■相場の変動要因が与える影響は一時的
そう考える理由は、最近の相場は、何か新たな市場変動要因が出てきても、その影響が一時的なものに終わり、結局、元に戻ってしまうことが多いからです。
1つの例を挙げてみましょう。3月7日(木)に行われたECB(欧州中央銀行)理事会において、従来の「少なくとも今年(2019年)夏以降に、利上げを開始していく」という方針が変更され、「利上げの時期を、来年(2020年)に先延ばしする」と発表されました。
それに加えて、銀行向けの、長期の低利融資を再び実施することが発表されました。具体的には、期間2年のTLTRO(貸出条件付長期資金供給オペ)の第3弾を9月から実施するということです。
この結果を受けて、ユーロは一時、大きく売られました。しかし、その動きもたった1日で終わり、翌日(3月8日)からは反転して上昇し始め、現段階では、下落前の水準にまで戻ってしまっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
■FOMCでも流れは出なかった
似たような例は、FOMC(米連邦公開市場委員会)でもありました。
1月29日(火)~30日(水)のFOMCにおいて、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、これまでの利上げ基調を見直して、「今後は柔軟な姿勢で臨む」という方向転換をしました。
それを受けて、米長期金利は低下し、米ドル相場も全体的に下落しました。しかし、その動きも1日で終わってしまい、その後、米ドルは回復しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■基本戦略は米ドル/円、ユーロ/米ドルでの米ドル買い
このように、変動の材料の影響が一時的に終わるということが、余計に方向感を失う要因となっているのは明らかです。
トレードをするにあたっても、そのことを念頭においておく必要があるでしょう。個人的には引き続き、米ドル/円、ユーロ/米ドルでの米ドル買いを基本戦略としています。
【参考記事】
●米ドル/円は2018年と非常に似ている動き! 近いうちに112~114円のレンジ入りか?(3月7日、今井雅人)
●いくつもの不確定要因に変化! 緩やかな株高・円安へ。米ドル/円は買い方針継続!(2月28日、今井雅人)
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