■年初はやりすぎ! 一転して落ち着いた動きに
市場は、年初に大荒れの展開となって以降は一転して、落ち着いた動きとなってきています。結局、年初はやりすぎだったと言うことです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
年初の取引が薄いところを狙って、ストップロスの注文を付けさせようと、仕手筋が仕掛けたことに過剰反応をしてしまったということでしょう。今後は、それぞれの材料を見ながら、冷静に市場も判断していくでしょう。
【参考記事】
●2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!(1月11日、今井雅人)
●度肝を抜かれた4円超の急落! ドル/円のシナリオを再考、考えに考え抜いた結論は?(1月11日、陳満咲杜)
●米ドル/円暴落は「上海ショック」と似ている!? 円高リスク緩和。目先は110円台へ反発か(1月8日、バカラ村)
●フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
●フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?
■米ドル/円は110円あたりが当面の上限か?
市場が落ち着いてくると、金利差が効果を発揮してくるのが一般的なので、米国の金利水準が先進国の中ではもっとも高いという点を材料に、ゆっくりとした米ドル高になりやすいでしょう。
実際に、現在はそういう動きを見せています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
ただ、米国の長期金利も、再び上昇していくような気配は、今のところないので、動きはゆっくりで、かつ、限定的なものになってくると思っています。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円は、109.00円のところに売りがあって、いったんは壁になりましたが、売りをこなしてからは109円台にしっかり乗ってきています。今回は、110.00円あたりが、当面の上限ではないかと考えています。

(出所:Bloomberg)
■英ポンドはまだ予断を許さない状況
目先の材料としては、英国のEU(欧州連合)離脱問題があります。
現在、市場では合意なき離脱(※)は、回避できるのではないかという見方が広がってきています。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
また、ここに来て、離脱の是非を問う2回目の国民投票が実施されるのではないかという観測も高まっています。
そういう観測を好感して、英ポンドがやや、強くなってきていますが、最終的にどうなるか、まだまだ予断を許さない状況です。
【参考記事】
●採決間近! 英首相は離脱延期を選択へ!? 米ドル/円は売り目線だが、当面は横ばい(1月15日、バカラ村)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
■ユーロ圏に景気後退観測。ユーロの売り圧力に
もう1つ注目しているのは、ユーロ圏の景気の弱さです。
先日、2018年12月分の、ユーロ圏の消費者物価指数・改定値が発表されましたが、前年比で1.6%の上昇と、11月の1.9%の上昇から大きく鈍化しています。

※2010年1月~2018年12月の前年比のデータを掲載
※BloombergのデータをもとにザイFX!が作成
また、ドイツの2018年のGDP(国内総生産)成長率の速報値が発表されましたが、前年比1.5%のプラスと、5年ぶりの低水準となっています。

※1992年~2018年のデータを掲載
※BloombergのデータをもとにザイFX!が作成
今年(2019年)、ユーロ圏はリセッション(景気後退)に入るのではないかという観測まで出てきているようで、これは、ユーロに下落圧力がかかってくる可能性があるのではないかと考えています。

(出所:Bloomberg)
■米中の貿易交渉は引き続き注目の的!
最後に、米中の貿易問題です。3月の期限を前に、次官級の交渉が行われていますが、なかなか難航しているようです。
そんな中、「ムニューシン米財務長官が中国への関税措置の撤廃、あるいは一部撤廃を提案している」と、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じていますが、USTR(米通商代表部)は依然として強硬姿勢です。

写真はムニューシン米財務長官。同氏が中国への関税措置の全廃もしくは一部撤廃を提案していると報じられたが、USTRは強硬姿勢を貫いている模様。トランプ政権の動向も含めて、今井さんが注目する材料の1つだ (C)Bloomberg/Getty Images
ひょっとすると、またトランプ政権の中で、軋轢が出てくるかもしれません。この動向にも、注目しておく必要があるでしょう。
■まずはスワップを稼ぐ方向で!
以上、注目材料をいくつか挙げましたが、足元の相場は、しばらく落ち着いた動きになる可能性が、かなり高いのではないかと考えています。
金利差(スワップポイント)を稼げるようなポジションを中心に、投資戦略を考える時期かと思います。
ただし、今年(2019年)は不確定要因が多いのも、これまた事実であるので、新しい材料が出てくれば、柔軟に戦略を見直す必要はあるでしょう。
【参考記事】
●2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!(1月11日、今井雅人)
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