■ECB理事会でユーロ下落! でも…
3月7日(木)に、ECB(欧州中央銀行)理事会が開催されました。
政策金利は据え置きでしたが、年内利上げの可能性がなくなり、9月からのTLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)導入が決まりました。
そして、スタッフ予想で2019年の成長見通しが、従来の1.7%から1.1%へ大幅に下方修正され、インフレ見通しも1.6%から1.2%へ下方修正されました。
【参考記事】
●米ドル/円は強い! 調整しても大崩れ回避!? ECB理事会でTLTROの導入はあるのか?(3月5日、バカラ村)
これを受けて、ユーロ/米ドルは、長くサポートされ続けていた1.12ドルを下抜け、1.1175ドルまで下がりました。
ただ、最近の傾向である、「ブレイクしてもその動きは続かない」という状態が今回も当てはまっており、戻り局面となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
■豪ドル/米ドルも似たような動き
豪ドル/米ドルの方も、0.7050ドルのサポートを下抜け、その水準が2営業日の間、レジスタンスとなり、まだ下がる可能性がある形をしていました。しかし、昨日(3月11日)は、このレジスタンスを超えてきており、こちらもブレイクしてもその動きが続かない状況となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
ただ、ユーロ/米ドルは、ユーロ圏の景況感が悪く、金利が上昇する見込みはありません。反面、米ドル(米国)は相対的に良い状況で、金利も高いため、ユーロ/米ドルが上昇トレンドになるのは難しく、基本は戻り売りだと考えています。
■離脱修正案可決ならサプライズ!
今週(3月11日~)の注目は、英ポンドになります。
英国議会で、3月12日(火)に、メイ首相が示すEU(欧州連合)離脱修正案の採決が行われます。
市場では、これは否決されると考えられており、そうなると、英ポンド安になります。
ただ、すでにある程度は織り込まれているため、メイ首相が大敗しない限り、英ポンドは大きくは下がらないと考えています。
反対に、離脱修正案が承認される可能性も、若干はあるのではないかと考えており、もしそうなると、サプライズということもあって、英ポンドは急騰することになります。
その場合、英ポンド/米ドルは、今年(2019年)の高値も越えるのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
■合意なき離脱は回避へ
12日(火)の離脱修正案が否決されると、13日(水)に合意なき離脱(※)の是非を問う採決が行われます。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
合意なき離脱は避けたいと考えている議員の方が多いと思いますので、合意なき離脱は回避(=否決)される可能性が高いと考えています。
この点もすでに、織り込まれていると考えているため、大きくは動かないと思いますが、英ポンドは上昇しやすいのではないかと考えています。
■離脱期限延長がコンセンサス。英ポンドにはポジティブ
そして、13日(水)の採決も否決されると、14日(木)に、3月29日(金)の離脱期限を延期をするかの採決が行われます。
離脱期限までは、あと半月ほどしかないため、ここでは延期(=可決)されると考えています。
そうなると、英ポンドにとってポジティブなため、これも上昇要因になります。
これらは市場のコンセンサスでもあるため、この結果となっても大きくは動かないと思いますが、12日(火)の離脱修正案の否決以外は、英ポンドにとってはポジティブになりやすい内容です。
離脱期限まであと半月あまり。メイ首相が示す離脱修正案と合意なき離脱の是非を問う採決は否決され、離脱期限の延期で決着をみるというのが市場のコンセンサスのようだ。このとおりなら、英ポンドにとってはポジティブになりやすい内容だとバカラ村さんは考えている (C)Matt Cardy/Getty Images News
■英ポンドは短期的な底をつけた状態に
今週(3月11日~)の英ポンドは、メイ首相の辞任の噂や12日(火)の採決で大敗するのではないかとの観測もあって、ギャップダウンでスタートしました。
ただ、その窓をあっさりと埋めたことで、テクニカル的には「ウップス」と呼ばれる、ギャップのダマシのパターンとなっています。
英ポンド/米ドルや英ポンド/円などは、今月(3月)に入ってから下がっていましたが、このウップスのパターンで、短期的な底をつけた状態です。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 1時間足)
ただし、すべては3月12日(火)から14日(木)の採決の結果に、英ポンドは左右されることになります。
【参考記事】
●英ポンドの運命を握る3日間! 採決次第で方向性が決まる!? 米ドル/円は当面底堅そう(3月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
■ユーロ/英ポンドは0.83ポンド台への下げも!
ユーロ/英ポンドは、0.8675ポンドまで上昇しましたが、週足では0.86ポンド台半ばから上がレジスタンスゾーンとなっており、上値の重い水準となります。
こちらも、英議会の採決の影響を受けることになりますが、週足チャートでは0.8600ポンドのサポートを下抜けていることもあり、0.83ポンド台への下げの可能性があるのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
【参考記事】
●膠着する米ドル/円。FRB議長の議会証言で円高の可能性!? ユーロ/英ポンドに妙味が!?(2月26日、バカラ村)
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