■リーマンショック以上の危機に!
これまでの危機にはない金融市場の相関が、さらに強まっています。新型コロナウイルスの影響は、非常に深刻です。
この危機は、リーマンショック以上です。
リーマンショックは金融危機だったので、資金を潤沢に提供すれば、ある程度、効果がありました。しかし、今度の危機は、実体経済からきています。
これだけ感染力が強いウイルスの感染対策をするには、通常の経済活動を犠牲にするしかありません。しかも、それは長期間にわたります。少し感染が収まってきたからといって、手を緩めると、また感染が広がるリスクがあるところが厄介です。
つまり、完全に正常な状態で、各国が経済活動を再開できるようになるには、かなりの時間がかかってしまうということです。
【参考記事】
●新型コロナの影響は最短でも数カ月続く。米ドル/円は、戻りがあれば必ず叩き売り!(3月12日、今井雅人)
●新型コロナのダメージに金融緩和や財政出動は効かない!? 米ドル/円は105円前後へ(3月5日、今井雅人)
●新型肺炎は中国の問題から世界的な問題へ。米ドル/円は105円程度まで下落の可能性も(2月28日、今井雅人)
そして、そのことが明らかになってきた途端、金融市場も崩れ始めたという流れです。
■すべてのリスク資産を現金化する動きに
まず、それは株式市場の崩壊から始まりました。
新型コロナウイルス対策による企業業績へのダメージは計り知れませんので、暴落するのはある意味、当然です。
(出所:Bloomberg)
また、経済活動が滞れば、原油などの商品市場が、需要低下のために急落するというのも自然な流れです。
(出所:Bloomberg)
ただ、ここからが、これまでのケースとは違いました。
最近の危機のときは、株価が下落すると、デフレ懸念から長期金利が低下していました。つまり、債券が買われていたということです。
そして、株価の下落がリスクオフをもたらし、結果として、為替市場では円高になるという相関もありました。安全資産の金も、こういうときは上昇していました。
ところが、今回は違います。損失があまりにも大きいため、とにかくお金がなくなってしまうので、すべてのリスク資産を現金化する、という動きになりました。
■世界的な米ドル不足で米ドルは上昇
その結果、債券も売られ、結果として長期金利も上昇する。金も現金化のために売られる。そして、それでも、企業も投資家も、お金が足りなくなってしまう…。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
特に、世界的には、米ドルが不足するという事態が生じました。そのため、資金市場で米ドルを調達することはもとより、為替市場でも米ドルを買って、米ドルを確保するという動きになりました。
【参考記事】
●FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か(3月19日、西原宏一)
●利下げにもかかわらずレパトリで米ドル高。弱い商品市況。豪ドルは弱い通貨に逆戻りか(3月18日、志摩力男)
●株式市場崩壊、恐怖の米ドル買いが進行! 「リスクオフの円高」ロジックは崩れた!?(3月13日、陳満咲杜)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
これが、今回の流れです。もう1度…
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