■ザイFX!が2018年金融市場アンケートを実施
2018年がスタートし、金融市場も本格的に動き出したが、今年(2018年)の相場がどうなるのか気になっている人も多いはず。
そこで、今回は「2018年金融市場アンケート」と題して、ザイFX!が市場関係者に今年(2018年)の金融市場がどうなるのか、アンケートを実施したので、その内容を紹介しよう。
今回、市場関係者に質問した内容は以下のとおりとなっている。
2018年金融市場アンケート | |
(1)2018年末の米ドル/円レートは? | |
(2)2018年末のユーロ/米ドルレートは? | |
(3)2018年末の日経平均は? | |
(4)2018年の為替相場を大きく動かしそうなテーマは? | |
(5)特に注目しているイベントは? | |
(6)ビットコインはバブルだと思いますか? | |
(7)2018年のビットコイン/円の高値は? | |
(8)2018年のビットコイン/円の安値は? | |
(9)金融庁が検討しているFXの新レバレッジ規制(25倍→10倍)に ついてどう思いますか? | |
(10)(9)で賛成 or 反対とした理由はなんですか? | |
(11)そのほか、注目している通貨(通貨ペア)や注目しているテーマ(イベント)などがあればぜひ! |
なお、回答については、(1)~(6)が必須、(7)~(11)は任意とし、(10)と(11)を除き選択式に。そして(4)と(5)については、複数回答を可能とした。また、記名については任意とした。
アンケート期間は、2017年12月20日(水)~12月27日(水)まで。対象は日本の銀行、証券会社、FX会社などの専門家、各種メディアの関係者で、26名から回答を得ることができた。
■2018年末の米ドル/円レートは…!?
ここからは、アンケート結果について詳しく見ていこう。
はじめに、米ドル/円の2018年末のレートについて。
結果は、121円~125円台が29.6%でもっとも多く、116円~120円台、106円~110円台が22.2%で続いた。一方、126円以上、101円未満と回答した市場関係者はいなかった。
2017年12月~2018年1月上旬にかけて、米ドル/円は111円台から113円台で推移しているので、今年(2018年)の年末時点で、米ドル高・円安に進んでいると予想する市場関係者のほうが優勢ということになる。
ちなみに、西原宏一さんはザイFX!のコラム「ヘッジファンドの思惑」で、今年(2018年)後半に実施される米国の中間選挙に向けて、米ドル/円は105円方向に下落するとの見解を披露している。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
またバカラ村さんは、同じくザイFX!のコラム「バカラ村のFX専業トレーダーの相場観」で、2018年内に米ドル/円は101円まで下落するシナリオもあり得るとの見方をしている。
【参考記事】
●“小動きの翌年の法則”を考えると2018年の米ドル/円は16%変動! 101円まで下落か!?(2017年12月26日、バカラ村)
■ユーロ/米ドルは上昇との見方が少し優勢
次に、2018年末のユーロ/米ドルレートについて。
1.10ドル~1.19ドル台と1.20ドル~1.29ドル台が38.5%ともっとも多く、この2つの回答だけで全体の約8割を占めた。そして、1.00ドル~1.09ドル台が11.5%、1.30ドル~1.39ドル台が7.7%で続いた。
2017年12月から2018年1月上旬にかけて、ユーロ/米ドルは1.17ドル台半ばから1.20ドル台後半で推移しているので、現在推移しているこの価格帯を含む選択肢を選んだ市場関係者が大半だったことになる。
ただ、さらに大きく動くと見ている市場関係者に注目すると、上は1.30ドル~1.39ドル台を見ている人がいるのに加え、さらに1.40ドル~1.49ドル台という、かなりのユーロ高・米ドル安水準まで上昇すると考えている人もいた。その一方、1.00ドル未満の回答はなく、下方向に大きくかけ離れたものはなかった。
そういった意味では、ユーロ高・米ドル安方向を見ている市場関係者のが少し優勢と言えそうだ。
昨年(2017年)は、4月に実施された仏大統領選を契機に8~9月ぐらいまで、ユーロは急上昇したが、今年は大きな動きが見られるのだろうか。
【参考記事】
●2018年 謹賀新年:「店頭FX会社だけ規制」に変化した新レバレッジ規制問題はどうなる?
●ザイFX!で2017年を振り返ろう!(2) 英離脱交渉難航!? ECBがテーパリングへ!
(出所:Bloomberg)
■日経平均は引き続き堅調との見方が多い
2018年末の日経平均はどうだろう?
こちらは、2万6000円~2万7000円台が38.5%ともっとも多く、2万4000円~2万5000円台が30.8%で続いた。
2017年の大納会(12月29日)の終値が2万2764円なので、今年(2018年)の日経平均も引き続き堅調に推移するとの見方が多いようだ。
(出所:Bloomberg)
2017年10月にマネックス証券が、日経平均が3万円に到達するというリリースを出して、かなりの話題になったが(※)、今回、ザイFX!が実施したアンケートでは、3万円以上で2018年年末を迎えると回答した市場関係者はいなかった…。
(※3万円到達予想時期はマネックス証券公式サイト内では2018年内とはされていないようだが、同社チーフ・ストラテジストの広木隆氏は「2018年年末に日経平均3万円」という予想をテレビ東京系の番組「ニュースモーニングサテライト」などで披露している)
■為替相場を大きく動かしそうなテーマは?
(1)~(3)は2018年末の相場の水準についての質問だったが、次は、注目しているイベントなどについて見てみよう。
2018年の為替相場を大きく動かしそうなテーマでは、米国政治・経済・金融政策が40.7%でトップ。次に、地政学リスクが27.1%、欧州政治・経済・金融政策が18.6%となった。
利上げが順調に進みつつあり、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の交代を控え、秋には中間選挙も控えるなど、材料が盛りだくさんの米国に対する注目度が高いようだ。
■パウエル新体制下での米金融政策に注目が集まる
特に注目しているイベントについては、新体制後のFRBの金融政策と答えた人が24.4%、北朝鮮情勢が15.4%、米国の中間選挙が12.8%、日銀の金融政策が11.5%の順となった。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
先ほども少し紹介したように、2月に任期が切れるイエレン議長に代わって、パウエル理事がFRB議長に昇格することになるが、パウエル新体制下での米金融政策がどうなるのか、市場関係者の注目度は高い。
アンケート回答者の中で、大和証券のチーフテクニカルアナリスト・木野内栄治氏はやはり基本的には、新体制後のFRBの金融政策に注目しているとしていた。ただ、さらにBrexit(英国のEU離脱)に内包して、揺れ動いている欧州の金融政策もポイントに挙げていた。
また、ニッセイ基礎研究所のシニアエコノミスト・上野剛志氏は、今年(2018年)は、Brexit交渉の行方、英国政治の動き次第で大きく動く可能性があるということで、英ポンド/円の動向に注目していた。
ちなみに、木野内氏と上野氏は、以前にもザイFX!に登場している。詳しくは、以下の【参考記事】をご覧ください。
【参考記事】
●大和証券木野内氏と松崎美子氏が対談! 2013年後半は米ドル高・ユーロ安がテーマ
●被害総額・約60兆円! もしもシン・ゴジラが本当に襲来したら、日本経済はどうなる!?
■ビットコイン相場はバブルなのか?
次は、昨年(2017年)何かと話題になったビットコインについて。
ビットコイン相場は、昨年(2017年)後半にかけて急騰し、ビットコイン/円は一時200万円を突破、ビットコイン/米ドルも2万ドルの大台に迫った。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/米ドル 週足)
今回のアンケートでは、こうした動きがバブルなのか、市場関係者に聞いてみた。
結果は、YESが65.4%となり、NOの34.6%を上回った。
なお、ウォール・ストリート・ジャーナルでも、これと同じ質問をエコノミスト53人に聞いているのだが、その結果は、じつに51人(96.2%)までがビットコイン相場はバブルだと回答していた。こちらの調査期間は2017年12月8日~11日で、元の記事に調査対象国は明記されていないのだが、調査対象はおそらく米国もしくは欧米のエコノミストだと思われる。
ウォール・ストリート・ジャーナルの調査結果と比較すると、今回、日本の市場関係者にザイFX!が行ったアンケートでは、ビットコイン相場をバブルだと回答した人の割合が結構少ないことがわかる。
アンケート回答者の中で、フィスコ仮想通貨取引所の代表取締役・越智直樹氏は、2018年は仮想通貨に対する注目度がさらに高まるとし、
既存コインのアップデートや新規コインの登場に期待しているという。
■2018年のビットコイン/円の高値は1000万円以上との回答も!
次に、2018年のビットコイン/円の高値と安値について。
ビットコイン/円の高値予想は、400万円~500万円台と200万円~300万円台が37.5%で並んでトップだった。
また、少数回答ではあったが、ビットコイン/円の2018年の高値を1000万円以上と予想する市場関係者もいた。これは先ほど紹介したフィスコ仮想通貨取引所の代表取締役・越智直樹氏、そして、東海東京調査センター・為替金利シニアストラテジストの柴田秀樹氏の2人だった。
■ビットコイン/円が10万円未満まで暴落すると予想する人も!
ビットコイン/円の安値予想は、100万円から140万円台が56.3%、続いて50万円から90万円台が31.3%となっている。ちなみに、わずかではあるが、10万円未満と回答した人もいた。
そういえば、先日、ザイFX!でサクソバンク証券の親会社であるサクソバンクが、今年(2018年)、ビットコイン/米ドルが6万ドルまで暴騰後に1000ドルまで急反落するという驚きの予測を立てているという話題を紹介した。このようなとんでもない暴落を予想する向きもあるということだ。
【参考記事】
●2018年のビットコイン相場を大胆予測! 6万ドルまで爆上げ後、1000ドルまで暴落!?
【参考コンテンツ】
●ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?
●「ビットコイン・仮想通貨のFX」ができる取引所を比較。上昇も下落も収益チャンスに
●仮想通貨初心者でも1分でわかる「ビットコイン」の基礎知識!
■FXの新レバレッジ規制について7割強が反対
最後に、金融庁が検討しているとされるFXの新レバレッジ規制についても項目を設けたので紹介しよう。
【参考記事】
●2018年 謹賀新年:「店頭FX会社だけ規制」に変化した新レバレッジ規制問題はどうなる?
●FXのレバレッジが25倍→10倍へ引き下げ!? 日経報道は真実? 個人投資家への影響は?
●FXのレバレッジが10倍に引き下げられたら影響を受けるトレーダーはどれくらいいる?
●レバレッジ規制の対象は店頭FXのみ? レバレッジ規制に関するアンケートに回答を
上のグラフをご覧いただくとわかるように、反対が72.2%となり、賛成の27.8%を大きく上回った。
反対意見としては「レバレッジを含めたリスク対応は、あくまでも投資家自身に任せることが本筋」、「(レバレッジ)25倍を使うも使わないも、自己責任だから」といった、あくまでもリスク管理は投資家の自己責任であるべきとの声が多かった。
ほかにも「FX業界で起きた過去の不祥事はレバレッジ規制で解決できるものではないため」、「選択肢を制限すべきでないと思う」といった意見もあった。
一方、新レバレッジ規制への賛成意見では、「為替市場への個人投資家の参入は、仮需を提供するだけで、社会的な意義がないから」、「ビットコインにさらなる資金流入が期待できるため」といったものがあった。
今回の新レバレッジ規制については、金融庁から『「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」の設置について』というリリースが出されたことで、対象が店頭FXのみになる可能性が高まりつつある。
本当に店頭FXのレバレッジが10倍に引き下げられるのかはまだわからないが、FX業界、FXトレーダーにとって、これが2018年も超注目のテーマであることは間違いないだろう。
【参考記事】
●ザイFX!で2017年を振り返ろう!(4) 店頭FXだけ? 新レバレッジ規制の怪!
今回は、ザイFX!が独自に実施した「2018年金融市場アンケート」の結果について紹介してきた。2018年相場はまだ始まったばかりだが、今後のトレード戦略を立てる参考にしてみてはどうだろう。
(ザイFX!編集部・庄司正高)
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