■主要外貨の強弱がそのまま主要クロス円の強弱に
FRBのハト派観測の高まりが米国株の支えとなり、また目先、ドルインデックスを押し下げる材料になっているから、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における円高効果の抑制につながる。
前回のコラムでも指摘したように、主要外貨のうち、目先は豪ドル>ユーロ>英ポンドという関係が見られるから、主要クロス円の強弱もそのままだ。すなわち、豪ドル/円の基調がもっとも強く、ユーロ/円は弱含みで英ポンド/円は安値更新となっていた。
【参考記事】
●「米利下げ後に円高が進む説」への懐疑。円高ピークを示唆する2つのフォーメーション(2019年7月12日、陳満咲杜)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
この視点で言ってみれば、クロス円における円高圧力は、リスクオフの円高よりも外貨安の圧力のほうが強かった。英ポンド/円の安値更新は英無秩序EU離脱懸念による英ポンド売りが主因で、円高はその受け皿としての結果にすぎないと言える。
(出所:Bloomgerg)
豪ドル/円のチャートと見比べればわかるように、外貨の高安が相場を主導している以上、リスクオフの円高云々は言われるほど鮮明化される傾向はない。
(出所:Bloomberg)
さらに、合意なしブレグジットと懸念される英ポンドでさえ、無秩序な下落とは言い切れない。英ポンド/米ドルの日足でみればわかるように、目先切り返しを果たしているのが5月末安値から引かれたサポートラインの役割を意識した値動きだと解釈できる。
(出所:Bloomberg)
本格的なリスクオフなら、こういったサポートラインが存在しても全然効かないはずなので、やはり、市場センチメントに関する悲観的すぎる解釈自体が行きすぎだと思う。
ゆえに、クロス円の市況がばらばらだが、総じて円高圧力が続いてもピークを過ぎたか、ピークに近い段階にあるとみる。
■豪ドル/円は三尊底を完成させ、上放れか
主要クロス円のうち、戻りの余地を拡大するなら、やはり、豪ドル/円が先で、その後、ユーロ/円、最後は英ポンド/円という順番になると推測できる。豪ドル/円については、前回のコラムで指摘した「三尊底※」のフォーメーションが健在で、また近々その上放れを果たせるのではないかとみている。
(※編集部注:「三尊底」とはチャートのパターンの1つで、大底を示す典型的な形とされている。「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」とも呼ばれる。また、「三尊底」の逆で、天井を示す典型的な形が「三尊型」(ヘッド&ショルダーズ))
【参考記事】
●「米利下げ後に円高が進む説」への懐疑。円高ピークを示唆する2つのフォーメーション(2019年7月12日、陳満咲杜)
(出所:Bloomberg)
米ドル/円は再度反落しているものの、前回提示した「三尊底」のフォーメーションの可能性を完全に消滅させたわけではない。
(出所:Bloomberg)
チャートで示したように、「三尊底」を再構築している可能性もあるから、やはり、悲観的すぎる見方からは距離を置きたい。
市況はいかに。
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