■アルゼンチン情勢、香港デモなどリスクオフ要因多数…
みなさん、こんにちは。
今週(8月12日~)は、多くのリスクオフ要因が飛び出し、リスクアセットの本丸である米国株が大幅下落。

(出所:Bloomberg)
まず、8月12日(月)の海外市場では、アルゼンチンと香港の情勢が混乱へ。
アルゼンチンで行われた大統領予備選で、現職のマクリ大統領が、ポピュリストの野党候補、フェルナンデス元首相に予想外の大差をつけられて2位となったことで、マクリ大統領の進めてきた市場寄りの経済政策から離れ、通貨や資本の統制への回帰を示唆するではないか?との懸念が台頭。
【参考記事】
●アルゼンチンでトリプル大暴落! 大統領予備選で野党候補圧勝し、またデフォルト!?
結果、アルゼンチン資産は総崩れ。
アルゼンチンペソは対米ドルで、一時30%超の急落。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場では、5年以内のデフォルト確率が75%を示唆しました。

※通常は「米ドル/アルゼンチンペソ」ですが、アルゼンチンペソの下落をわかりやすくするため、「アルゼンチン/米ドル」のチャートを掲載しています。
(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
これは、大きなリスクオフ要因です。
一方、香港国際空港は8月12日(月)夕方、この日の残りの全便を運休にすると発表。
デモ隊によるメインターミナルでの抗議活動は4日目に入り、6月上旬のデモ開始以来、香港経済にとって最大の混乱に拡大しました。
■米中貿易戦争も沈静化せず、米国株は急落
さらに、米中貿易戦争も沈静化せず。
米当局が8月1日(木)に発表した追加関税第4弾の中で、一部製品については、9月1日(日)から12月15日(日)まで発動を延期すると報道されたことから米国株は一時反発。
ただ、この一部製品というのは、携帯電話、ノート型パソコン、ビデオゲーム機、玩具といったものであり、新学期を控えた学用品の購入やクリスマスショッピングに配慮したことがうかがえます。
これは、アップルにとって朗報。
9月20日(金)発売ともウワサされている新型iPhoneの需要がもっとも高まる期間を、関税の影響を受けずに販売できることになるためです。アップル株は一時5.8%急騰しました。
つまり、この延期は米国の都合で延期したものであり、米中の通商協議に何らかの発展があったわけではありません。
加えて、ナバロ大統領補佐官が、トランプ大統領は貿易協議で中国に譲歩する用意はないと、指摘。
結果、追加関税第4弾の中で、一部製品については12月15日(日)まで発動を延期するという報道での反発は1日も持たず、米国株は続落しました。
NYダウは、過去数回、ブルトラップを形成して急反落していますが、今回も前回の高値を大きく上抜いて、7月16日(火)には、一時2万7398ドルまで急伸。
しかし、2万7000ドル台での滞空時間は短く、前述のアルゼンチンの混乱などもあり、2万7000ドルを割り込むと、一気に2万5400ドル台まで急反落しています。
結果、今回もブルトラップとなって、米国株はトップアウトした可能性が高まっています。

(出所:Bloomberg)
■2007年以来の逆イールド発生で米国景気後退か?
そして、今週(8月12日~)の米国株の中でも、8月14日(水)のNYダウの下落は激しいものでした。3.00%急落し、前日比800ドル安の2万5479ドルでクローズしています。
その急落は、逆イールドの発生が要因と言われています。
以下は、米10年債利回りと米2年債利回りのチャートです。
このスプレッドが2007年以来初めて逆転し、リセッションの可能性を示唆。

(出所:Bloomberg)
米10年債利回りと2年債利回りのスプレッドが最初に逆転してから、米国経済がリセッション入りするまでには時間を要することが多く、前回は1年10カ月、前々回は2年9カ月かかっています。したがって、逆イールド発生で即リセッション入りし、株が暴落するわけではありません。
ただ、逆イールドの発生は、米国株にとってマイナスであることは変わらず、米国株はトップアウトした可能性が、さらに高まったと想定しています。
今回は米国のみならず、英国の2年債利回りが10年債利回りを上回る逆イールドが発生し、もうひとつ景気後退のシグナルも点灯。

(出所:Bloomberg)
中国の低調な経済指標に続き、ドイツがマイナス成長に陥ったこともあり、リスクオフへ。
当コラムでは、英ポンド/円に注目していますが、ユーロ/円も、一時117円台まで急落しています。
【参考記事】
●ボリス・ジョンソン英首相の「合意なき離脱」発言続く…。ポンド/円は中期的に120円へ(8月1日、西原宏一)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
米ドル/円の安値は、105.05円。
現在、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、米ドル/円の105.00円と日経平均の2万円をサポートしているというのがマーケットのコンセンサスとなっています。
【参考記事】
●お盆の円高リスク警戒! 日経平均2万円、米ドル/円105円が防衛ラインになるか…!?(8月12日、西原宏一&大橋ひろこ)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ただ、こうした介入は相場の流れを変えるものではなく、時間差で、これらのサポートはブレイクされ、下落トレンドは続くと想定しています。
アルゼンチンの混乱、香港のデモ、米中貿易戦争などの混乱の中、米国債に逆イールドが発生し、NYダウは急反落。
「株安・円高」は続き、米ドル/円は100円、英ポンド/円は120円へと下落過程にある両通貨ペアに、引き続き、注目です。
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