■EU首脳会議は異例の日程延長
今朝(7月20日朝)の仲値直前、米ドル/円が40銭ほど急騰しました。何があったのでしょうか?
今日(7月20日)は20日でゴトー日ですし、今週末は4連休。仲値でまとまった買いが持ち込まれたようです。
ただ、107.50円台には輸出企業の売りが待ち構えていますから、叩かれて終了――ということですね。
大きな流れには、関係のない話でしょう。
(出所:TradingView)
注目されていたEU(欧州連合)復興基金ですが、週末のEU首脳会議で決まらず、日程を延長する異例の事態となっています。
【参考記事】
●今の米ドル安は理由が不明なまま進行か。ならばやはり、レンジトレードを続けたい!(7月16日、今井雅人)
●もみ合い継続だが、米ドル安の見通しに変化なし! 戻りを待って売りたい(7月14日、バカラ村)
●ドル/円は年内100円割れでもおかしくない。株価反落で、あっさり下落するイメージ(7月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
「ゴタゴタしながらも、結局、決まるのだろう」というのがコンセンサスですから、ユーロに短期勢のロングが積み上がっているようですね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 4時間足)
■ナスダックは「陰の包み足」に
為替市場は、ほぼすべてレンジ。
ユーロは唯一といっていい、動いている通貨ですから、みんな集中してしまうんでしょうね。
IMMのポジションを見ると、ユーロは、ネットだと11万枚の買い越し。
ただ、3月のユーロ/米ドルが急騰した前後でユーロショートが急減して買い越しになっただけですから、ロングが積み上がっていく余地は残されています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
注目しているのは、ユーロ/米ドルの1.15ドル。
コロナショックで米ドル/円が101円台をつけたときにも超えられなかった水準です。
EU復興基金合意のヘッドラインが出たときに、1.15ドルを超えられるかどうか。
ただ、ここを抜けたとしても大きなトレンドになるかと言われると、「うーん」という……。
やはり注目は、高値圏で崩れないままの株式市場なのでしょう。
(出所:TradingView)
【FX初心者のための基礎知識入門】
●ローソク足の並び・「二本足」【前編】1本より確実!? こんな並びには要注意!
●酒田五法と複数足の組み合わせ【後編】複数足の「三山」、休むも相場の「三法」
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
■7月22日に決算発表、「テスラショック」に要警戒!
株式市場の動向を占う上で今週注目したいのが、本格化する米企業の決算発表です。
7月22日(水)にマイクロソフトとテスラ、7月23日(木)にはアマゾン、インテル、ツイッターなどの決算が発表されます。
2019年1月には、アップルの決算発表で業績が大幅に下方修正され、「アップルショック」が起きました。
今回も「テスラショック」などの可能性に要注意ですね。
【参考記事】
●爆上げテスラに異変!? 外国株は空売り可能? CFDなら上がっても下がってもチャンス!
●ドル/円は年内100円割れでもおかしくない。株価反落で、あっさり下落するイメージ(7月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
●フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?(2019年1月17日)
●フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(2019年1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
テスラ株が高騰するなか、7月22日(水)に予定されているテスラの決算発表次第では、「テスラショック」が起きる可能性もあると西原氏は指摘。写真はテスラCEOのイーロン・マスク氏 (C)Getty Images
クリーンエネルギー政策を進めるバイデン候補有利な情勢が、テスラ株の高騰を後押ししたとの指摘もあります。
コモディティ市場で、太陽光発電に利用される銀が上昇しているのも、バイデン期待なのかもしれません。
クリーンエネルギー政策を進めるバイデン候補有利な情勢が、テスラ株の高騰を後押ししたとの指摘もあると大橋ひろこ氏は解説。コモディティ市場で太陽光発電に利用される銀が上昇しているのも、バイデン期待なのかもしれないという (C)Scott Olson/Getty Images News
米国で話題なのが中小企業支援の「PPP(給与保証プログラム)」。
返済免除の条件がゆるく、ばらまき政策に近い内容です。
ロバート・デ・ニーロが経営に参画する有名和食店「ノブ」や、カニエ・ウェストの経営するアパレル企業も10億ドル規模の融資を受けています。
非常に手厚い支援ですが、米ドルの価値は減価していくのでしょう。
【参考記事】
●FRBはトランプ政権の「無限の財布」になった。市場正常化とともに米ドル下落が始まる(4月15日、志摩力男)
●FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か(3月19日、西原紘一)
米国では第4弾の追加財政出動も議論されています。
これまでの財政出動が3兆ドルですが、今回は2兆ドルとも言われています。相当な規模ですね。
財源をどうするの? という話ですが、決まれば株高・米ドル安方向でしょう。
【参考記事】
●対GDP比17.9%! 巨額の米財政支出で溢れたマネーが次は米ドル相場を押し下げる?(6月24日、志摩力男)
■上海株急落、デカップリングかタイムラグか
上海総合指数は先週(7月13日~)、暴落といっていい下落。
ただ、「デカップリング(非連動)」なのか、中国株が急落しても他市場に波及しませんね。
(出所:TradingView)
同じようなことは、2018年末にもありました。
中国株は下落しているのにNYダウは高値を更新していく、「市場間ダイバージェンス」です。
当時は、中国株から遅れる形でNYダウが下落しました。
今回もタイムラグを伴って米国株が下落するのでは、とイメージしています。
(出所:TradingView)
今週の戦略は、どう考えますか?
株式市場が崩れるのであれば、米ドル/円の売りでいいのでしょう。
104円台は堅そうですが、引き続き、戻りを売っていきたいと思います。
【参考記事】
●ドル/円は年内100円割れでもおかしくない。株価反落で、あっさり下落するイメージ(7月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米ドル/円の戻りを慎重に売っていきたい。株価下落のトリガーは香港めぐる米中対立か(7月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
●FB広告ボイコットやコロナ第2波で株安に!? 米ドル/円が上昇する場面あれば、戻り売り(6月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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