■日銀の物価見通し下方修正も心強い材料に!
さらに、日銀の動向にも注目が集まりました。10月31日(水)、3カ月に一度改定する「経済・物価情勢の展望」、いわゆる「展望レポート」において、2018年の物価見通しを0.9%と、従来の1.1%から0.2%下方修正をしました。それと同時に、2019年は1.4%、2020年は1.5%と、物価見通しをそれぞれ下方修正しています。
従来より、黒田日銀総裁は、「年率2%の物価目標を達成するまで、異次元の金融緩和を継続する」と、繰り返し強調しています。今回、その目標の達成がさらに延びてしまうことになったわけです。
「年率2%の物価目標を達成するまで、異次元の金融緩和を継続する」と、繰り返し強調してきた黒田日銀総裁。「経済・物価情勢の展望」で物価見通しが下方修正され、目標の達成がさらに伸びてしまうことに… (C)Bloomberg/Getty Images
これまで、日銀は、長期金利の上限の幅を拡大するなどの政策変更をしたことから、やや引き締め方向に舵を切ったのではないか、という見方が一部で広がっていました。しかし、今回、物価見通しを下方修正したことによって、こうした見方は後退していくと考えられます。
これは、円安要因とまでは言えなくても、円高要因となる懸念は低下したということでしょう。これも、米ドル/円の買い戦略には心強い材料であると言えます。
■米中間選挙の結果が出るまで、市場関係者は様子見か
さて、最後になりますが、来週の火曜日、11月6日には、注目の米中間選挙が実施されます。市場関係者も重大な関心を持って見守っています。
上院は、全議席のうち、改選されるのは3分の1なので、共和党の過半数が変わることはないと思われますが、下院は全議席改選であるため、大きく変化する可能性は十分あります。
仮に、民主党が下院の過半数を獲得する結果となれば、議会はねじれの状態となり、政治混乱をもたらすことになります。トランプ米大統領の影響力も低下することが予想されるのです。
11月6日(火)に米中間選挙を控えるトランプ米大統領。民主党が下院の過半数を獲得すれば、議会はねじれの状態となり、政治混乱をもたらすことに… (C)Chip Somodevilla/Getty Images
下院がねじれ状態となった場合、市場がどういう反応を示すのか、予想がしづらいです。選挙結果がどうなるか予測がつかないうえ、その結果に対する市場の反応がどうなるかも、予測が困難であることから、結果が出る11月6日(火)まで、市場関係者は様子見となるでしょう。
【参考記事】
●米中間選挙で金融市場はどう動くのか? さらなる株安で米利上げが止まる可能性も!?(広瀬隆雄)
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