■米12月利上げの可能性は高まったけど…
為替相場全体が、もみ合いの局面に入ってきました。決定的な材料が見当たらないことが原因でしょう。
米国の金融政策ですが、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)で公表された「経済・金利見通し」の中で、FOMCメンバー16名中、12名が年内の利上げを予想していたほか、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の定例記者会見や、その後の講演での発言内容を鑑みても、12月のFOMCで、今年(2017年)3回目の利上げが実施される可能性は、かなり高くなってきています。

(出所:FRB)
【参考記事】
●ドル/円が年初来安値から反発した理由は? 円安継続! 数週間以内に114円程度へ上昇(9月21日、今井雅人)
FF(フェデラル・ファンド)金利先物から算出される年内の利上げ予想確率も、10月4日(水)のNY市場クローズ時点で、69.9%まで上昇してきています。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
ですから、仮に利上げが実施されたとしても、市場に大きな影響は出ないと思います。
米国の長期金利は10年物が2.3%程度で推移しており、一時期よりは上昇していますが、伸び悩んでいます。

(出所:Bloomberg)
私自身は、この先、もう少し米ドル高になると予想していますが、それでも、上昇幅は狭く、かつスピードは緩やかなもので終わってしまうのではないかと考えています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
■11月のトランプ来日では、軍事行動含む激しいプランが?
北朝鮮情勢が気になるところでありますが、このところの状況を見ていると、市場関係者もこれらのリスクにかなり慣れてきていて、仮にミサイルの発射が再びあっても、影響は限定的で、かつ一時的だと思います。
【参考記事】
●米国と北朝鮮のチキンレースによる円高は一時的。雇用統計後、ドル/円は一段高か?(8月31日、今井雅人)
●米ドル/円は北朝鮮ミサイル発射でも押し目限定的。年内の上値目標は115~116円!(9月15日、陳満咲杜)
ただ、気をつけておかなければいけないのは、来月(11月)のトランプ米大統領が来日するときでしょう。
今、永田町の中で出ている話では、「来日時にトランプ米大統領が北朝鮮対策の具体的なプランを持ってくるが、それは軍事行動も含むかなり激しいものではないか」ということです。

永田町ではトランプ大統領が11月の訪日時に、北朝鮮対策で軍事行動も含むかなり激しいプランを持ってくるとの話も… (C) Chip Somodevilla/Getty images
そうなってくると、今までとは違う局面に入ってくる可能性もあるでしょう。仮にそのようなことが現実に起きてくれば、市場にも大きな影響が出てくるかもしれず、注視しておきたいと思います。
【参考記事】
●10月解散総選挙とトランプ来日で円安へ!? 英ポンド急騰! でもまだ上昇余地あり?(9月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米ドル/円の今年のレンジはかなり狭い! 10年ごとに起こる金融ショックに警戒!?(10月3日、バカラ村)
■米ドル/円の買いポジションをキープ、利食いの目標は?
これからの為替相場ですが、個人的には109円台から110円台で買った米ドル/円の買いポジションをキープしたままにしています。
【参考記事】
●ドル高の可能性高まる! 長期金利が異常な上昇!? ドル/円は114円台半ば目指す動きに(9月28日、今井雅人)
米ドル/円は、今年(2017年)の春以降、114円台~108円台を中心としたレンジ相場が繰り返される中、5月11日(木)に114.37円、7月11日(火)には114.495円と、114円台で上値が2度跳ね返されていますので、今回の上昇局面でも、そのあたりを利食いの目標にしています。

(出所:Bloomberg)
■ユーロ/米ドルは、出がらしのお茶のような状況…
ユーロ/米ドルに関しては、今年(2017年)は年間を通じて徐々に上昇してきたわけでありますが、8月29日(火)に1.2ドル台を突破したあと、9月8日(金)には1.20923ドルの高値を付けるに至りました。
ただ、その後も何度となく1.2ドル台を試したものの、明らかに上値が重くなってきています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
1.2ドル台に到達したことで、市場には達成感が出てきてしまっているのではないかと考えています。
その後の相場は、いわば、出がらしのお茶のような状況になってしまっています。
ユーロ/米ドルにも、再び1.2ドル台に向かうというようなエネルギーは、あまり感じられません。1.16ドル台から1.18ドル台のレンジに入ってしまったと見ています。
10月6日(金)には、9月の米雇用統計が控えていますが、ハリケーンの影響などもあり、非常に読みづらい状況でしょう。目先も引き続き、慎重な姿勢は崩せません。
【参考記事】
●ハリケーンによる米国経済への影響は? 米雇用統計で米ドル下落なら買いたい!(10月2日、西原宏一&大橋ひろこ)
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