■日銀によるQQE3観測記事がサポート
その暴落を反転させたのが、下記の日銀によるQQE3(量的・質的金融緩和第3弾)に関する報道でした。
日銀、追加緩和の条件満たす=安倍首相側近
安倍晋三首相の側近は、世界的な市場の混乱が「アベノミクス」の支障となる恐れがあるため、日本銀行は来週の金融政策決定会合で追加緩和すべきとの見方を示した。
匿名を条件に取材に応じた側近は今週ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、株価の急落、円高、低迷する経済成長、インフレ期待の後退など、「追加緩和の条件を満たしている」と述べた。
足元では、日銀が早ければ1月28日・29日の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切り、現行の資産買い入れ(年間約80兆円)を増額するとの観測が高まっている。増額が実現すれば2014年10月以来となる。
この側近は、追加緩和を見送れば、日銀の信頼性に疑問符が付き、期待に働きかけるという「アベノミクスの基本フレームワークが、壊れはしないが、毀損してしまう」と述べた。
出所:Bloomberg
以前もご紹介させていただきましたが、「円高が進行するにつれ、日銀のQQE3への警戒感は高まる」というのはマーケットのコンセンサスなのですが、この報道がマーケットに出回った局面が、株安・円高が加速していた局面であったため、ショートカバーも強烈。
【参考記事】
●ソロスも警告するリーマンショック再来はあるのか? その鍵を握るのは米国株…!?(2016年1月12日、西原宏一&松崎美子)
●黒田総裁の緊急帰国が市場の話題に…。リスクオフかオンを見る2つのポイントとは?(2016年1月19日、西原宏一&松崎美子)
一時、1万6000円を割り込んでいた日経平均先物の戻しはすさまじく、あっという間に節目の1万6500円を回復しました。そして、1月21日(木)の東京市場で日経平均は、一時、1万6734円まであっという間に反発。ところが、その後は急反落し、1万6000円の大台割れに迫る動きとなりました。
(出所:株マップ.com)
今後もボラティリティが高く、流動性の低下した相場が続きそうなので、乱高下には注意が必要です。
■当局は日経平均1万6000円、ドル/円115円レベルに注目
前述のウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)の報道にあるように本邦当局は日経平均の1万6000円台、米ドル/円の115円というレベルに注目しているのがわかります。
次回の日銀金融政策決定会合は来週、1月28(木)~29日(金)。
QQE3については、参院選までは、株をサポートするカードとして残しておきたいとの思惑や、そもそも中国経済の減速や、原油の急落といったリスク要因満載のマーケット環境下、QQE3がどの程度効果があるのかについて懐疑的な意見も増えています。
【参考記事】
●ソロスも警告! リーマンショックが再来!?株安・円高の行方占う2つのポイントとは?(1月14日、西原宏一)
ただ来週、1月28日(木)~29日(金)の日銀金融政策決定会合でのQQE3への期待が、一時的に「株安・円高を抑制する」ことは期待できます。
(出所:株マップ.com)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
そのため短期的には、2016年年初からの急激な「株安・円高相場」はいったん調整に入る可能性もあります。
■「株安・円高」トレンドは変わらず、NYダウの動向がカギに
しかし、2016年年初からの「株安・円高」相場が収束したわけではありません。カギを握るのは、本丸NYダウの動向。
本コラムで注目しているNYダウの200週移動平均線ですが、1月20日(水)のマーケットでは、ほぼそのレベルで推移しており、神経質な展開…。
【参考記事】
●2カ月で16円暴落!ポンド/円は想定どおり急落! 株安・円高のカギはNYダウが握る(1月7日、西原宏一)
この200週移動平均線が位置している1万5770ドルと、昨年(2015年)のチャイナショック時の安値である1万5370ドルが決壊してしまうと、NYダウの下落が加速する可能性が高いため、要注意です。
(出所:CQG)
日銀のQQE3への期待からいったん反発した「日経平均と米ドル/円」ですが、中期の「株安・円高」トレンドは変わらず。
【参考記事】
●ソロスも警告! リーマンショックが再来!?株安・円高の行方占う2つのポイントとは?(1月14日、西原宏一)
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