■カーニー総裁が「頼りにならない彼氏」にふさわしい裏切り!?
「失望市況」といえば、昨日(11月5日)の英中銀金利決定後の市況が良い例だと言える。
以前も言及したように、カーニーBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])総裁のあだなは「頼りにならない彼氏」であるが、そのあだなにふさわしい出来事が、昨日(11月5日)、英中銀の決定で起こった。
これまでのカーニー総裁の発言から、マーケットは来年(2016年)の早期利上げを織り込んでいたが、フタを開けてみれば、英中銀は極めてハト派的なスタンスを表明、英ポンド/米ドルは1%超の急落となった。
【参考記事】
●豪中銀は秘かにチャイナショックを警戒!?米利上げ=米ドル/円上昇とは限らない!(2015年8月7日、陳満咲杜)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
利上げを支持する理事が相変わらず1名に留まった上、BOEの見通しでは、来年(2016年)の年間を通じて金利を据え置いても、インフレの上昇は非常に緩やかだとされ、2017年に入ってから初めて利上げに踏み切るだろうということが表明された。これはマーケットにとってショックであった。
■英ポンド急落にはトレーダーの憎しみが感じられる
何しろ、カーニー総裁は状況次第では米利上げを待たずに英利上げも可能といったニュアンスの発言をしており、大手投資銀行のうち、米国よりも英国の利上げが先行するといった真面目な予想を出す銀行も少数派ではあるが、あったほど市場はこれを真剣に受け止めていた。
何を隠そう、筆者はここまで過激ではないものの、米利上げにすぐ追随して英国は利上げするだろうと思い込んでいた1人であった。しかし、それは見事に裏切られた。
女性の方にとって、「頼りにならない彼氏ほど憎いやつはいない」と聞いたことがある(誤解されても構わないが、念のため、筆者の彼女から聞かされたことではないことを明記しておく)。
昨日(11月5日)の英ポンドの急落(現執筆時点でもまったく回復の様子がない)に、トレーダーの憎しみが感じられるのは、筆者1人ではないと思う。
このように、市場の失望を買うと反動が大きいから、9月に続き、10月米雇用統計の「裏切り」があれば、そのインパクトは計り知れない。
■8月24日の大陰線は上下どちらに抜けるのか?
一般論として、もしも、米サイドの指標が良ければ、もっとも売られやすいのはユーロで、その後に円が続くだろう。米金融政策と正反対の意味合いということでは、ECB(欧州中央銀行)が最右翼となり、日銀がそれに続くから、当然のごとく、ユーロ売りの方が円売りよりも激しくなる可能性がある。
この意味では、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)としてのユーロ/円は、近々頭が重い展開になりやすいかと思う。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
肝心の米ドル/円は、そろそろ大きなサインを点灯してこよう。何しろ、8月24日(月)の大陰線に「はらまれた」形でもう54取引日を経過しているから、煮詰まりつつある状態であり、このはらみを打破してくるかと思われる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ただし、このはらみの打破は上放れが当たり前だと思われているからこそ、もしも、反動が出れば、市況も大きく変わる。市況はいかに。
(PM2:30執筆)
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