(「ザイFX!で2016年を振り返ろう!(6) FX業界編:明暗クッキリ!?サービス興廃模様」からつづく)
■2016年スプレッド競争。今回はあの2社の争いではなく?
前回までの記事では、メタトレーダー(MT4)やシストレ、CFDなどの話題を中心にお届けしてきましたが、ここからは通常のFXに関する話題を押さえていきたいと思います。まずは、スプレッドについて。
FX会社各社のスプレッド競争は、ここ数年で、ある意味、行くところまで行ってしまい、米ドル/円なんかは0.3銭原則固定あたりが業界最狭水準ということで落ち着きを見せています。
【参考コンテンツ】
●FX会社徹底比較!:取引コストで比べる[米ドル/円スプレッドの狭い順]
そんな、ここ数年のスプレッド競争をけん引してきたFX会社と言えば、新垣結衣さんをイメージキャラクターに起用しているGMOクリック証券とローラさんを起用しているDMM.com証券の2社。比べてみると、ビジュアル的にも、張り合ってる感じ? なにはともあれ、旬の女優さんとタレントさんが全面に出ていて華やかですね。
ザイFX!でもこの2社のスプレッド競争の模様は、何度も記事にしてきましたが、追いつ追われつ、それはそれは凄まじい争いでした…。
【参考記事】
●ザイFX!で2015年を振り返ろう(3) GMOとDMMの取引高争いに老舗が迫る!?
●ザイFX!で2014年を振り返ろう!(3) 【業界:前編】BO再燃と熱いスプレッド競争
●ザイFX!で2013年を振り返ろう!(4) 【業界:前編】スプレッド拡大から再び縮小
●ザイFX!で振り返る2012年(3) 【FX業界の動向:前編】スプレッド競争激化
お伝えしたとおり、FX業界のスプレッド競争も行くところまで行ってしまった感があり、GMOクリック証券とDMM.com証券の競争も、さすがに収束したかに見えていましたが、2015年末あたりから何やら不穏な動きが出始めました…。
今度は、NZドル/円や英ポンド/米ドルなど、そこまでメジャーではない通貨ペアのスプレッド縮小競争が始まったのです。
このスプレッド縮小競争の口火を切ったのは、ヒロセ通商とその子会社JFX。それをGMOクリック証券とDMM.com証券が追随し、外為どっとコムがちょっと遅れて乗っかってきたという感じ。
【参考記事】
●DMM縮小の翌日にGMOも縮小! 因縁のスプレッド競争再燃でNZドル/円は混戦!
●意地でもトップを死守! スプレッド競争に外為どっとコムも加わり、5社が横一線!
こうした動きを受けてか、ヤフーの子会社YJFX!は、それまで長らくキャンペーンで提供していたスプレッドを2016年1月に恒常化しました。
【参考記事】
●米ドル/円0.3銭原則固定を恒常化! GMMAが新搭載されチャートも機能アップ!
■ユーロや英ポンドなど欧州通貨のスプレッド競争が激化!
2016年2月に入ると、8日(月)にはシステムトレード(自動売買)と裁量トレードのいいとこ取りをしたサービス、インヴァスト証券[トライオートFX]がリニューアルに伴いスプレッドを大幅に変更。ユーロ/円スプレッドを0.6銭原則固定に、ユーロ/米ドルスプレッドをGMOクリック証券と並ぶ業界トップ水準の0.4pips原則固定に縮小しました。
そこまでメジャーではない通貨ペアのスプレッド縮小競争が終わるか、終らないかという状況のなか、このインヴァスト証券[トライオートFX]のスプレッド縮小が、欧州系通貨ペアのスプレッド縮小競争の口火を切る形になったのです。
【参考記事】
●ユーロ/ドル0.4pips! 自動売買系の意外な口座が業界最狭水準スプレッドに変貌!
同じく2月8日(月)にサービスのリニューアルが行われたGMOクリック証券は、NZドル/米ドルやユーロ/英ポンドなど、そこまでメジャーではない4通貨ペアを追加。スプレッドは、業界最狭水準のDMM.com証券やヒロセ通商をマークする水準で提供を開始しました。
同時に、インヴァスト証券[トライオートFX]を意識してでしょう、4つの欧州系通貨ペアのスプレッド縮小キャンペーンをスタート。
ユーロ/円を0.6銭原則固定から0.5銭原則固定へ、ユーロ/米ドルを0.5pips原則固定から0.4pips原則固定へ、英ポンド/円を1.1銭原則固定から1.0銭原則固定へ、英ポンド/米ドルを1.1pips原則固定から1.0pips原則固定へと、業界最狭水準にまで縮小したのです。
そして、GMOクリック証券のスプレッド縮小キャンペーンからわずか3日後の2月11日(木)には、外為どっとコムがGMOクリック証券とまったく同じ通貨ペアを対象に、まったく同じ水準とするスプレッド縮小キャンペーンを開始しました。
【参考記事】
●4年連続FX取引高世界一のあのFX会社が新FX口座をリリース! スプレッド縮小も!
■トライオートFXがユーロ/米ドル0.3pipsへ突っ込んだ!
さすがにこれで落ち着くかに見えましたが、2016年2月末には、インヴァスト証券[トライオートFX]が再びスプレッド縮小を実施。ユーロ/円をGMOクリック証券や外為どっとコムと並ぶ0.5銭原則固定へ、ユーロ/米ドルに至っては、前人未到の0.3pips原則固定にまで縮小したのです!
【参考記事】
●ユーロ/米ドルが驚愕の0.3pips原則固定! スプレッド競争にダークホース登場!
この動きを受け、2016年3月にJASDAQ上場を果たしたヒロセ通商も「上場記念」と称して、ユーロ/円とユーロ/米ドルのスプレッドをそれぞれ0.5銭と0.4pips原則固定に縮小。
【参考記事】
●ユーロ/円とユーロ/米ドルを取引するなら、上場記念でスプレッド縮小中の今がお得!
外為どっとコムも、欧州系通貨ペアのスプレッド縮小キャンペーン期間を延長し、応戦する構えを見せました。
【参考記事】
●ユーロ/円0.5銭原則固定の期間延長! FX最強王者決定戦のファイナルバトル開始
ここまでの流れは、以下の記事でもざっとまとめていますので、こんがらがってきた方は参考にしてください。
【参考記事】
●FX業界関係者必見! 欧州スプレッド戦争が勃発! ユーロ/ドルは0.3pips原則固定に!
■欧州通貨スプレッド競争から、王者は早々に離脱!?
こうなると、過去のスプレッド競争をけん引してきたGMOクリック証券とDMM.com証券もとことん突っ込んできそう…。以前の米ドル/円のように、ユーロ/円やユーロ/米ドルのスプレッド縮小競争もレッドオーシャンと化すのでは?と思われましたが、今回は違いました。
なんと、GMOクリック証券とDMM.com証券の2社は、早々に戦線を離脱したのです。GMOクリック証券は、スプレッド縮小キャンペーンを延長しませんでしたし、DMM.com証券もこうした動きに追随する姿勢を見せませんでした。
【参考記事】
●欧州スプレッド戦争からかつての王者が戦線離脱! 総合力でリードするのは…?
その後、外為どっとコムもキャンペーンを終了して通常どおりのスプレッドに戻り、最終的に欧州系通貨ペアのスプレッド競争で業界トップ水準に食い下がったのは、ヒロセ通商とその子会社・JFX、それからインヴァスト証券[トライオートFX]の3社。
その後、ヒロセ通商のユーロ/円0.5銭原則固定、ユーロ/米ドル0.4pips原則固定のキャンペーンスプレッドは、2016年11月にしれっと恒常化されています。ウェブサイトを見る限り、JFXについても同じ水準で恒常化されたっぽいです。
【参考記事】
●肉食系FX会社がスプレッド戦争持久戦を制した!? 取引高も3カ月連続3位で絶好調!
●大阪名物、こっそり極狭スプレッド!? ユーロ/米ドル0.4pips原則固定を恒常化!
また、FXブロードネット(旧FXトレーディングシステムズ)も2016年9月にかなり大胆なスプレッド縮小を実施しています。こちらは原則固定ではありませんが、米ドル/円0.3銭、ユーロ/円0.5銭、ユーロ/米ドル0.3pipsなどメジャー通貨ペアのスプレッドは、業界最狭水準です。
【参考記事】
●スプレッドが6分の1に縮小したって本当? あのFX会社の大幅スプレッド縮小に2つの謎
ちなみに、FXブロードネットは、2016年12月1日(木)に、社名をFXトレーディングシステムズからFXブロードネットに変更。ウェブサイトも一新しています。スプレッド縮小に社名変更と、何かと変化が続いたFXブロードネット。2017年の動向にも注目したいところです。
【参考記事】
●社名変更でイメージ一新! スプレッドも業界トップタイ。ザイFX!限定特典も強化!
結局、激しいスプレッド縮小競争が…
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