■新興国通貨! 五輪より驚愕のブラジルレアルスワップ金利
このほか、2016年は例年に比べると、新興国通貨に注目が集まった年と言えるかもしれません。2016年8月には、ブラジルでリオデジャネイロオリンピックも開催されましたし!
ブラジルの通貨といえばブラジルレアルですが、外資系のFX会社、IG証券では、2016年4月からブラジルレアル/円の取引ができるようになりました。日本国内で取引できるFX会社はあまりないので貴重です。
【参考記事】
●政策金利14.25%のブラジルレアルを取引できる日本唯一のFX会社、知ってる?
2016年12月現在、13.75%と、一時期に比べたら下がってきたとはいえ、まだまだ政策金利が高いブラジル。となると、気になるのがスワップ金利(スワップポイント)ですが、みなさんの期待どおり、スワップ金利はかなり高いです。
2016年8月に調査した際、IG証券のブラジルレアル/円のスワップ金利は1万通貨1日あたり82円、米ドル/ブラジルレアルだと1万通貨1日あたり1185円ほどもありました。
米ドル/ブラジルレアルのスワップ金利が規格外の水準だったという事実は、日本勢のメダルラッシュが続いたリオデジャネイロオリンピックの話題よりも衝撃的だったと記憶しています。
【参考記事】
●ブラジルレアルのスワップは1000円超え! リオ五輪より衝撃的な金メダル級の事実!?
12月20日(火)現在も、IG証券の取引システムにて調べたところ、米ドル/ブラジルレアルのスワップ金利は、オリンピック時の水準とあまり変わらず、1万通貨1日あたり1147円程度でした! 衝撃的なスワップ金利に変わりはないようです。
もちろん、新興国通貨は政局不安などによって、急激な値動きに見舞われやすいというリスクもありますし、米国の利上げがどう影響を及ぼすかという問題もあり、手放しで「買い!」とは言えませんが、かなり魅力的なスワップ金利です。
小さめの取引量なら、試してみたいかも…。
■「トランプリスク」で右往左往したメキシコペソ
また、2016年10月から外為どっとコムで、「スプレッド縮小およびスワップ金利固定キャンペーン」が実施されたメキシコペソも注目を集めた新興国通貨です。
メキシコペソが注目を集めた理由は、ズバリ、米大統領選。

米大統領選のテレビ討論会の様子。当時、トランプ氏とクリントン氏のすごーく激しい選挙戦が繰り広げられていた (C)Steve Pope/Getty Images
まさかの勝利を上げたトランプ氏は、以前から「不法移民の流入を防ぐため、メキシコとの国境に壁を作る必要がある。しかも、建設費はメキシコ持ちで」と言ってみたり、「米国から雇用を奪うNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉を。ダメなら脱退する」と言ってみたり、メキシコ経済に大きな影響を与えかねない過激発言を繰り返してきました。

メキシコの男前大統領ペニャエト氏。「壁を作るゾ!」発言のトランプ次期米大統領と、今後、どんな話し合いを進めていくのか… (C)NurPhoto/Getty Images
米大統領選の間、トランプ氏優勢が伝わると「トランプリスク」の高まりからメキシコペソが売られ、クリントン氏優勢が伝わるとメキシコペソが買われるという傾向が続いていたのです。
【参考記事】
●4.75%の高金利! カギはトランプ氏が握る!? 今、メキシコペソが注目されるのはなぜ?
●トランプリスク後退を察知!? リトマス試験紙「メキシコペソ」は事前に上昇していた!
トランプ氏勝利で幕を閉じた米大統領選。メキシコペソは、対米ドルで大きく下落したあと、現在は小康状態が続いています。実はスワップ金利も結構魅力的な水準で推移しているメキシコペソ。
2017年に入り、正式にトランプ氏が大統領に就任したら、いったいどんな動きをするのか、注目したいところですね。

(出所:CQG)
■トルコリラ/円の取扱いに新規参入! SBI FXトレードも!
新興国通貨と言えば、2015年に一大ブームを巻き起こしたトルコリラも忘れてはいけません。
【参考記事】
●ザイFX!で2015年を振り返ろう(5) くりっく365への上場でトルコリラ戦争勃発!
2016年7月には、クーデター騒ぎもあったトルコ…。政局不安を抱え、為替の急変動などに見舞われつつも、トルコリラは高金利通貨として日本のFXトレーダーに根強い人気を誇っているようです。
【参考記事】
●クーデター騒ぎ勃発でトルコリラが急落! 急落でも問題なくスワップで儲ける手法
その証拠に、2016年もトルコリラの取扱いを始めるFX会社が数社ありました。たとえば、10月に取扱いをスタートしたFXプライムbyGMO、それに11月に、トルコリラ/円を含む、一挙14通貨ペアを追加したSBIFXトレードなどです。
【参考記事】
●非常事態宣言&格下げでも意外に底堅い? FXプライムが新規参入したトルコリラの今
●トルコリラ/円スプレッドで突如業界トップに躍り出た! 激レア韓国ウォンも取引開始
2015年以前はヒロセ通商、外為どっとコム、セントラル短資FXあたりがトルコリラ/円のスワップ金利やスプレッドを巡って火花を散らしていた印象ですが、今、現在、トルコリラ/円スワップ金利が高いのはいったいどのFX会社なのでしょうか?

※1万通貨1日あたりのスワップ金利
【参考コンテンツ】
●FX会社徹底比較!:トルコリラ/円が取引できるFX会社はここだ![トルコリラ/円スワップ金利の高い順]
相変わらずヒロセ通商が1万通貨あたり1日115円と頭ひとつ抜けていますね。2016年に取扱いをスタートしたFXプライムbyGMOも90円と健闘、2位水準につけています。あとは、60円台後半から70円台前半の3位水準に多くのFX会社が固まっている感じでしょうか。
チャートを見ると、そこまで買い一辺倒を推奨できる状態ではなさそうなトルコリラ/円…。2016年にはクーデターもありましたし、ちょっと心配。そろそろ上昇に転じてくれるでしょうか? 2017年の動向に期待したいところです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 週足)
なお、2016年はトルコリラ/円以外でも、結構スワップ金利競争が激しかった印象です。スワップ金利を狙った中長期での取引を考える人は、各社の動向に注目です。通貨ペアによっては、意外な会社ががんばっていたりして…?
【参考記事】
●今度はスワップ金利競争勃発か!? 突然の業界最高水準宣言が本当か検証!
●スワップ競争大混戦! 注目の英ポンド/円でもスワップ上昇中って、チャンスなの!?
■なぜ!? 対米ドルで急速に進んだ中国人民元安
新興国通貨と言えば、もう1つ。中国人民元の動向もかなり激しいものがありました。2016年は、対米ドルで急速な中国人民元安が進んだのです。
【参考記事】
●実はチャイナショック時以上にひたひたと進んでいる中国人民元安。その理由は?

(出所:CQG)
中国人民元安が加速した背景には、「最大45%の関税を課す」という過激発言をしたトランプ氏の米大統領選勝利や中国人民元のSDR(特別引出権)入りなどの影響が挙げられますが、もっとも根本的な原因は、中国国内からの資金流出ではないか? と言われているようです。
場合によっては、中国人民元安はこれからも続くかも?
この件について、ザイFX!では以下の記事を公開しています。米ドル/人民元の取引ができるサクソバンク証券やIG証券、デューカスコピー・ジャパンなどのFX会社もまとめて紹介していますので、ぜひ、チェックしてくださいね。
引き続き、ザイFX!でも動向を追い、何かあればまた情報をお伝えしていきたいと思います。
【参考記事】
●実はチャイナショック時以上にひたひたと進んでいる中国人民元安。その理由は?
それでは最後に…
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