■「相場は理外の理」を再認識させられた結果に
マーケットは保ち合いを続けている。各材料が錯綜し、マーケットの反応も通常ではなかったので、市場関係者はとまどい気味である。
一番代表的な事例は、6月29日(月)の市況だろう。
ギリシャはデフォルトかと伝えられたことで、6月29日(月)朝にユーロ/米ドルが大きなギャップをつけて始まり、ユーロ暴落かと多くの人々が思っていたが、ユーロは続落するどころか、逆に大きくリバウンドし、典型的なリバーサル・デーを記録した。ちなみに、6月29日(月)の値幅はリバーサル・デーとして史上最大だった。
(出所:米国FXCM)
このような値動きを事前に予想できた者は、筆者が知っている限り、皆無に近い(皆無ではないが、根拠の説明が今イチであった)が、事後的な解釈をうまくまとめた者が多い。いろいろな見解のうち、もっとも説得力のある見方として、以下の理由を記しておきたい。
曰く、「ギリシャデフォルトでユーロ資産の変動率が高まるから、ユーロ資産売りに備えた防衛である」。
つまり、ギリシャ危機が長引き、ユーロ安が必然視される中で、ユーロ資産投資にはユーロ売りのヘッジがつきものだった。そして、変動率の上昇でユーロ資産が売却に転換されると、必然的にヘッジとして行っていたユーロ売りポジションの解消に動いたわけだ。言うまでもないが、ポジションの解消は、今度はユーロ買いへの転換でもある。
「相場は理外の理」という本質を、今回の「ユーロ事件」を通じて、筆者を含め、多くの投資家が再確認させられただろう。ギリシャデフォルトでもユーロが上がる場合があるのだから、世の中、やはり、「鉄板トレード」は存在しないわけだ。
■個人投資家はテクニカルの視点を大事にすべき
ところで、国際的なマネーフローの事情が複雑で、一個人どころか、ウォール街のトップ集団でもすべてを把握できず、事後解釈ばかり繰り返している以上、我々、個人投資家はやはりファンダメンタルズ上の視点ではなく、テクニカル的な視点を大事にすべきだ。
ユーロの切り返しは、以下のチャートをもって、短期スパンにおける構造上の理由を説明できるのではないだろうか。
(出所:米国FXCM)
ギリシャデフォルトはほぼ確定、それにしても昨日ユーロの大幅切り返しが値幅大きい故(リバーサル・デーとして史上最大)、単純にサプライズではなく、ウェーブカウント上における構造的な視点をもってアプローチする必要がある。
上のチャートで記しているように、3月安値1.0462を起点とした大型切返し、なお継続中の公算が大きく、同切り返し自体も大型トライアングル型フォーメーションの構造を強め、昨日の大幅反騰、同フォーメーションにおける子波と位置付けるのが自然である。
トライアングル型保ち合いとして典型的なシンメトリカル・トライアングルに近い形で展開される値動きが同カウントの蓋然性を証左、昨日の反騰、D波(黄)のボトムと見做されるだろう。従って、昨日安値から最終子波E(黄)展開され、昨日高値をもって完成されたかどうかは目下の焦点である。
前記トライアングル型フォーメーションの示唆に加え、各子波自体のジグザグ構造に鑑み、E子波(黄)のジグザグ変動、なお途中の公算が大きい。従って、目先性急な判断と行動をなお控えるべきで、トップアウトのタイミングを狙ってから再度エントリーすべきだろう。ユーロ/円も同様で、デイリーレポートのシナリオより遅れて頭打ちの可能性があるので、サインの点灯を待ちたい。
上は筆者が6月30日(火)に書いたレポートからの引用であるが、構造上の視点をもって検証すれば、ユーロの切り返しに大きな違和感がなくなるかもしれない。
昨日(7月2日)の米雇用統計の結果があまり良くなかったこともあり、ユーロは反落に転じるまで、なお切返しの余地を拡大する可能性がある。
ただし、前述のチャートはあくまで6月30日(火)時点の見方で、ユーロ切返しのターゲットを具体的に示唆するものではなく、また、ユーロは早期に頭打ちとなる可能性が大きいので、ご注意いただきたい。
昨日(7月2日)の米雇用統計は、市場の想定ほど…
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