■予想どおり! 米雇用統計を経て利上げ条件は整った
前回のコラムでは、米雇用統計で「予想どおり、あるいは予想を上回る結果となった場合、3月の利上げはほぼ確実になってくると思います。個人的には強い数字が出ることを期待していて、3月15日(水)には利上げが実施されると考えています」とお伝えしました。
【参考記事】
●米ドル/円115円近辺には、何があるのか!?3月米FOMCで利上げ実施でも冷静な対応を(3月9日、今井雅人)
3月10日(金)に発表された2月の米雇用統計は、平均時給こそ予想を下回ったものの、非農業部門雇用者数や失業率は、いずれも予想を上回る強い結果となり、米雇用市場の力強さを裏付ける形となりました。
市場の反応は、これまでの米ドル買いの利食い売りという相場展開となりましたが、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの条件は整いました。
■0.25%利上げ! 米ドルはもう一段買われるはずだが…
そして、日本時間3月16日(木)午前3時に発表されたFOMC声明文では、予想どおり、FF金利(※)の誘導目標を0.75%-1.00%へ、0.25%引き上げることを決定しました。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
※FRB発表のデータより、ザイFX!編集部が作成
インフレに対する見通しも強めに修正しているほか、金利の今後の引き上げペースも、前回までの「only gradual」から「gradual」としています。イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、会見で「あまり深い意味はない」との認識を示してはいますが、明らかに「金利引き上げペース」が、これまでよりもアップしていることがわかります。
また、声明文の文言こそ前回までと一言一句、同じ表現となりましたが、「満期保有資産の再投資」について、「方針変更の協議を開始したが、結論は得られなかった」ということも、イエレンFRB議長が自ら説明しました。
これらは、いずれも「利上げ」と「資産圧縮」という「金融政策の正常化」に向けた動きが本格的に始まったことを意味しており、本来であれば、米ドルがもう一段と買われていなければならない状況です。
■利上げされたのに、なぜ米ドルは売られたのか?
しかし、市場は米ドルの全面安と米長期金利の大幅な低下という反応を示しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
(出所:Bloomberg)
0.25%の利上げが100%織り込まれていたことは周知の事実でしたが、直前になって、声明文と同時発表される「経済・金利見通し」において、FOMC(米連邦公開市場委員会)メンバー全員のFF金利予想が「年内4回」に上方修正されるのではないか?といった憶測が台頭しました。
前回、2016年12月時点では、2017年末の予想中央値が1.375%(0.25%ずつ年3回の利上げ)であったことから、もしそうであるならば一気に1.625%まで上昇していることになるはずです。
そこまでは上がっていなくても、少なくとも何らかの上方修正が行われるのではないか?といった予想が高まっていたことは事実です。
しかし、3月16日(木)午前3時に公表された数字は、2017年末が1.375%、2018年末も2.125%。前回の中央値のままであることが分かると、前のめりになっていた市場は、一気に米ドル売り、米債買い戻しの動きに走ることになりました。
【参考記事】
●FOMC金利見通し引き上げでドル急上昇!過熱感がない相場はなかなか止まらない(2016年12月15日、今井雅人)
アジア市場に入ってからは…
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