■迷走を繰り返したブレグジット問題
2つ目は英国EU(欧州連合)離脱問題、いわゆるブレグジット問題です。これも、迷走を繰り返しました。
ジョンソン英首相が、EUと合意がなくても、EU離脱を強行する姿勢を見せたことで、英ポンドは急落。しかし、それを議会が阻止すると、英ポンドは急反転を見せる展開に。
この事態を打開するために、ジョンソン英首相は、解散総選挙に打って出ましたが、これが大成功。ジョンソン英首相率いる保守党は、歴史的大勝を勝ち取ります。これで、英ポンドはさらに急騰しました。
しかしその後は、先行き不透明感で反落しています。
【参考記事】
●今、市場が注目する4つの材料を総点検! 英首相の飛び道具で英ポンドは再び暴落!?(9月19日、今井雅人)
●ジョンソン英首相が窮地!? 英ポンド急騰! しかし、英ポンドはいずれまた売られる(9月6日、今井雅人)
●市場を膠着させている4つの「摩擦」とは? 英ポンドはブレグジット後の最安値更新も!?(8月22日、今井雅人)
●どうなる? 12月12日英総選挙。6つの予想シナリオから英ポンドの動きを大予測!(12月6日、松崎美子)
●英総選挙の出口調査で保守党が圧勝! 対中関税も見送りへ…ポンド急騰&円下落
●【ブレグジット】12月12日に英総選挙。2020年1月の離脱がメインシナリオに
●【英EU離脱】可決でも否決でもなく採決見送り!? ジョンソン首相に秘策はある?
(出所:TradingView)
■2020年の英ポンド相場は…?
ひとまず、英国が、来年(2020年)1月末にEUを離脱することは、ほぼ確実になりました。
問題は、来年(2020年)の末までに、EUとFTA(自由貿易協定)などをまとめないと、合意なき離脱と同じような状態になってしまうことです。
英総選挙で歴史的大勝をおさめ、2020年1月末までのEUからの離脱を確実にしたジョンソン首相。しかし、1年以内にEUとFTAなどの交渉をまとめなければいけないという試練が待ち構えている (C)Justin Sullivan/Getty Images
これをまとめるには、1年という期間は、あまりにも短いです。来年(2020年)も、年末までに交渉がまとまるかで、英ポンド市場は振り回される局面が出てくるでしょう。
【参考記事】
●米ドル/円は年末年始にかけて110円へ!? EU離脱で2020年の英ポンドは下落か(12月19日、今井雅人)
■FRBの金融緩和で米ドル高がストップ
3つ目が、米国の金融政策です。
ここ数年、唯一と言ってもいいほど、FRB(米連邦準備制度理事会)は好景気を背景に、金利の正常化、つまり、利上げを繰り返してきました。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●FOMCとは? 米国の政策金利FFレートやイベントのスケジュールを徹底解説!
しかし、今年(2019年)は、中国との貿易摩擦の影響もあり、景気がやや腰折れ。FRBは、一転して金融緩和に舵を切り、夏場から3回連続で利下げを断行しました。
【参考記事】
●米連続利下げ終わりで米株高も息切れ? ドル/円はレンジ…108円台前半で買い方針(11月14日、今井雅人)
●FOMC後の米ドル高は極めて自然な反応。でも、その流れが続かないと考える理由は?(8月1日、今井雅人)
※誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
このことにより、米ドルの上昇の流れが、止まることになりました。
(出所:Bloomberg)
以上のような状況が、今年(2019年)のポイントだったと思います。
こうした要因も踏まえながら、年明けに2020年の展開を考えてみたいと思います。
今年1年、本当にありがとうございました。よいお年をお迎えください。
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