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急転直下! レバレッジ規制強化は見送り!
けれどまだ安心できない隠れた注目点とは?

2018年05月31日(木)東京時間 20:20

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■取引データの報告制度を充実させる

 また、これとは別に、事務局からは決済リスクについて、さまざまな対応策が示されたが、その中で、説明に時間が割かれたのが、取引データの報告制度の充実だ。

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第5回)の資料2「討議資料」より、9ページの「店頭FX業者の決済リスク管理の強化に向けた対応策」を掲載

 これは、利益相反関係にある店頭FX業者と顧客との不公正取引の防止とともに、決済リスク管理の強化を図る観点から、店頭FX業者に対し、日々の取引データについて、自主規制機関や当局への報告を義務付けるというもの。

 これは自主規制機関による業界全体の決済リスクの把握能力向上、決済リスク管理体制の強化などにもつながるのではないかとも考えているそうだ。

 なお、店頭FX業者が自主規制機関や当局に日々報告する内容は、約定や注文データおよび顧客に提示したレートなどになるという。

■有識者メンバーは金融庁の案におおむね賛成

 このように事務局が示した方向性に対して、有識者メンバーが述べた意見は以下のとおり。ストレステストを通じた自主資本規制比率の充実に絞って抜粋してみた。

 「レバレッジについてすぐに具体的な引き下げに至らないという趣旨については残念。

 資料の11ページに『必ずしも現状以上の証拠金規制は必要ない』とあるが、店頭FX取引に関してはストレステストの結果が年1回のものしかないわけで、こういうことは言い切れないのではないか。

少なくとも現状以上の証拠金規制はいらないということは言えないのではないか」(上柳メンバー)

(3)証拠金倍率(レバレッジ倍率)について

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第5回)の資料2「討議資料」より、11ページの「(3)証拠金倍率(レバレッジ倍率)について」を掲載

 「ストレステストを通じた自己資本の拡充に賛同したい。ただし、ストレステストの内容が取引所(東京金融取引所)と同じ程度の内容となっていることが必要」(勝尾メンバー)

 「まとめていただいた案に賛成。レバレッジ規制だけに頼るのではなく、ストレステストの実施の頻度を上げ、厳正かつ適正に行っていただくことが必要」(永沢メンバー)

 「レバレッジ倍率の引き下げよりも、ストレステストを通じた自己資本の充実のほうが重要である観点があって、その中でいくつものアイデアを盛り込んでいただいたと思う。

 細かいところも含めて、提示された案に賛成。

 とくに、ストレステストを通じて自己資本が不足している業者は、当局が自己資本の積み増しや証拠金率の引き上げを通じたリスク量の削減を求めていくという点は評価できる」(黒沼メンバー)

 「証拠金率の規制については、未収金リスクへの対応という観点から、なお重要な手段。

 しかし、今回の意味合いとして、方向性として、リスク管理能力の向上、高度化ということであれば、そこから図るというのもあるのではないか」(坂メンバー)

 「今回の提案に賛成。バランスのとれた結論で、実務的な観点からは段階を踏んで取り組んでいくという点も良い」(松井メンバー)

 「この案は非常によくまとまっていると思う。決済リスクの対応について、直接的に効果があるというストレステストの強化は重要」(弥永メンバー)

 7人の有識者メンバーからは、レバレッジ倍率の引き下げ見送りについては反対意見もあったが、ストレステストを通じた自己資本の充実については全員が賛成という見解だった。

■池尾座長はどうまとめたか?

 決済リスクへの対応について、レバレッジ倍率の引き下げが見送られ、ストレステストの厳格化と自己資本の充実という方向性が示された第5回会合。これを座長の池尾和人氏(立正大学経済学部教授)はどうまとめたのか。

 「基本的に市場の失敗が存在するということが考えられるなら、公的な介入も当然起こるだろう。

 ただし、政府も失敗するかもしれないので、それも考慮しつつ、とくに金融の場合は監督当局が直接やるというよりも、自主規制機関が対応するというのが基本的な枠組みになるのだろうと思う」

 さらに池尾座長は、事務局が示したストレステストを通じた自己資本の充実について以下のように述べている。

 「自己資本の充実が何に対しての充実かといえば、リスク量に対する充実なので、リスク量の把握が問題になる。

 リスク量の把握が甘ければ、表面上、自己資本が充実しているように見えても、実際はそうではないということも考えられる。

 適切で正確で厳格なリスク量の把握をやったうえで、そのリスク量との見合いで、自己資本が十分であれば、直接的な形の制約を課すのは手控えるというような考え方に基づいて対応することになった。基本的な考え方として適切ではないかと思っている」

■レバレッジ規制強化は一部で行われる可能性がある

 今回の第5回有識者検討会、その内容を一言でまとめれば、「レバレッジ規制強化の見送り」ということになるだろう。ただ、単純な見送りとは言い切れない点があることには注意が必要だ。

 まず、前述のとおり、ストレステストを行った結果、自己資本規制比率が一定の比率を下回る店頭FX業者に対しては、当局が自己資本の積み増しか、レバレッジの引き下げを求めるという方向性が金融庁によって示されている。

 つまり、今後しばらくしてから、一部の店頭FX業者で最大レバレッジが引き下げられる可能性はあるということだ。

 ただ、これはリスク管理の観点から、相対的に信頼性が見劣る業者を当局が示してくれることになり、FXトレーダーとしても歓迎すべきことではないだろうか。とはいえ、理論的可能性としては、「一部の店頭FX業者」の数が相当多くなるということもなくはないわけだが…。

 また、金融庁はストレステストを中心とした対策をまず行うが、その効果を評価した上で、なおレバレッジ規制が必要と判断されたならば、再度検討するとの意見も表明しており、レバレッジ規制に対する意欲をまだ捨てきってはいないことが感じられる。

 なお今後、今まで以上に注目度が高まることが予想される各FX会社の自己資本規制比率はザイFX!の以下のコンテンツで確認することができるので、ご参考まで。

【参考コンテンツ】
FX会社徹底比較!:会社の信頼性で調べる[自己資本規制比率の多い順]

■レバレッジ規制より大きな影響があるかもしれないこととは?

 そして、東京金融取引所が店頭FXのCCP(中央精算機関)となることに対する意欲を持ち続けているのも隠れた注目ポイントの1つだと思える。有識者からも、CCPの検討は続けてほしいといった意見が今回も出ていた。

 これまでの有識者検討会で何度か話題に出てきたCCP。記者もそうだが、一般的なFXトレーダーには聞き慣れない単語のため、あまり気にせず、スルーしてしまいそうな話題だ。

 しかし、これはFXトレーダーにも大きな影響を与える可能性を秘めている話だと思える。

 今回配布された金融庁の資料でも指摘されているとおり、現在は店頭FXのカバー取引の清算業務を行っている機関はない。しかし、これを東京金融取引所が行うことになれば、どのようなしくみになるかにもよるが、一定のコストが発生することが予想される。そのコストは単純に店頭FX業者が被るだけでは済まず、顧客に転嫁される可能性もありそうだ。

 ひょっとすると、FXトレーダーにとってはレバレッジ規制よりも、もっと大きな影響が出てくるかもしれない。

 今回、金融庁によって示された内容からは、具体的なストレステストが相当厳しいものになる可能性がありそうだ。そして、店頭FX業者がもしもCCPを使えば、その分については「ストレステスト上リスク量をゼロとすることができるのではないか」と金融庁は資料の中で述べている。

 そうなると、厳しいストレステストに耐えきれなくなって、店頭FXにCCP導入…という話が浮上してくることがあるのかも…。

「レバレッジ規制強化見送り」の報を受け、無事にゴールにたどりついたと、単純に安堵しているわけにはいかないのだ。

 なお、この有識者検討会は今回で終了するわけではなく、今回、金融庁から示された指針を元にまた開催されるということだ。

(取材・文/ザイFX!編集部・庄司正高&井口稔)

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