■米ドル/円125円台までは「押し目待ちに押し目なし」か
ところで、ミセスワタナベによる大規模な米ドル売り・円買いが珍しいだけに、やや逆説的になるが、いわゆる円安バブルは、本当に行きすぎたかもしれない。
ただし、米ドル/円が長い保ち合いを経て、やっと上放れしたため、メイン移動平均線との乖離をみると、まだ加熱感は出ていない。
また、通貨先物市場における米ドルのロングポジションが大幅に削られていたこともあって、米ドルのロング筋がいわゆる「身軽」になっている分、これから捲土重来しやすい(すでに進行中であるが)から、円安パブル自体に対する認定が間違いなくても、それがいつ弾けるかということには目先、なお慎重にならざるを得ない。
足元の市況は、米ドル/円のトップアウトよりも、どこまで上値余地が拡大するかに焦点を置かなければならないから、米ドル売りばかりか、米ドルのロングにも「押し目待ちに押し目なし」といったリスクさえあると思う。少なくとも、125円台の上値ターゲットが打診される前に。
■英ポンド/円とユーロ/円、豪ドル/円の波動の違いとは?
また、円全般に関して、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を含め、円売りトレンドに位置することが、当面円安を支えているところが大きい。
その代表格は英ポンド/円であろう、英ポンド/円は昨日(5月28日)も高値更新、190.70円の打診をもって2011年安値116.77円を起点とした上昇波の継続を示唆しているから、ほかの主要クロス円と違う構造を示している。
(出所:米国FXCM)
この違いを簡単に言うと、同じ円売りトレンドにあるとしても、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円は2014年高値を起点とした下落波に対する修正といった位置づけにあるということだ。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
これに対して、英ポンド/円は2014年高値を超えたから、2015年4月安値174.87円を起点とした上昇波は、修正ではなく推進波であることが示唆された。
(出所:米国FXCM)
言い換えれば、英ポンド/円は2014年12月高値から2015年4月安値までの下落波自体が修正波で、4月安値からメイン変動(上昇)に復帰、2011年安値を起点とした大型上昇波を継続しているわけだ。
具体的なカウントの話については、筆者が5月18日(月)に書いたレポート(チャートは5月17日作成)をご参照いただきたい。
※11年安値を起点とした上昇波、更なる延長を示す兆しが濃厚、これから高値更新をもって証左されよう。大型推進波における第3子波(緑)の延長が有力。
※従って、昨年高値189.71をもって第3子波を完成したと見る場合、4月安値174.87までの反落、大型調整子波4(緑)と数え、同安値から最終子波を展開
※2月高値185.02のブレイクをもって同カウントの蓋然性を強化、昨年の高値更新をもって推進子波の一段加速に繋がり、190関門の打診を目指すでしょう。
※もっとも、4月安値を起点とした推進波、5波構造を持ち、190関門の打診があってもなお続伸の余地を示す。最大194円台の打診を見込めるが、スピード調整が先行される見通し。今週もブル基調を保つ公算。
■英ポンド/円は上昇、ユーロ/円、豪ドル/円は保ち合いか
現在のところ、ユーロ/円や豪ドル/円が英ポンド/円を追随し、2014年高値を更新し、より大型の上昇波を拡大していくといった発想はないが、少なくとも英ポンド/円では米ドル/円と同様、大型上昇波の継続が確認されているわけで、円買いトレンドへの転換は、さらに後ズレになる公算が大きい。
この意味では、ユーロ/円も豪ドル/円も中段保ち合いを維持でき、早々にはベア(下落)トレンドへ復帰しない可能性が大きいだろう。
最後に、米ドル/円の高値更新につれ、2015年一杯まで円安は続き、米ドル/円は130円の節目にトライするだろうといった話もあちこちから聞こえてきた。
筆者は、当面円安トレンドが続きやすいと思うが、前述の見方には一応距離を置きたい。その理由についてまた次回話したい。市況はいかに。
(PM2:20)
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