■さらなる利下げの織り込みは、当面なさそう
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は先日、「必要であれば、政策の調整を検討する」という主旨の発言をしていますが、まだ、利下げをするといった訳ではありません。
あくまでも、可能性に言及しただけです。それなのに、3回の利下げを織り込んでしまうのは、行き過ぎと言わざるを得ません。
必要なら政策の調整を検討するという主旨の発言をしたパウエルFRB議長。あくまで可能性に言及している段階であり、市場が年内3回の利下げを織り込んでいる動きは行き過ぎだと今井氏は指摘 (C)Bloomberg/Getty Images News
ですから、ここからさらに、利下げが織り込まれていくことは、当面はないと考えてよいのではないかと、私は思います。
■最近の円高相場・米ドル安相場の揺り戻し局面へ!?
金利の市場がこれだけ反応しているのですから、その影響は当然、株式市場や為替市場にも及んでいると考えてよいです。
為替市場では、米中貿易交渉の決裂によるリスクオフの動きによって、円高が進みました。さらに、米国の利下げ観測で、米ドル安も進んでいます。
しかし、金利市場の反応が行き過ぎであると考えれば、為替のこの反応も行き過ぎということになります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
ただ、米国の、中国からの輸入品に対する残り3250億ドル相当への関税措置が回避できなかった場合は、さらなるリスクオフ相場となり、円高はさらに進行することになると思うので、あくまでも一時的な話ですが、当面は、最近の円高相場、米ドル安相場の揺り戻しが起こるのではないかと考えています。
その後は、6月18日(火)~19日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)、28日(金)~29日(土)のG20サミット(20か国・地域首脳会合)に際して開催予定の米中首脳会議に、注目が移っていくことになると思っています。
【参考記事】
●米ドル高でも米ドル/円は、なぜ上昇しない? 米中貿易交渉に中国が秘密兵器を投入!?(5月30日、今井雅人)
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