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ボリンジャーバンドとは
「ボリンジャーバンド(Bollinger bands)」は、統計学の標準偏差を利用したテクニカル指標です。1983年に、米国の金融アナリストで投資研究家のジョン・ボリンジャーが考案したことから、この名が付いています。
移動平均線の次に有名と言われるほど、多くのトレーダーが愛用しているトレンド系のテクニカル指標です。世界中の多くのトレーダーが使っていることからも、有用性の高さが確認されていると言えます。

(出所:サクソバンク証券)
標準偏差とは
標準偏差――、難しそうな言葉ですが、これはものすごく簡単に説明してしまうと、「一定期間のデータのばらつきの度合いを示した数値」です。
標準偏差はσ(シグマ)という記号で表されますが、ボリンジャーバンドは、「移動平均の標準偏差(±1σ)」や「移動平均の標準偏差の2倍(±2σ)」や「移動平均の標準偏差の3倍(±3σ)」を線でつないで、チャート上に表示させたものになります。
標準偏差について、もう少し説明します。たとえば、21日移動平均の値が100円だったとき、移動平均の値だけでは、当日を含む直近21日の間にどのような終値があって、最終的に移動平均が100円になったのかはわかりません。上下1円~2円ほどの狭いレンジで小動きを続けていても、上下10円ぐらいの非常に広い値幅があっても、最終的に21日移動平均が100円になる可能性はあります。
標準偏差は、この移動平均を形成する価格(終値)が、移動平均からどの程度ばらついていたのかを数値で表したものです。ばらつきが大きいほどσの値は大きくなります。つまり、一定期間内の価格の変動が大きければσの値は大きく、変動が少なければσの値は小さくなります。もし、過去21日間、終値がずっと100円ならσはゼロになります。

(出所:サクソバンク証券)
ボリンジャーバンドの基本的な見方
ボリンジャーバンドの中央に位置する線は、基準となる移動平均線です。ボリンジャーバンド上では、これを「ミッドバンド」と呼びます。日本のFX会社の取引ツールでは、ミッドバンドの初期設定は21日または20日の移動平均線となっていることが多いです。
ミッドバンドの上下に、ミッドバンドに1σの値を加減した+1σと-1σが位置します。同じように、ミッドバンドから外側へ向かって、σの2倍を加減した+2σと-2σ、σの3倍を加減した+3σと-3σが並びます。

(出所:サクソバンク証券)
基本的には、下のチャートのように、ミッドバンドと+2σと-2σを表示させたものが多用されます(なぜ2σが重視されるのかは、このあと解説します)。

(出所:サクソバンク証券)
改めて上のチャートで確認しましょう。中央の線が期間21日のミッドバンド(21日移動平均線)、ミッドバンドの上下両サイドに描かれたラインが21日移動平均の±2σです。ミッドバンドの値に単純にσの2倍を足したものと引いたものですから、-2σと-2σのミッドバンドからの距離は等しくなります。
+2σと-2σの幅は「バンド幅」と呼ばれます。バンド幅は過去の相場の値動きによって、拡大したり縮小したりを繰り返します。バンド幅が狭い局面は「スクイーズ(収束)」、バンド幅が拡大していく局面は「エクスパンション(拡散)」と言います。また、バンド幅が最大となった局面は「ボージ(最大幅)」と呼びます。
逆張りへの応用方法
トレードへの応用としては、まず、バンドの水準を意識した逆張りがあります。これは確率論や統計学上、価格が移動平均に対して±1σの範囲内に収まる確率は約68%、±2σの範囲内に収まる確率は95.4%、±3σの範囲内に収まる確率は99.7%であるということを前提にしたやり方です。上下のバンド幅を超えた価格は異常値で、いずれバンド幅の中に戻ってくることを想定したトレードです。

(出所:サクソバンク証券)
そこから、価格が+2σを上抜けたら買われすぎなので売る、-2σを下抜けたら売られすぎなので買うという方法がよく活用されます。考案者のボリンジャーは、価格がバンド付近に到達し、そこでローソク足がバンド上限なら上ヒゲ、バンド下限なら下ヒゲを長くつけるような反転を示唆する形を伴えば、より重要な売買シグナルになると解説しています。
逆張りが有効に機能する条件
以上のようなボリンジャーバンドを逆張りで活用する手法は、過去21日間と同じようなばらつき具合の値動きが今後も続くのであれば、うまくいく可能性が高いと考えられます。この手法はトレンドがあまり出ていない横ばい相場で、バンド幅がほどほどに広がっているようなときに有効でしょう。
しかし、そうなる確率が低いはずの±2σや±3σを超えた値動きが起きたということは、過去21日間と同じような値動きの中での一時的なブレではなく、過去21日間とは異なる新しい相場が始まった兆候なのかもしれません。
ボリンジャーバンドの真髄は順張り
じつはこのような考え方から順張りでボリンジャーバンドを活用する手法の方が、考案者のボリンジャー本人も重要性を強調していたボリンジャーバンド活用法の王道なのです。
このような順張りを行う場合は、バンド幅が拡大(エクスパンション)しはじめたところで「バンド・ブレイクアウト」を売買シグナルと判断して、エントリーします。中でもバンド幅が狭くなっているところ(スクイーズ)から、拡大しはじめたところが最良のエントリーポイントとされています。
【ボリンジャーバンドに関する参考記事】
●バカラ村流トレード術を徹底解剖(1) ボリンジャーバンドの5パターンで儲ける!

(出所:サクソバンク証券)
具体的には、相場がレンジを脱してトレンドを形成しようとしているときに、バンド幅の上限をブレイクしたら買う、下限をブレイクしたら売る、トレンド追従のやり方です。その後、トレンドが発生すると、相場はバンドに沿って動く傾向があります。これは「バンド・ウォーク」と呼ばれています。
方向感に乏しかった相場に新たなトレンドが発生したら、そのトレンドに追随するのがトレードの基本です。ボリンジャーバンドは、そのトレンドの発生を視覚的にわかりやすく表してくれているとも言えます。
そして、このようにボリンジャーバンドを使って順張りでエントリーした場合は、バンド幅が最大となった「ボージ」の局面から縮小に転じたところが手仕舞いする1つのポイントになります。
ミッドラインは20日?それとも21日?
以上のように、ボリンジャーバンドは逆張りと順張りのどちらにも対応できますが、基本はバンド・ブレイクアウトをシグナルと判断する、順張りのトレードの方がうまくいくことが多い指標です。
なお、中心線のミッドバンドの設定期間についてですが、考案者であるジョン・ボリンジャーは、最初は21日を推奨していました。ただ、近年は自身の著書や講演の中で20日を使って解説しています。両方を表示させて、分析の対象となる通貨ペアに適していると思う方を、採用するのが良いのではないでしょうか。
また、ミッドバンドにはSMA(単純移動平均線)を使うのが一般的です。統計学で標準偏差を求めるときに使われるのが、単純移動平均だからです。
ミッドバンドには、一般的な終値を用いた移動平均を採用する以外に、TP(ティピカル・プライス)と呼ばれる「高値・安値・終値の平均値」、もしくは「始値・高値・安値・終値の平均値」を使う方法もあります。FX会社の中には、TPを使ったボリンジャーバンドを利用できるところもあります。見方や使い方は変わりませんが、TPを用いた標準偏差の方が、価格がバンドを逸脱しにくいと考えられているようです。
ちなみに当サイトではかつて、ボリンジャーバンドの考案者であるジョン・ボリンジャー本人に取材したことがありました。
【ボリンジャーバンドに関する参考記事】
●ボリンジャーバンドはじめて物語(2) ~特撮カメラマンだったからこそできたテクニカル指標の開発~
(最終更新日:2021年4月2日)
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