■若干、円安傾向にも見えるが…
世界の主要な金融市場は、相変わらず、方向感のない、動きの鈍い展開が続いています。方向を決定するような材料が、見当たらないことが原因です。
米ドル相場も、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場も、レンジの中に入り込んでいます。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

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あえて言えば、若干は、全体的に円安傾向にあるようにも見えますが、それもレンジの範囲内での動きであると言うことが、できると思います。
■不確定要因に変化が!
こうした状況の中で、いくつかの不確定要因に市場は注目しているとお伝えしてきましたが、この1週間で、それらについて、いくつか変化が見られてきました。
まず最初に、現在、行われている米中貿易交渉です。
トランプ米大統領だけではなく、交渉の当時者であるUSTR(米通商代表部)からも、かなりの進展が見られるというコメントが出てきました。中国側からも、同様の発言が出てきています。
この交渉の期限は、もともと3月1日(金)でしたが、交渉が進ちょくしていることを受けて、期限が延長されました。
おそらく、何らかの合意がなされる可能性が、高くなってきました。

米中貿易交渉の期限が延長され、何らかの合意がなされる可能性が高くなってきた。中国経済が壊滅的なダメージを受けるという懸念は後退しているようだ。写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images
現在、中国経済が大きく減速してきて、米中貿易交渉が決裂すると、中国経済は壊滅的な打撃を受けるのではないかという懸念が広がっていましたが、その懸念が大きく後退してきています。
【参考記事】
●一時111円台に乗せたドル/円は、なぜ失速? 新材料が出るまで米ドルの押し目買い継続(2月15日、今井雅人)
●米中協議進展でリスク環境は徐々に好転。中国人民元安定化が豪ドル反発を後押し!?(2月21日、西原宏一)
■英離脱期限は6月末まで延長も
また、もう1つの懸念材料である、英国のEU(欧州連合)からの離脱問題ですが、こちらは、英国とEUの合意がなかなか進まず、先行きが不安視されていました。
しかし、双方から、期限である3月末を、延期しても良いというニュアンスの発言が出てきました。
メイ英首相は、延期は1回限りであるが、最大で6月末まで引き延ばされる可能性があると、発言しています。

これまで、離脱期限の延長に否定的だったメイ英首相も、ここにきて、最大6月末まで引き延ばす可能性を示唆。問題自体は何も解決していないが、当面、この問題で相場が大きく動くと言う可能性は、ほぼなくなってきたというのが今井さんの考え (C)Matt Cardy/Getty Images News
問題そのものは、何も解決していないのですが、少なくとも当面は、この問題で相場が大きく動くと言う可能性は、ほぼなくなってきました。
3月12日(火)までに、離脱案が英国議会で承認されなければ、「合意なき離脱(※)」か「短期の離脱期限延長」かを問う採決が行われることになっています。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
【参考記事】
●一時111円台に乗せたドル/円は、なぜ失速? 新材料が出るまで米ドルの押し目買い継続(2月15日、今井雅人)
●膠着する米ドル/円。FRB議長の議会証言で円高の可能性!? ユーロ/英ポンドに妙味が!?(2月26日、バカラ村)
■米朝首脳会談は日本株買い・円売り材料!?
さらに、昨日(2月27日)から、二度目の米朝首脳会談が、ベトナムのハノイで開催されています。
このコラムを書いている時点では、まだ、最終的な結果は発表されていませんが、最終日の本日(2月28日)11時から会談が行われ、16時過ぎに、合意文書への署名式が予定されています。
おそらく、一定の合意がなされると思います。
これまで、北朝鮮はこうした合意を何度もして、そして、その度に合意を反故にしているので、合意を手放しで歓迎することはできませんが、それでも多少は、世界は好意的に受け取るかもしれません。
そうなると、若干ではありますが、金融市場にもプラスの影響が出るかもしれません。特に、日本は距離的に近いことから、日本株買い、リスクオンによる円売りが、多少、進むかもしれません。

(出所:Bloomberg)

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■株高・円安傾向の可能性。米ドル/円は押し目買い方針で!
最後に、中国経済ですが、習近平・中国国家主席は、大規模な経済政策を発表しました。
低迷していた株式市場のテコ入れにも、力を入れています。今年(2019年)に入って、中国の株式市場は、上昇トレンドを続けてきています。

(出所:Bloomberg)
以上のような状況を考えると、動きは緩慢ではあるものの、若干、株高、円安という傾向になってくる可能性が出てきたと、考えておきます。
引き続き、米ドル/円の買い方針で、臨みたいと思っています。
【参考記事】
●米ドルの押し目買いの水準は、どの辺り? トランプ大統領が5月に来日する目的とは?(2月21日、今井雅人)

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