8月の終わり頃には、GMOクリック証券「外為オプション」が、突然「レンジ」オプションの廃止を発表! なんとなく再ブームも終焉が近い様相に…。
【参考記事】
●払戻し率100%超を誇るあのバイナリーオプション口座から残念なお知らせが…
その後、2014年10月に入る頃には、提供各社でもあまりバイナリーオプション推しのプロモーションが見られなくなり、ザイFX!でのバイナリーオプション人気もちょっと落ち着く展開になりました。
2014年12月現在、世のトレーダーの注目は、やはりバイナリーオプションよりも株価動向や通常のFXのようですが、それでも値動きの大きさに関係なくトレードチャンスがあるバイナリーオプションが、おもしろい商品であることに変わりはありません。
マーケットが動かない時はバイナリーオプション、動いた時は通常のFXなどと状況に応じて商品を使い分けてトレードするのも良い手かもしれませんよ!
悪質な海外バイナリーオプション業者に注意!
ただし、海外のバイナリーオプション業者には注意! 今年は独立行政法人国民生活センターが悪質な海外バイナリーオプション業者に関する注意喚起を行ったことなども話題となりましたよ…。
一部で出金拒否などのトラブルが多発しているようです。怖い…。怖すぎます…。
【参考記事】
●8カ月で約400件も相談! 海外バイナリーオプションで出金拒否などの問題多発!
●ステマに惑わされるな! トラブル多発、悪質な海外無登録業者の見分け方とは?
ザイFX!で紹介しているのは、きちんと金融庁に登録している国内のバイナリーオプション提供会社のみです。最新情報については、以下よりチェックしてくださいね。
【各社バイナリーオプションの最新スペックはこちらでチェック!】
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熱かったスプレッド競争! 「眠れる獅子」目覚めた!?
バイナリーオプションブームについて振り返ったところで、次は例年その年の振り返り記事を執筆するうえで、もっともスペースを割く話題、各社のスプレッド競争について振り返っていきましょう。
過去を振り返ると、ここ数年、常にスプレッド競争のフロンティアを形成してきたのは、ネオ系の筆頭格、GMOクリック証券「FXネオ」やDMM.com証券「DMM FX」、SBI FXトレードでした。
【参考記事】
●ザイFX!で2013年を振り返ろう!(4)【業界:前編】スプレッド拡大から再び縮小
●ザイFX!で振り返る2012年(3)【FX業界の動向:前編】スプレッド競争激化
それが2014年は雰囲気が変わって、業界最大手の老舗FX会社、外為どっとコムの「外貨ネクストネオ」がスプレッド競争に参戦!
2013年後半あたりからキャンペーンなどでスプレッド縮小を実施してきた外為どっとコム「外貨ネクストネオ」は、2014年8月には、ついに通常スプレッドで米ドル/円0.3銭原則固定、ユーロ/円0.6銭原則固定、英ポンド/円1.1銭原則固定など主要通貨ペアのスプレッドを一気に業界トップ水準にまで縮小しました。
【参考記事】
●老舗が超ネオ化してドル/円0.3銭恒常化!ホリエモンと竹中平蔵のおカネ論セミナー!?
一部業界関係者の間では、「眠れる獅子」とも呼ばれていた外為どっとコム「外貨ネクストネオ」。
2014年、「眠れる獅子」は完全に目を覚まし、スプレッド以外にも、「マネ育」をコンセプトとした初心者コンテンツの拡充やホリエモンこと堀江貴文氏や大臣経験者でもある竹中平蔵氏といったビッグネームが出演する大型セミナーの開催、さらには取扱い通貨ペアの追加など、数多くの話題を提供してくれましたよ。
特に2014年11月に実施された取扱い通貨ペアの追加では、トルコリラやメキシコペソなどのマイナー通貨も追加。トルコリラにいたっては、スワップ金利が1万通貨あたり107円と業界2位水準で提供されています。
【参考記事】
●【動画あり】お嬢様か? ヤンキーか?「マネ育」のCMに出ている美少女は誰?
●トルコリラ/円のスワップ金利が1日107円!1カ月で4000万円稼いだバトル優勝者とは?
そう言えば、2014年2月には、「ザイFX!TV原宿」で「大久保聡美をFXでマネ育!」という番組も放送しましたね。
【参考コンテンツ】
●ザイFX!TV(原宿):「大久保聡美をFXでマネ育!」
覚醒した「眠れる獅子」に、ネオ系が立ちふさがる!?
そんな老舗FX会社、外為どっとコム「外貨ネクストネオ」の独走をネオ系の急先鋒、GMOクリック証券「FXネオ」やDMM.com証券「DMM FX」が見逃すはずがありません。
しかも、2014年は、これまであまりスプレッドに関して目立った動きがなかった比較的老舗のFX会社、YJFX!「外貨ex」や上田ハーローFX、ヒロセ通商「LION FX」なども参戦し、大混戦となりました。
【参考記事】
●米ドル/円スプレッドが突如半分に!今回のスプレッド縮小合戦はひと味違う!
もっとも混戦状態に陥ったのは、やはりマーケットが動きはじめた夏以降。2014年8月に、外為どっとコム「外貨ネクストネオ」がキャンペーンで実施していた米ドル/円スプレッド0.3銭原則固定などを恒常化したあたりからです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
2014年はスプレッド競争も夏以降が本番だった!
2014年9月には、YJFX!「外貨ex」がそれまで「標準」と謳っていたスプレッドをいつの間にか「原則固定」に変更し、10月にはキャンペーンではあるものの、米ドル/円スプレッドを0.3銭原則固定に縮小。
これを受けて、ここまでだんまりを決め込んでいたネオ系の急先鋒、GMOクリック証券「FXネオ」がついに動き出し、ユーロ/円0.6銭原則固定を含む10通貨ペアの通常スプレッドを一気に縮小。しかも実施日は、YJFX!「外貨ex」のスプレッド縮小キャンペーン開始日と同じ日…。完全にマークしていたようです。
【参考記事】
●あれれ? いつの間に原則固定になった?Cymoがパワーアップ! 最大2万7000円!
●ユーロ/円0.6銭など一挙10通貨ペア縮小!GMOクリック証券がスプレッド競争に降臨
これにすぐさま反応したのが、DMM.com証券「DMM FX」。2014年8月には、一時0.4銭原則固定に拡大した米ドル/円スプレッドを再度0.3銭原則固定へ縮小。あわせて、その他10通貨ペアを含む全11通貨ペアのスプレッドを一気に縮小し、両社とも取扱いがある通貨ペアについては、GMOクリック証券「FXネオ」とまったく同水準のスプレッドにしたのです。
過去数年間を振り返ってもそうですが、相変わらず徹底してマークしてますね…。
【参考記事】
●ドル/円0.3銭原則固定など11通貨ペア縮小。DMM.com証券もスプレッド競争に参戦!
この時のスプレッド縮小競争は、記事の執筆が間に合わないほどのスピード感! 当時、ザイFX!編集部はてんてこ舞いで記事の準備にかかっていましたが、そんなことは当然お構いなしに、間髪入れず、今度は外為どっとコム「外貨ネクストネオ」が動きました!
それまで原則固定で提供していなかった豪ドル/円スプレッドを、当時0.8銭原則固定で提供していたGMOクリック証券「FXネオ」やDMM.com証券「DMM FX」よりも狭い水準である0.7銭原則固定に縮小したのです!
【参考記事】
●豪ドル/円を0.7銭原則固定に縮小!老舗FX会社が業界トップ水準に躍り出た!
もちろん、GMOクリック証券「FXネオ」とDMM.com証券「DMM FX」もこの動きを追随…。両社とも数日のタイムラグはあるものの、その後、豪ドル/円スプレッドを0.7銭原則固定に縮小していました。
【参考記事】
●ネオ系のスプレッド縮小が止まらない!豪ドル/円0.7銭原則固定で老舗に対抗!
●まだ続くスプレッド競争! 豪ドル/円の最前線が0.7銭原則固定だって知ってた?
天王山は10月だった! 主要各社のスプレッドを今一度確認
こうして振り返ってみると、2014年は10月がスプレッド縮小競争の天王山でした。ちなみに11月には、長らく米ドル/円スプレッド0.4銭原則固定で業界2位水準につけていたヒロセ通商「LION FX」と、その100%子会社であるJFX「MATRIX TRADER」が、0.3銭原則固定に縮小しています。
FX業界の米ドル/円スプレッドは、トップ水準である0.3銭原則固定にかなりの数の会社がひしめいている状態です。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:取引コストで比べる「米ドル/円スプレッドの狭い順」
ここまで頻繁に登場した外為どっとコム「外貨ネクストネオ」、GMOクリック証券「FXネオ」、DMM.com証券「DMM FX」、YJFX!「外貨ex」、さらにヒロセ通商「LION FX」を加えて、主要通貨ペアのスプレッドを比較してみると、ご覧のとおりです。
各社取扱い通貨ペア数にバラつきはあるものの、こうして主要通貨ペアに絞ってスプレッドを比べると、もはやあまり差はありませんね…。
ちなみに、2014年12月に入ると、それまでスプレッド非公開だったトレイダーズ証券「みんなのシストレ/トレード口座・ウェブトレーダー」がスプレッドを公開。実は米ドル/円スプレッド0.1銭原則固定でした、なんて話もありました…。シストレ絡みのちょっと位置づけがややこしい口座ではありますが、0.1銭原則固定という数値自体は、すごい水準ですね。
【参考記事】
●米ドル/円0.1銭原則固定はヤバイっしょ!?意外な口座のスプレッドが業界最狭水準!
スプレッド関連の話題! 変わり種で注目は?
また、スプレッド関連の話題として、ちょっと変わり種で注目されたのが、外為どっとコム「外貨ネクストネオ」やマネーパートナーズ「パートナーズFX」、「パートナーズFX nano」、セントラル短資FX「FXダイレクトプラス」などで実施されたスプレッドのタイムセールやヒロセ通商「LION FX」で実施中のオセアニア祭り。
タイムセールでは、何月何日何時から限定何時間! といった制限はつくものの、米ドル/円で0.2銭原則固定など破格のスプレッドが提供されました。
あえて重要経済指標が発表されるイベント時にぶつけてタイムセールが実施されたりしますので、2015年も、各社のタイムセール情報に注目ですよ!
【参考記事】
●スプレッド縮小の「タイムセール」が流行?ドル/円0.2銭原則固定など業界最狭連発!
また、ヒロセ通商「LION FXで」では、オセアニア祭りと称して豪ドルやNZドル絡みの通貨ペアのスプレッドを縮小するイベントを開催! スプレッドもまずまずの水準なのですが、このイベント、スプレッドよりも、スワップ金利がすごいのです…。
なんと豪ドル/円、1万通貨あたりのスワップ金利がぶっちぎりで業界トップ水準の85円で提供されているのです! それも、オセアニア祭りがはじまった2014年5月以降、2014年12月現在にいたるまで、ほぼ固定されている状態…。これは、かなりスゴイ!
オセアニア祭りはいつまで続くのか、特に期限は設けられていないようですが、できるだけ長く続いてほしいものですね。
【参考記事】
●調べてわかった豪ドル/円スワップ85円、 NZドル/円1.5銭原則固定の激熱さ!
●豪ドル/円スワップ1日85円はブッチギリ!ヒロセ通商の企業努力でほぼ固定スワップ
いったん落ち着いたスプレッド競争だが、2015年は…?
さて、話を戻しましょう。2014年12月現在は、いったん落ち着いたかに見える各社のスプレッド競争ですが、果たして2015年はどうなっていくのでしょうか? 最近動きが少ないSBI FXトレードあたりの動向も気になるところです。
目覚めた「眠れる獅子」、外為どっとコム「外貨ネクストネオ」が2015年も話題をさらっていくのか、それともGMOクリック証券「FXネオ」やDMM.com証券「DMM FX」がさらに狭いスプレッドを提供し始めるのか…。もしかしたら、意外な会社がスプレッド競争に名乗りを上げるかも!?
動きがありましたら、ザイFX!でも随時お伝えしていきたいと思います。
(「ザイFX!で2014年を振り返ろう!(4) 【業界:中編】トラリピ包囲網が拡大中!?」へつづく)
(ザイFX!編集部・向井友代)
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