■株高・円安の相関が鈍くなったワケ
かつて、日本だけが低金利だったときに、株が上昇すると、キャリートレード(※)である「円売り・外貨買い」という取引が活発になるという流れで、株高・円安という相関ができあがり、そのイメージが今も続いているので、株高になると円安になるという傾向は、現在も残っています。
(※編集部注:「キャリートレード」とは一般に金利が非常に低い通貨で資金を調達し、それを相対的に金利の高い通貨に替えて運用する手法のことをいう)
しかし、実際は当時と違って、日本以外の国も低金利となっています。ユーロにいたってはマイナス金利で、日本の金利よりも低い状況です。
ですから、通貨間の金利差を利用したキャリートレードというのは、現在はファッション(流行)ではありません。
株高になると円安になりそうですが、背景にキャリートレードが存在していないために、その動きはどうしても鈍くなってしまいます。
■今年はこのまま膠着状態が続きそう…
今年(2019年)は、米中貿易摩擦やブレグジット(英国のEU離脱)で、相場が荒れる局面もありましたが、この問題も長期化して、市場も反応が鈍くなっています。
そういうことを考えると、12月12日(木)に英国で総選挙があるので、少し、それに振り回されることがあるかもしれませんが、それ以外に相場を動かすようなものが見つかりません。
写真は英国のジョンソン首相(保守党党首)。英国では12月12日の総選挙に向け、5週間の選挙戦がスタートした。今井氏は総選挙に振り回されることがあるかもしれないものの、それ以外に相場を動かすようなものが見つからないと指摘している (C)Justin Sullivan/Getty Images
そうであれば、今年(2019年)はこのまま、膠着状態が続くのだと思います。
【参考記事】
●12月の英総選挙は事実上の再国民投票!? 合意ある離脱なら英ポンドは1.40ドル台へ(10月31日、西原宏一)
■レンジを想定した米ドル/円・クロス円の押し目買いで
そのうえで、トレード戦略を考えると、やや円安気味のレンジ相場という想定で、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でのレンジトレード、入りは買いからということで、押し目買いを基本戦略としたいと思います。
米ドル/円は108円台前半、ユーロ/円は120円近辺を、買いのメドと考えています。
【参考記事】
●株価堅調推移で円売りに妙味! 米ドル/円よりユーロ/円がおもしろそうなワケは?(10月31日、今井雅人)
●米ドル/円の下げは限定的か。リスクオン継続の中、豪ドル/米ドルの200日線に注目!(11月5日、バカラ村)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!でもおなじみの今井雅人さんからのレポートを受けて、ザイFX!が 配信する「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人(月額:5,500円(税込))」。
その日のニュースをコンパクトに解説し、今後の為替の値動きについての予測とともに、今井氏のポジションについても可能な限り配信する、実践型の有料メルマガです。
「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人」には10日間の無料体験期間がありますので、ぜひ一度体験していただき、みなさんのトレードの参考にしてみてください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)