■トルコリラが大きく下落しているワケとは…
今週(8月19日~)のトルコリラですが、対米ドル・対円で大きく下げだしました。

※通常は「米ドル/トルコリラ」ですが、トルコリラの下落をわかりやすくするため、「トルコリラ/米ドル」のチャートを掲載しています。
(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
クルドとシリア情勢の悪化に加え、トルコ中銀が支払準備率と、準備預金に支払う金利の変更を行ったことがネガティブ材料になりました。
■トルコ中銀が打ち出した新制度の中身とは?
トルコ中銀は、貸し出しの伸び率が年間で10%から20%の銀行に対して新たな優遇措置を発表し、貸し渋っている銀行は逆に罰することにしました。
新しい制度では、市場にお金をたくさん貸している銀行の支払準備率は7%から2%に引き下げられ、トルコ中銀が支払う金利も13%から15%に引き上げられました。
貸し渋っている銀行の支払準備率は変わらないものの、トルコ中銀が払う金利は13%から5%に下げられました。
ここまでドラスティックなやり方に踏み切った理由は、民間銀行の貸し出しが伸びないからです。
トルコの景気後退を受け、銀行のリスク管理は厳しくなっていて、政策金利を引き下げても民間銀行のローン金利は政府が期待しているほど下がっていません。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!が作成)
したがって、新制度は民間銀行に対する政府の怒りと警告である可能性も否めません。
なぜならば、新しい制度の恩恵を受ける民間銀行は少なく、恩恵を受けるのはほとんど国営銀行です。トルコ政府は資金の流動性を増やすことによって景気が改善すると期待していますが、これらの措置はインフレ率を上昇させる可能性が高く、トルコリラの下落要因となります。
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