■米ドル/円の高値トライに継続力はある?
この意味では、現在の米ドル高基調、とりわけ、米ドル/円の高値トライに継続力があるかどうかは、慎重に測った方がよい。
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「FRBの利上げ詐欺」に散々やられたからこそ、マーケットは今度の利上げを確実視し、また、より一層反応してきたと思われるが、今までの経緯からすると、「早期」ではなく、「晩期」の利上げ可能性を「好感」しすぎた、という側面が強いのではないだろうか。
このためか、昨日(10月20日)からなされている黒田日銀総裁などが「追加緩和を見送りを示唆」という報道に対する、市場の反応は鈍かった。
「ストックホルム症候群」は根本的にいうと、感情や認識の乱れだから、こういった反応があっても仕方がないが、追加緩和観測は円安の「生命線」であるだけに、果たして、このような状況が長く続くかどうか疑問だ。
■ユーロの波乱が米ドル高を押し進めた
一方、昨日(10月20日)はユーロの波乱が、米ドル高を一段押し上げた側面も見逃せない。
ドラギECB(欧州中央銀行)議長がテーパリングを否定。これ以前から報道されていたECBのQE(量的緩和策)停止、といった観測がなくなることで、ユーロは一段安となり、英EU離脱が決定された6月24日(金)安値を更新した。これにより、目先、米ドル高基調がさらに強まっていくことも覚悟しておきたい。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
実際、米「晩期」利上げでもマーケットが過激な反応を示し、米ドル高をガンガン推進していくなら、米ドル高自体が利上げの障害になるリスクも大きい。
■ユーロも円も、対ドルの安値打診はいったん限界に近い?
この意味では、QE継続が表明されたユーロにしても、追加緩和見送りが示唆された円にしても、対ドルの安値打診は、目先すでにいったん限界に近づいているのではないだろうか。米ドル高一辺倒のスタンスとは、引き続き距離を保ちたい。
ちなみに、2015年3月以来、ドルインデックスは大型保ち合いを形成してきた。
(出所:CQG)
これは「FRB利上げ詐欺」にあったというだけでなく、そもそも2011年4月安値を起点とした米ドル高トレンドに対するスピード調整、といった意味合いが重要であった。この視点でも、目先、米ドル高の基調は強いものの、積極的な高値追いには躊躇せざるを得ない。
このあたりの解釈はまた次回、市況はいかに。
(14:00執筆)
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