■ドラギ総裁発言でユーロ上昇、買いたい人が多かった!?
7月20日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会では、市場の予想どおり、政策金利は据え置きとなりました。
その後のドラギECB総裁の会見には、ハト派な発言とタカ派な発言の両方がありましたが、ユーロ相場はタカ派な発言だけに反応し、ユーロ/米ドルは7月24日(月)に1.1684ドルまで上昇してきました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間)
ハト派な発言に反応しなかった動きから考えると、市場参加者の中には1.15ドル台でもユーロ/米ドルを買いたいと考えている人が多く、まだ上がると考えている人も多いのではないかと思います。
【参考記事】
●ドラギ総裁はハト派でも買われたユーロ! 「シントラショック」以降、ユーロは新局面へ(7月24日、西原宏一&大橋ひろこ)
●ユーロ/米ドルは1.2ドル打診もあり得る! 今後、豪ドルが買われるとみる理由とは?(7月21日、陳満咲杜)
●日本がゼロ金利固定の間に欧州や米国は金利正常化へ! ユーロに優位性あり!(7月20日、西原宏一)
ユーロ/英ポンドに関しては、ファンダメンタルズ的には上昇だと考えていたものの、先週(7月17日~)の時点でチャートが天井を打ったような形になっていたのが気になっていましたが、ドラギECB総裁の発言でその懸念も払しょくされ、0.8994ポンドまで上がりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 日足)
ユーロ/英ポンドが上昇できる形となれば、テクニカルとファンダメンタルズが同じ方向となるので、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)は買いやすく、ポンドクロス(英ポンドと米ドル以外の通貨との通貨ペア)は売りやすい状態となります。
■見通し変わらないが、すぐの円安は期待しにくい状況
ドルインディックスは、92.50~93.00のサポートゾーンに差し掛かってきています。
(出所:Bloomberg)
今年(2017年)に入ってからは下降トレンドが続いていることもあり、一時的な反発はあると思いますが、今の流れが変わる材料は見当たらず、下降トレンドは続きそうです。
米国に関しては、市場参加者は金融政策よりもトランプリスクや経済対策の方に注目しており、米ドル売りの流れが継続している状態です。
7月20日(木)には日銀金融政策決定会合の結果発表もありましたが、こちらもECB同様に金融政策は据え置きとなり、公表された「経済・物価情勢の展望」では、2017年度から2019年度までの物価の見通しが前回から下方修正されました。
そして、消費者物価指数の上昇率が前年比2%程度に達する時期は、2019年度頃へ先送りされました。
FRB(米連邦準備制度理事会)やBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])は利上げをしており、ECBも出口に向かって進んでいますが、日銀だけは物価見通しも下方修正し、緩和的な金融政策をまだ継続させることが予想されるので、中長期的に円は売られる通貨という考えは変わっていません。
【参考記事】
●金融政策から米ドル買い・円売り揺るがず! 米ドル/円はさらに下がったところで買い!(7月18日、バカラ村)
●調整は買いの好機! 黒田氏が日銀総裁である限り、円安トレンド継続に疑いなし!?(7月14日、陳満咲杜)
●ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か(7月20日、今井雅人)
ただ、CFTC(米商品先物取引委員会)が公表しているIMM(国際通貨先物市場)のポジション動向(7月18日時点)を見ると、投機筋の円の売り越しはさらに積み上がり、約12.7万枚まで増えました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
日銀の金融政策からは円安だと考えているものの、これだけポジションが偏ると、すぐに円安にならないのではないかと思います。
■米ドル/円をトレード、上値の重さを確認
以下は7月17日(月)から19日(水)にかけての、米ドル/円の30分足チャートです。
(出所:サクソバンク証券)
先週(7月17日~)のトレードはメルマガ「バカラ村のFXトレード日報!」でも配信しましたが、米ドル/円を111.70円で買いエントリーしました。
一時的に上昇しましたが、浅いレジスタンスである112.20~30円で上値が重くなりました。そして、それを見て112.00円で一部を手仕舞いし、残りは建値にストップロスの売りを置いて損失を回避しました。
前述したように、米ドル/円は市場のポジションが円売りに偏りすぎていることもあって、非常に上値が重いです。その後も下がり、7月24日(月)には110.62円まで下落しました。
中長期の視点なら米ドル/円は上がると思っているものの、目先はポジションが偏っているので、上値の重い展開が続きそうです。
■8月の米ドル/円は下がりやすい傾向!?
また、米ドル/円は8月から下がりやすい季節になります。
季節性だけで見ると、米ドル/円は8~10月頃に下がりやすく、11月頃から上昇を再開することが多いです。
最近の米ドル/円は日経平均より米長期金利との相関性が高く、米長期金利に連動して動いていますが、リスク回避のときは日経平均とも連動するため、8月以降にリスク回避などの動きが出て日経平均が下落すると、米ドル/円も下がりやすくなると思います。
(出所:Bloomberg)
現在はポジションが円売りに偏っていて、さらに季節性からも下がりやすいため、米ドル/円の買いを控えている状態ですが、もし、株式市場が崩れるようであれば、米ドル/円は売りでエントリーすることを考えてもいいのではないかと思います。
米ドル/円の買いに関しては、ポジションの偏りが小さくなるか、10月ぐらいまで待つのが無難ではないかと考えています。
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