■混迷を深めるブレグジット問題…
この1週間で、英国のEU離脱(ブレグジット)問題は、益々、混迷を深めています。
英国政府は3月13日(水)、英国議会の審議に提出する「EU離脱の延期に関する動議案」を明らかにしました。
英国議会が、EU(欧州連合)首脳会議の前日、3月20日(水)までに、英国・EUでまとめた離脱案を承認した場合には、6月30日(日)までの一時的な延長をEUに申し出ることになります。
【参考記事】
●英ポンドの運命を握る3日間! 採決次第で方向性が決まる!? 米ドル/円は当面底堅そう(3月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
●英離脱修正案の採決にサプライズはある? 結果次第で英ポンドのポジティブ要因に!?(3月12日、バカラ村)
しかし、これも可決されない可能性が、十分あります。その場合は、今後どうなっていくのか、まったくメドが立たない状況となってしまいます。

英下院では3月12日(火)に離脱協定案、翌13日(水)に合意なき離脱の是非を問う採決がいずれも否決された。14日(木)には離脱日の延期を問う採決が予定されているが、今井さんは可決されない可能性は十分にあり、まったくメドが立たない状況だと指摘する。写真はメイ英首相 (C)Matt Cardy/Getty Images News
■市場にも疲労感。以前よりも影響は弱まった
一方、英国議会は3月13日(水)、英国が「EUと合意なく離脱することに反対する動議」を可決しました。
また、EU残留派は、国民投票の再実施に持ち込みたいと、虎視眈々とチャンスを狙っています。
この問題の先行きは、依然として、まったくわからないとしか言いようがない状況に陥っています。
【参考記事】
●EU離脱を巡る再国民投票の可能性浮上! 英ポンド/円は節目の150円突破も視野に!?(2月28日、西原宏一)
しかし、この問題に関しては、あまりにも長い泥仕合が続いているために、市場にも疲労感が見えてきており、反応が鈍くなってきました。
もちろん、今後も市場の材料となるでしょうが、その影響は以前より、弱まったとみておきたいと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
■しばらく、レンジ相場からの脱却は困難かも…
さて、それ以外の材料や市場の動向に目を向けてみます。
米中貿易交渉の行方も、現在は、両国での実務者会議の最中であるので、今のところ、大きな影響が出る様子はありません。
そういうこともあり、直近の1週間は、株式市場、為替市場ともに、方向感の出ないジグザグの相場展開となっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

(出所:Bloomberg)
もうしばらくは、このレンジ相場の中から抜け出すことは難しいと思います。
■相場の変動要因が与える影響は一時的
そう考える理由は、最近の相場は、何か新たな市場変動要因が出てきても、その影響が一時的なものに終わり、結局、元に戻ってしまうことが多いからです。
1つの例を挙げてみましょう。3月7日(木)に行われたECB(欧州中央銀行)理事会において、従来の「少なくとも今年(2019年)夏以降に、利上げを開始していく」という方針が変更され、「利上げの時期を、来年(2020年)に先延ばしする」と発表されました。
それに加えて、銀行向けの、長期の低利融資を再び実施することが発表されました。具体的には、期間2年のTLTRO(貸出条件付長期資金供給オペ)の第3弾を9月から実施するということです。
この結果を受けて、ユーロは一時、大きく売られました。しかし、その動きもたった1日で終わり、翌日(3月8日)からは反転して上昇し始め、現段階では、下落前の水準にまで戻ってしまっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
■FOMCでも流れは出なかった
似たような例は、FOMC(米連邦公開市場委員会)でもありました。
1月29日(火)~30日(水)のFOMCにおいて、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、これまでの利上げ基調を見直して、「今後は柔軟な姿勢で臨む」という方向転換をしました。
それを受けて、米長期金利は低下し、米ドル相場も全体的に下落しました。しかし、その動きも1日で終わってしまい、その後、米ドルは回復しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■基本戦略は米ドル/円、ユーロ/米ドルでの米ドル買い
このように、変動の材料の影響が一時的に終わるということが、余計に方向感を失う要因となっているのは明らかです。
トレードをするにあたっても、そのことを念頭においておく必要があるでしょう。個人的には引き続き、米ドル/円、ユーロ/米ドルでの米ドル買いを基本戦略としています。
【参考記事】
●米ドル/円は2018年と非常に似ている動き! 近いうちに112~114円のレンジ入りか?(3月7日、今井雅人)
●いくつもの不確定要因に変化! 緩やかな株高・円安へ。米ドル/円は買い方針継続!(2月28日、今井雅人)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!でもおなじみの今井雅人さんからのレポートを受けて、ザイFX!が 配信する「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人(月額:5,500円(税込))」。
その日のニュースをコンパクトに解説し、今後の為替の値動きについての予測とともに、今井氏のポジションについても可能な限り配信する、実践型の有料メルマガです。
「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人」には10日間の無料体験期間がありますので、ぜひ一度体験していただき、みなさんのトレードの参考にしてみてください。















![ゴールデンウェイ・ジャパン(旧FXトレード・フィナンシャル)[FXTF MT4]](/mwimgs/c/d/-/img_cd98e6e3c5536d82df488524d85d929d47416.gif)
![ヒロセ通商[LION FX]](/mwimgs/9/7/-/img_975127cf2c6be2ac1a68a003ef3669c022946.gif)








株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)