■まとまったフローなし、衆院選の状況を見極め!?
前回のコラムで、「東京市場では、10月10日(火)に公示された衆議院総選挙の状況を見極めたいとする向きが増えてきており、市場参加者に話を聞いてみても、『東京時間は本邦勢のフローがまったく出てこなくなっている』状況のようです。」と市場の様子をお伝えしました。
【参考記事】
●衝撃的な米雇用者数減少はイレギュラー。ドル/円の上値重いが、基本方針変わらず!(10月12日、今井雅人)
やはり、今週(10月16日~)も、日本の機関投資家を中心とした、まとまったフローが直接持ち込まれるということはなかったようです。
■「13日の金曜日」、弱いCPIでも荒れ相場回避
市場では、「13日の金曜日」という欧米の参加者にとってはかなり「不吉」な10月13日(金)に、9月米CPI(消費者物価指数)が総合・コアともに予想を下回る弱い数字となったことを受けて、米ドル/円が一時、111.688円まで売り込まれる場面も見られました。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
しかし、その後に公表された10月米ミシガン大消費者信頼感指数・速報値が、101.1とかなり強い結果となったこともあり、米ドル/円は懸念されていたほどの乱高下とはならずに、NY市場を終えることができました。

(出所:Bloomberg)
■日米株高で米ドル/円は一気に買い戻し。調整終了!?
週明けとなった10月16日(月)にも、米ドル/円は一時111.654円と、2度目の下値トライとなりましたが、ロシアのインタファクス通信が「米朝外交官が会談する可能性」を報じたほか、次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長人事を巡って関係者から、「スタンフォード大学教授のジョン・テイラー氏が、トランプ米大統領の評価が高い」との話が伝わると、一気に112円台へと買い戻す動きとなりました。
それからというもの、日経平均の12連騰や、連日にわたるNYダウの史上最高値更新を受けて、米ドル/円は買い戻しの動きが加速。
本日、10月19日(木)の早朝には、一時113.094円まで値を戻すことになっています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
米10年債利回りも2.35%付近まで戻すなど、先週(10月9日~)まで続いた米雇用統計後のポジション調整は、いったん終わったものとみなしていいかもしれません。

(出所:Bloomberg)
■目先はリスクオン。米ドル/円は上サイドをトライ
米韓軍事演習が始まっていることもあり、為替市場には北朝鮮による挑発行為のリスクが依然としてくすぶっているものの、10月22日(日)に予定されている衆院選での与党勝利を織り込む形で、目先はリスクオンの展開となってきています。
【参考記事】
●今週は北朝鮮情勢に絡むリスクに警戒! でも、無風で通過すれば米ドル買い再開か(10月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
●解散総選挙は「株高・円安」になりやすい! 米ドル/円、英ポンド/円は押し目買いか(9月26日、バカラ村)
衆院選の結果がどうであれ、米ドル/円は利食い売りをこなしながら、再び上サイドを試すという方向性に変わりなさそうです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
10月からの下半期入り直後に買いで目立っていた本邦機関投資家が、衆院選後に再び買い意欲を強める可能性は高く、市場関係者に話を聞いてみても、「111円台ではしっかりと買いたい」意向を持っている状況です。
■注目はFRB議長人事。利食いのタイミング探りたい
ところで、これからの材料といえば、直近ではやはり「次期FRB議長」の人選でしょう。
17日(火)にトランプ米大統領は、「5人の候補者全員を気に入っている」と答え、記者の質問をはぐらかしていましたが、胸中にはすでに、新たな議長がいると思います。
【参考記事】
●日経平均は21年ぶり高値でも円安進まず。次期FRB議長をめぐる3つのシナリオとは?(10月16日、西原宏一&大橋ひろこ)
18日(水)もサンダース米大統領報道官が、「数日以内にFRB議長人事を発表する」と公にしているので、今週末、または来週(10月23日~)早々にも、その答えがわかることになりそうです。
市場では5人の候補者のうち、ムニューシン米財務長官が強く推す「パウエル現FRB理事」、義理の父親がトランプ米大統領と親しい「ケビン・ウォルシュ元FRB理事」、最近、評価が上がってきている「ジョン・テイラー教授」の三つ巴ではないかとの憶測が高まっていますが、衆院選の結果とともに、週明け10月23日(月)からの動きには、注意しなければならないでしょう。
私は、引き続き109円台から110円台で買った米ドル/円のロング(=買い)ポジションをキープしていますが、目標である114円台が視野に入る中で、利食いのタイミングを探っていきたいと思っています。

(出所:Bloomberg)
【参考記事】
●11月のトランプ米大統領来日時は要注意!? 2度跳ね返された114円台で、ドル/円利食い(10月5日、今井雅人)
●衝撃的な米雇用者数減少はイレギュラー。ドル/円の上値重いが、基本方針変わらず!(10月12日、今井雅人)
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